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『美少女ギャルの罰ゲーム告白…』第3章 第7.5話

 主人公の壮太視線で進められないという理由で、書いたはいいもののお蔵入りになった『美少女ギャルの罰ゲーム告白…』第3章 第7話と第8話の間に入る、芽衣と祐奈のお話です。
 第3章の第7話までを読んだうえでお楽しみください。





「祐奈ちゃん」

 お兄ちゃんを待ちながらクッキーを食べていると、声がかけられた。声をかけてきたのは、お兄ちゃんの彼女の芽衣さんだった。このクラスの他の人と違って異装はしてない。
 とりあえず机の上を片付けて、手招きする芽衣さんの方へと向かう。

「壮太着替えてくるっていうから、ちょっとね」
「いいですよ」

 通されたのはいわゆる裏方というところ。お兄ちゃんがあの格好からいつもの姿に戻るまで、それなりに時間がかかるから、表じゃなくこっちで待っててとのこと。裏方は想像よりだいぶ広いし、端の方には椅子と机が2つずつ置かれた休憩スペースまで用意されている。私はその休憩スペースでお兄ちゃんを待つことになった。隣には芽衣さんも座っている。

「あの、芽衣さんは、執事になったりしないんですか?」
「私は厨房担当だからしないよ」
「なるほど」

 なんで、お兄ちゃんは厨房担当じゃないんだろう? まあ、どうせ碌な理由じゃないんだろうけど。

「そういえば、お兄ちゃんと付き合い始めたんですよね」
「ああ、うん。お付き合いさせてもらってます。私から言うべきだったよね」
「で、ですね、聞きたいことがあるんですけど」
「えっと、何かな?」
「芽衣さんはお兄ちゃんのどこに惹かれたんですか?」
「や、優しくて、カッコいいとこ。あとは、とりあえず文句言うけど、やることは人一倍やってるとこかな」

 ふむふむ、私と同じくらいお兄ちゃんの事をよく見てるんだなぁ。

「お兄ちゃんの事、よく見てるんですね」
「かれこれ1年くらい私の片思いが続いてたからね」
「1年前ってことは文化祭ですか?」
「まあ、半分正解。実行委員で一緒になったんだよ。そこで、文句言いながらもずっと作業してる壮太を見てたらね。本人は全然覚えてなかったけど」
「なるほど」

 お兄ちゃんが、毎日パソコン持って帰ってきて、作業してたりしてた、あの文化祭実行委員会に芽衣さんもいたのか。じゃあ、お兄ちゃんが、実行委員には俺と同じように、押し付けられた仕事してる奴もいるし、っていうのは芽衣さんの事だったのか。改めて、芽衣さんを見る。
 少し派手だけど、凄い綺麗で、お兄ちゃんでつり合いが取れてるかっていうと微妙だけど、お兄ちゃんの事ちゃんと見てるし、引っ張ってってくれそうだし。

「ふつつかな兄ですが、よろしくお願いします」
「いや、そんな、寧ろ私の方こそ、よろしくね」

2件のコメント

  • 7.5話ありがとうございます壮太が着替えてる間にこんな素敵なやり取りがあったとは。こう言うお話を入れてもらえると話の内容にに厚みがマシマシですね。めっちゃ得した気分です。

    芽衣はそう言えば金髪のギャルでしたね。忘れてるくらい純情でいい子でしたから。いや、金髪が悪いって訳でないですが、自分の住んでる田舎の金髪は未だに夜中にゴッドファーザーのテーマ流しながらパリラリしてますから。

    祐奈はぐいぐい質問しましたね。壮太のいいところちゃんとわかってる芽衣とこれからも仲良く出来そうですね。8話にあった妹発言も将来現実になるといいですね。
  •  感想ありがとうございます。
     本編の方だと、幕間以外は壮太視点で、ってしているので、書きたいけど書けないんですよね。(本編で視点切り替えを入れてもいいのですが)とりあえずは、近況ノートまで見てくださった方への特典ということにしておきます。本編に直接関わらないようにもしているので。

     私も時々忘れそうになります。まあ、芽衣はちょっとごたごたがあったせいで、外見がそっちに走ってしまっただけで、根は純粋で純情ないい子ですから。リアルの金髪は確かにそんなイメージがありますね。

     祐奈もなんだかんだでお兄ちゃん好きなので、壮太の彼女としての芽衣が気になってしょうがないんですよ。さらに仲良くなった2人が、壮太に何かサプライズを、なんてエピソードもよさそうですね。
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