文字数その他の都合でお蔵入りしていた『美少女ギャルの罰ゲーム告白…』第1章の第34話の後の話、廣瀬家で壮太がご飯を食べる話です。リクエストがあったのでここに置かせてもらいます。
第1章の第34話までご覧になったうえでお楽しみください。
朱莉ちゃんと拓也君の相手をしながら、唯織ちゃんに勉強を教えるのは無理があった。疲れが限界に到達しようとした時、ついに救いの声が。
「みんな、ご飯にするわよ」
芽衣のお母さんのこの一声で、俺は3人から解放される。
これを普段平然とこなしているという芽衣に感心しながら、食卓に着き手を合わせる。外食チェーン店以外で俺以外が作ったのを食べるのは、ずいぶんと久しい気がするな。
「今日の付け合わせ味が違う?」
正面に座る唯織ちゃんが、俺の作った付け合わせを食べて口を開く。正解である。その付け合わせを作ったのは俺だし。恐る恐る唯織ちゃんに聞いてみる。
「口に合わなかった?」
「いや、いつものより美味しいです! 雨音さんが作ったんですか?」
それはよかった。うんうん、と俺は満足気に頷いてしまう。唯織ちゃんの横に座る拓也君も、美味しそうに食べてくれていたので一安心だ。
「ああ、うん。流石に何もせずご飯を頂くのもって思ってね」
「すごい! これなら毎日食べたいくらいですよ。ああ、妹さんが羨ましい」
「じゃあ、唯織はこれから雨音君ちにご飯の面倒見てもらったら?」
隣に座る朱莉ちゃんのさらに隣に座るお母さんがそんなことを言い出す。
「えっ、姉ちゃんずるい。俺も兄ちゃんとご飯食いたい」
「あかりもー」
便乗したちびちゃんずに、思わずため息を漏らすお母さん。分かりますその気持ち。毎日作ってるのに、他のものを毎日食べたいって言われた時のあの気持ちは、何とも言い難いものがある。
「うちのご飯は基本野菜たっぷりだよ。ピーマンとか茄子とか毎日出るまである」
「あぁー。さっきのは嘘だ。兄ちゃん忘れて」
「うぅー」
唸るちびちゃんずとは対照に、唯織ちゃんとお母さんは目を輝かせている。まあ、野菜のおいしさが分かると野菜の方がよくなるよね。
「私が雨音くんちにお邪魔したいわ」
「ははは」
お母さんの一言に思わず乾いた笑いが出る。
こんな調子で適当に話しながら箸を進めた。久しぶりに、にぎやかな食卓だった気がする。いつもも祐奈と話しながら食べるが、こうワイワイガヤガヤみたいなことにはならないし。