究極のお話――。
きっとそれは最初から最後まで息をすることを忘れて読んでしまうお話。
そして最後の展開に胸を打たれてどうにかなってしまいそうになるお話。
書くことも食べることも出来なくなるぐらい心を支配されて泣いたり跳ねたりしか出来なくなるやうなお話。
そんなお話を書きたくて文字を綴り続けて約十年。
最初はトリックを話全体にふりかける事さえ考えられなかった。
それが大興奮のエンドになると(個人的には)確信できる物語を作れるやうになっただけ大分マシになったのだろうと思う。
ある年のコンクールで審査員全員が「楽しいお話だった」と言ってくれたのが嬉しかった。
芯のある話で良かったと。
最後ほろりときたと。
技巧が見事だと。
物凄く褒められまくって、今迄の努力が報われたと、賞状が涙で濡れたあの日が今も忘れられない。
著作権の関係で公開できないのが少し悔しい。
でも果たしてそのお話が僕の目指すお話になりきれているか。
心は全く奪われないし。
ぐ、と胸が熱くもならない。
ここがここで活きてくるのね! あ、これ、こんな意味が……! なるほど、読み返したら確かにそこにそんなのが!! ――ともならない。
まあ長く書けて良かったね……そんな位で押し留まってる。
僕の目指す物は一体どこにあるのか。
悩みすぎて少し疲れた。
……でも足を止めたら終わってしまう。
壮大だから良い訳でもないし、技巧を張り巡らしたから凄いわけでもない。
一瞬のこれ面白い! が大興奮に繋がってる事もあるでしゃう。
人生は社会の価値観にがんじがらめにされてて、窮屈で息苦しいけれど、そんな中でも突拍子もないことしでかして僕の心を揺さぶってくる人はいっぱいいる。
圧倒に親しみやすさを掛け合わせて
けふも僕は何かを書いていく。