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飲み比べ

 この間、墓参りした時に亡くなった親父の為(自分の為に)に、ワイルドターキー8年物のバーボンを買いました。若い頃から飲んでいます。非常に好きなお酒です。長男に自慢をしたくて、ワイルドターキーの話をしました。

「このお酒な、ダイチが読んだ漫画のバキにも出てくるやつやで」

「へー、そうなんや」

「たしか、アンチェインやったかな。アメリカの監獄に捕らえられている奴が飲んでたと思う」

「えっ!、ちょっと待って」

 ダイチが、スマホで検索を始めました。僕に、画像を見せます。

「アンチェインじゃなくて、花山やで」

「えっ! そうなん。じゃ、アンチェインは?」

 ダイチが更に検索を掛けます。一本58万円のウィスキーを飲んでいました。僕の記憶違いです。うろ覚えで、知ったかぶりをしてしまいました。流石に、58万円のウィスキーは、死ぬまでに口にすることはないでしょうが、ワイルドターキー8年物も非常に美味しいお酒です。

 家にサントリーの角瓶があったので、試しに飲み比べてみました。味の差にビックリ。

――こんなにも違うんだ!

 数字で比較すると、角瓶はアルコール度数が40パーセント。ワイルドターキー8年物は50パーセントです。数字だけ見ると、ワイルドターキー8年物の方が、飲みにくそうです。でも、飲んでみると、柔らかい。甘くて、ねっとりと舌に纏わりついて来る。対して、角瓶は、口当たりが刺々しい。サラリとした若い口当たりです。

 他のお酒もそうなのですが、飲み比べすると、個性が比較出来て面白い。決して、角瓶が不味いわけではありません。コストパフォーマンスを考えたときは、普段飲みに十分です。ただ、ワイルドターキー8年物が、美味しすぎるだけなのです……。

 僕は、毎日晩酌をします。普段は、安いお酒を飲んでいますが、たまにはね、こんな贅沢が嬉しい。

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