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魔性と糠漬け

 現在、――貴女を守りたい!【少年探偵団の事件簿】――という、小説を執筆しています。その物語の中に「貴子」という中学二年生のヒロインが登場します。そのヒロインが、主人公を振り回し、物語が展開していくのですが、そのヒロインを、「魔性のような」と評された方がおられました。

 そういえば、半年前に脱稿した――逃げるしかないだろう――のヒロイン明美も、夏ごろから休載している――その男、木崎隆――のヒロイン由紀恵も、癖の強い魔性キャラです。

 評された方が、さらに言いました。そうした魔性の相手に、どうかされたいのでは? と……。

 僕は、禿を隠す為に、二十代でスキンヘッドになってから、ずっと坊主頭です。見た目も、お坊さんに見えるようで、人からあまり警戒されることはありません。ですが、中身は、そんな聖職者とは、かなりかけ離れています。グダグダです。五十歳になったというのに、魔性のヒロインを、登場させ続けている時点で、そうした渇望が、僕の中にあったのでしょう。むっつりスケベとは、よく言ったもんです。

 ところで、最近、久しぶりに、ぬか床を用意しました。精米機から米ぬかを分けてもらい、水、塩、鷹の爪、鰹節、干し椎茸を入れて、混ぜます。寝かして、また混ぜます。それを、毎日、続けていきます。漬けるネタは、色々あります。きゅうり、なすび、ニンジン、大根、山芋……。これが美味い。

 季節的には、暑くもない寒くもない、春、秋ごろが一番おいしい。始めてしまうと、どっぷりと僕自身が、漬かってしまうんですね。マイブームになるというか、楽しくて仕方がない。本当に、美味しいんです。毎日が、糠漬けを中心にして、生活が始まるようになります。それは、もう、世話をして、世話をして、世話をして……。

 ん?

 なんだか、魔性の女に入れ込む様子と、似てなくもない。これって、気のせいかな?

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