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2022年1月まとめ

そのような訳で元旦である。
元旦であった。今は2月の8日であるので、もう一ヶ月も前の事になる。
1月は小説をずっと書いておった。
10万文字を目指して毎日2000文字から2500文字を積まなければ一日4000とか書かなければならず、借金をしているような気持ちになった。毎日200円を返済しなければ翌日は500円になるし、明後日は800円、しし明後日は1200円である。一日200円なら何とかなるが、1200円は結構な出費である。200円ならある程度気楽に返済できるが、毎日200円となると……。

今まではこうではなかった。
こういうお話しを書こう、として骨子を組み立てて、そこに肉付けをすれば良かったのであった。骨組みをやってる間に「げへへ、こいつで天下とっちゃる」などと下衆い笑みなども浮かべておらんことも無かったのじゃ。のじゃ?

しかして、昨年のKACの掌編など、お題があれば書けなくもないが、己の奥底から「これを書きてぇ」という欲求がスンとなりを潜めてしまったのである。これは一体どうした事か?

インプットが足りないとか推しにかまけてるせいだとかコロナ鍋で神経質になっているだだ、言い訳は億ほど出るのであるが、とりあえず書かねばならぬと自らを奮い立たせたものの、全くもって空洞である。目を開けば伽藍堂の教室に降り立ち、電気もつかぬ暗い教壇にて先生のふりをする自分がそこに立っておるだけでございました。

しかし文字数を重ねなければ10万文字には届かぬ。
とにかく書かなければ10万にはならぬ。

まずはこのような作者の作品を読んでいただける読者に謝ろうと思った。
どう考えても面白いものが浮かばないのでござる。
教壇に立ち誰もいない机群に向かって

「先生はこれから面白い話しをします」

と宣言をしているだけでござった。
しかし頭はからっぽである。
お笑い芸人みたいに気の利いた話しなどついぞ出てこない。
しかし誰もおらん教室で一人宣言した以上、話しをでっち上げてでも語らねばならない。

そのようにしてとつとつと書き始めたお話は遅々として進まず、自分で面白いと思う時もあれば、つまらんと思う時もあった。「これ、前も同じような事書いたな」の時もあった。手元の袋をまさぐってみても、空っぽは空っぽだ。ネタノートには起承転結もなく、試しに書いてみたりしたものの、全くどうしようもないものだ。

そうした時に思い出すのは、たくさんみたクソ映画だった。
あの映画だって原作者がおり、監督がおり、大勢の大人がよってたかって面白いものを作ろうとして、結果としてクソ映画となったものたちだ。驚くほどの費用と手間を掛けた結果、そびえたつ糞となったのだ。それに比べたら僕の小説の糞さなど……

しかしあのクソ映画も、今思えばそれほど悪くは無かったのではないか?

などと思い返して良いところ探しをしてしまう不調もあった。いやいや、あれは完璧に糞だった、と強く自分にいい聞かせながら文字を重ねていく始末。書き続ければ何か良いところが出てくる筈だと思いながら毎日書いておりました。

休日自宅では奥さんがいると気が散ってしまうので、ファミリーレストランへ行って何文字まで書くまで帰りまテンを自主開催したり、仕事帰りに治安が悪いカラオケの個室を借りて何文字書くまでは帰らないと決めたりした。書いていて面白い時もあれば、単に言葉を引き延ばしているだけだなぁと感じる時もあり、ただただ申し訳ない気持ちが先走るのでございました。しかし今更参加を取りやめる訳にはいかぬ。10万文字いきませんでした、テヘ、で済ませる訳には断じていかん。それなら10万文字に達して「つまらねえ」「お前の小説一生読まねえ」コールを戴いた方が物書きとしてもはや上等な部類に入るのではと考えた。

一月の唯一の救いは、推しである超絶ウルトラ声優雨宮天さんのオンライン個別トーク会だけであった。
その日は仕事が早上がりで、夕方5時から目標文字数を書き終わるまで帰らないチャレンジをカラオケで大絶賛取り行っており、個別トークはiPhoneで行うからして、自宅で奥さんの目の前で「てんちゃーん!」などとやる訳にはいかぬからして、むしろそれは好都合であった。人として、いや男としてかなり下の下であるが、小生は元より常に向上心を失わず、上を目指す類の人間ではなかった。マクドナルドを買い込みカラオケに篭って貪り食いそして一寝入りし(隣室はズンドコ五月蝿かった)、やにわに書き始め、目標数に達するか達しないかのところで雨宮天さんのチャット・ルームなるものに潜入し、インカメに映る虚ろな自分の顔を眺めながら「俺、なにやってんだ……」と深く何度も自問自答を繰り返したのであった。あと、髪型チェックとかもしました。

予定通りの時間ジャストに手元のiPhoneに雨宮天が映し出された瞬間

「うお!」

って言った。

「天ちゃーん!」

ゆうて。

天ちゃん「ども〜」

ゆうて。

手のひらに天ちゃんがおって。

制限時間45秒はすぐに終わってしもうて。

天ちゃんが「ライブ来てね〜!」

ゆうて。

ぼく「MV集だしてくださーい!」

お願いして。

「そうだね、結構溜まってきたからねー!」

天ちゃんがゆうて。

応援してまーす!などとゆうてたら

45秒が0.2秒で過ぎてブチって切れました。

テンションあげあげ状態のまま高野ザンクに報告をし、その通話が終わった後にやってきたのは虚脱である。結構巨大な虚脱である。それを振り払う為にドリンクバーのホットコーヒーをブラックでゆっくり飲み、バックナンバーなどを吟じて店を出ると夜は大変に深まっており、マフラーをキツく巻いて寒い帰路についた。


そのあと、1月31日にようやく十万文字に達して公開し、とりあえずやってやったと一息つく事ができました。2月8日現在、読んでいただいた方々に深く感謝と、完結出来なかった事を深くお詫び申し上げます。お星様などを投げてくださった方々には一際良いヨックモックを配りたい。本当にありがとうございました。

今回の体験で得た事は、意外と10万文字イケるじゃん、という喉元過ぎた熱いやつを速攻で忘れる自分の馬鹿さ加減と、何も無いとは言え、出すからには身を削ってどっからか何かを捻り出す体内の運動みたいなものを感じられた事です。それと、お話をしっかりと畳む責任みたいなやつ。10万文字を書けるのは才能、とツイッターでみたけれど、完結させる力を短編で養え!的な教示もあったので、長編を完結させる事ができれば、短編を20作分くらい完結させたのと同じくらい実力がアップするんじゃないかと、勝手に思っています。実力アップというのはもちろん副次的なラッキーってだけで、終わらせないと次にいけない気もする。いや、決め付けは良く無いですけど。

5月末までには完結させたいです。
どうぞそれまで、ぽつぽつとよろしくお願い申し上げます。
とりあえず、風邪ひかないようにやっていきましょう。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

追記
ザンクとルーペの読書感想文ツイキャス

1月は
「残像に口紅を」筒井康隆著
でした。

https://youtu.be/wWnVf3mym3E




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