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筑前筑後通信(264)狼の裔 完結しましたの巻

まずは、あとがきから挨拶をば。

「狼の裔~念真流血風譚~」を最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。
2014年7月24日に「峠雨」の連載を開始して、三年。やっと、この日を迎える事が出来ました。
今言える言葉は、ただただ感謝しかありません。

この三年。実に色んな事がありました。
まず、この作品がアルファポリス主催の第一回歴史時代小説大賞特別賞を受賞。そして、娘の誕生。出世。人生の激変期に、この作品と共に歩みました。
特別賞に関しては、小弥太篇のみでの受賞。全編を通せば大賞は間違いなかった自負が、僕にはあります。改めて、編集部さんには読んでいただきましょう。

この「狼の裔~念真流血風譚~」は、孤独なダークヒーロー(アンチヒーロー)創世物語でもあり、連載開始当初はそれを強く意識して書き始めました。
実は平山雷蔵というキャラクターは十年以上前に出来上がっており、そのお話をオフライン・オンライン両方で書いていました。しかし、何かピンとこない。そこで古今東西のダークヒーローを調べました。同じ時代小説で言うと、眠狂四郎・丹下作善・木枯し紋次郎・机竜之助。或いは、バッドマン。スポーン・ルナティック・デビルマンなど。彼らを読み解くと、ダークヒーローがダークになる所以をちゃんとあるんですよね。僕もその所以を書かなければ説得力が無いと思い、「狼の裔~念真流血風譚~」を書き始めました(それが受賞したものだから、サイドストーリーが本編と代表作になりましたけども)
しかし、途中で父親の清記に対する想いが強くなり、生み出したのが「天暗の星~念真流寂滅抄~」。思いもかけず、親子二代の話になったのは、僕自身驚きでした。

また、親子二代というと、妻の感想が忘れられません。
四年ほど前、
「父子を中心に進んでいくストーリーは、筑前筑後自身の父子関係を投影しているのでは?」
と言われたのです。
僕には母親がいません。男手一つで育てられました。その二人の関係は、妻が見ても驚くほど、互いが気を使い遠慮しあっている歪な関係だというのです。僕には自覚がありませんが、それを知っている上でこの作品を読むと、父子関係の理想と僕が感じている父への感情を強く感じるそうです。
確かに、この他にも僕の作品には父子関係が軸になる作品は多いです。「異・雨月」「名人三無」は特にそうだと思います。この事には自覚があるのですが、雷蔵と清記の関係からそれを読み解かれるとは思いもしませんでした。皆様の目にはどう映ったでしょうか。
なお、父親とは娘が生まれて、こうした関係は解消されたように感じます。もう孫娘を溺愛するもので(笑)雷蔵も子供がいれば、清記との関係も変わったかもしれませんね。


さて、「天暗の星~念真流寂滅抄~」から「狼の裔~念真流血風譚~」を通して描いた物語。精一杯、持てる力を込めて書きました。
色んなギミック、伏線、掟破りの展開と色々試しました。WEB小説を好む層には受けなかったかもしれませんが、受賞という成績は残せたので、一定の満足感はあります。
これからも僕は、平山雷蔵というキャラクターと共に、時代小説を書いていきます。また、その時は読んでいただけると嬉しいです。


最後に、毎回修正箇所を教えて下さった結城藍人さん。様々なイラストで活力を与え続けてくれたアマリさん。そして、読んで頂いた多くの読者様。心からお礼を申し上げます。ありがとうございました!



さて――

まず一週間は執筆から離れようかな。
51万文字の作品を書き切ったので、少し疲れましたw

でも、次は何を書こうかなぁと考えだしている自分がいます。

とりあえず、「外道歳時記」というタイトルだけ浮かんでいます。


では、皆様。
次回作でお会いしましょう。

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