今月から家計簿をクラウドアプリのものに代えました。長年使っていたダウンロード型のは、とにかく手入力が面倒で、とはいえ、長年の蓄積でいつも買う商品名が候補に出てくるのが慣れ親しんだところでもあり。
そこの労力を省きたい、ということでレシート撮影で入力できるアプリを選んだのですが……たまに商品名が中国語?になる( ̄▽ ̄;)
今月から、電子図書館で借りた青空文庫やグーテンベルク21を音声読み上げで、家事をしながら聞くってことをしてるんですが。どうにも漢字の読み方がみょうちきりんなんです。
捜神記を「さがせかみき」、太宗を「ふとしむね」、影響を「かげひびき」、恐ろしいを「こわろしい」なんて読み上げるんです。なんでやねん。
と、便利なものは使ってみようということで、エディタツールNolaを使い始めてみました。すごい便利、すごいおもしろい、すごい楽しい。なるほど、これならプロット作成もらくらくだー。
でもこれ。設計図だけつくって満足しちゃいそうな危険な予感が……。
お話を創るのと、作るのと、描くのと、書くのは違いますよね(^-^;
私みたいにノープランで突っ走る人には向かない気もしますが、メモ帳としても優秀です。ええ、なにしろ手書きのネタ帳にも限界を感じたもので(アナログ人間)
さて、読書メモです。溜まっていた分を放出します。
『夜ふけに読みたい不思議なイギリスのおとぎ話』
『夜ふけに読みたい神秘なアイルランドのおとぎ話』
吉澤康子+和爾桃子翻訳 アーサー・ラッカム挿絵(平凡社)
シリーズでまだまだ続刊があるようです。訳文がとてもいいので読み心地がいいです。知っているお話でも新鮮に読めて、その理由はあとがきでわかりました。
「民話はどれも同じだと思われがちですが、そうでもありません。地方や時代によって違いますし、本にまとめた人(編者といいます)の影響もあります。これまで日本で読まれてきたイギリスのお話はほとんどジェイコブズという編者の本ですが、今回はフローラ・アニー・スティールという女性の本からいくつかを選んでまとめました。スティール版はたくましい若い娘の話や、ちょっとヘタレで情けない若者が助けられる話が多く、現代でもありそうなリアルな親しみやすさが特徴で、イギリスではむしろこちらのほうが親しまれています。」(p214)
なるほどー。
にしても、『神秘なアイルランドのおとぎ話』の中の「白い手のベー・フマ」というお話なんて、すごい深かったのですよね。
この一冊はほとんどが神さまや妖精たちの話なのですけど、フィンとゴルの関係性だとかすごい深くて。
おとなとこどもがそれぞれ楽しめるお話が選別されてるのもなかなか面白いシリーズです。
『クジラとともに生きる アラスカ先住民の現在』岸上伸啓(フィールドワーク選書3⃣ 臨川書店)
文章がかなりわかりやすく話運びも達者なので面白く読めました。北極の捕鯨文化の研究へと至る著者自身のきっかけや、フィールドワークの方法や準備、開始までの手順などもへえ~という感じで。何かの組織の後ろ盾とかそんなのではなく、結局は研究者さん本人の人柄がものをいうのじゃ、って感じました。著者本人は「幸運だった」って書いてますが。
で、米国アラスカ州バロー村の先住民イヌピアットの捕鯨についての調査をまとめた本書。
我が家のリビングの壁に貼ってあるダイソーの世界地図にも載ってました。アラスカのバロー。2010年の人口が約五千人、イヌピアットは全体の約65%、ヨーロッパ系が16%、フィリピン系人口が7.6%。フィリピン系の人々が多いのは、かつて海軍の施設NARLで働いたのをきっかけに移住した人が家族や親せきを呼び寄せたからで、レストランなどを経営する韓国系の人も多いそう。今日では多様化の進んだ村のようです。
1968年のアラスカ北東部プルドー湾地域における石油発見によって、アラスカ先住民諸権益処理法(ANCSA)が制定、アラスカ先住民は十二の地域会社に組織され土地と補償金を手に入れた。これが世界で最初の近代的な土地権処理の事例となったそうです。これ、ダイヤモンド発掘のために強制移動させられたアフリカの先住民たちとはずいぶん待遇が違うな、と私はちょっと驚きでした。
石油事業で潤い市場経済の中で生きる現在でも狩猟活動は盛んで、それを通して得られた食料は重要であり、イヌピアット世帯の約60%は、食料全体の半分以上は生業で得た食料だと回答しているそうで。すっごい数字じゃないですか?
ですけど、クジラの肉や脂皮を販売することは禁じられているので、クジラを獲っても収入にはならない。ハンターは専業ではなく、捕鯨は余暇で行うものなのです。捕鯨を実際に行う捕鯨集団は、ハンターを率いる捕鯨キャプテンによって運営され、その費用のほとんどはキャプテンの自腹で、仕留めたクジラの肉も脂皮も、その後の祝宴や感謝祭の宴などで、捕鯨のメンバーはもちろん、村人全体に分配してしまうんです。それが伝統なのだそうで。
捕鯨キャプテンて大変なばかりでいいことないのです。でも。村の男子小学生に将来の夢を聞くと、多くの子どもが捕鯨キャプテンになりたいと即答する。なぜか。
と、読み応えのある構成でおもしろかったです。
『気が遠くなる未来の宇宙のはなし』佐藤 勝彦(宝島社)
こちらも何冊も刊行しているシリーズの中の一冊です。
私、宇宙に関することとか苦手意識があって、有名な理論とかもわかってるようなわかってないような、そんな程度なだけに、この著者さんはお話がすごくわかりやすくて、ようやくいろいろわかった気になれました!(結局曖昧)
図解もかわいいイラストで見やすいので読み物としておススメです。
『残酷な王と悲しみの王妃』中野 京子(集英社)
自分でいうのもなんですが、私って上代から中世までの日本史はめっちゃ詳しいんですよ。ですけど、世界史はさっぱりなんですよ。高校時代には世界史を選択してたのに、テストは毎回赤点だったくらいで世界史音痴なのですよ。
歴史小説とか映画とか見てこういった読み物を読んで、ようやく最近人物名を覚えてきたところで。
そんな人物たちの人間ドラマってやっぱりおもしろいですねー(結局ミーハー)
王族ゆえのあれこれはあるでしょうけど、人間ゆえのあれこれもあるわけで。
また、この著者さんの話運びとか解釈とかおもしろい。他にも西洋史の読み物をたくさん出されてる人なのであれこれ読みたくなりました。
『左近の桜』長野まゆみ(角川書店)
かなり特殊な連れ込み宿左近の息子の桜蔵くんが、人外問わずあやしいおじさまたちに貞操を狙われるのが憐れでかわいそうでおかしかったり。ちゃんと彼女がいるのになあ、ちゃんと彼女と初夜を迎えられるのだろうかー。
にしても。なんてことない単語でなされる艶っぽい表現の数々には感服です。いくらでも勘ぐれちゃうっていう。
私は耽美が苦手なので、こういう、さらっとしつつも意味深長なことばの使い方を自分もしたいのです。まねではなく、独自の、十八番みたいな表現をあみ出したいものです。