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読書メモ㉕

2018年1月にノイタミナで放送された『恋は雨上がりのように』、やあっと観ることができました。親子三人で。
子どもたちがレゴでぎゃいぎゃい遊んでる隙にっと再生しだしたら娘が「なにこれー」と食い付いてきまして。息子も、「お母さん、これはラブストーリーだね」と。子どもと一緒に観れる内容でよかった。
娘はがっつり気に入ったらしく寝入る前にもその話を。みらい文庫で恋愛系のお話を好んで読んだりもしてるので、
「あんたはラブストーリーが好きだもんね」
「うん」
「ラブストーリーってわかりやすいもんね」
「うん」
なんて会話をしたのですけど、自分で言ってから、そうかラブストーリーはわかりやすいのか、なんてストンときてしまって。
分かりにくい恋愛ドラマがあっても良いと思うのだけどな、そういうの、最近どうなんだろう。愛ゆえに敢えてヒロインの敵役にまわるようなヒーローのお話ってありますか?? ご存知でしたら是非。っていうか企画で募集してみようか。
もうね、しつこいくらいに「女性向け」にこだわった募集を連発してやろうと考えてまして。女性向け作品にもっと目立って欲しい~。何か企画のアイデアがありましたら是非。


『色で読み解く名画の歴史』城和夫・橋本美千代著(パイインターナショナル)

タイトル通り絵画の歴史を色彩で読み解く本です。冒頭にカラーインデックスが5ページにもわたって~~。若い頃用もないのにDICカラーガイドを買って持ってたくらいなので、私はこういうのに弱いのです。

ラファエロ・ブルー、レンブラント、フェルメール・ブルー、フラゴナール・ピンク、ゴヤ・レッド、モネ・ブルー、ゴッホ・イエロー、ロートレック・オレンジ、ピカソ・ブルー、ピカソ・ピンク、マティス・ブルー、デュフィ・ローズ、ボナール・ローズ、ローランサン・グレー、フジタ・ホワイト、インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)…………
代名詞になるくらいのスタイルって憧れるけどそこに行きつくまでが苦しみなのでしょうね。
ですがこの絵の具もピンキリらしく、「青の時代」と称されるピカソのパリ時代の作品群は、その頃のピカソは貧しく、安いインディゴ・ブルーを使っていたからとか。逆にとある富裕な画家はばんばん高価な絵の具を使って派手好みですとか……。そうすると、材料費がかからない小説って誰でもできる創作なのだなって。

自分は天使など見たことがないから描けない、と言い切ったクールベの写実主義に圧倒されるけど、「完璧な色彩、完璧な配色」と評されるラファエロの優美さにもうっとりなるわけで。みんな違ってみんないい。

フリーダ・カーロのメキシカン・レッドは本当に目が覚めるよう。夢や妄想を見るようなシュルレアリスムではない。
〈「私は夢を描いたことは一度もない。私は私自身の現実を描いたのだ」。生前に語っていたこの言葉には、一生付きまとった痛みを、絵画を描くことによって昇華させようとしたフリーダの心の襞が表れているようである。〉(p166より)

「昇華」。創作のいちばん大きな作用ってこれだと私は思うのです。思春期のいら立ちとか生きづらさとか、社会への不満とか、もちろん垂れ流すだけじゃ作品にはならない。現代ではそれこそ、誰だってつぶやきを発信できるのだから。一方的な発信ではない、受け手と相互関係を展開できるものでないと、とは思うのですけどね。はあ……。

14件のコメント

  • 今回のノートも面白かったです。
    昇華ってなんかいい言葉ですよね。
    悪いものがプラスに展開して花開く感じ。
  • ありがとうございます(照)
    私も昇華って好きです。それこそ創作を始めた頃って意識してたと思うのですけど、最近、この言葉を忘れてたなって。はっとしちゃいました。
  • 『恋は雨上がりのように』、アニメモランダムで2018年のベスト5に入れています。ようやく見られたんですね。これは確かに親子で見れますね。ラブストーリーはわかりやすいかぁ。なるほど。ただ『雨上がり』は実はラブストーリーに見せかけて、裏テーマは恋愛以外のところにあるのではないかとみています。

    分かりにくい恋愛ドラマ、なんかありそうな気がする。でも思い浮かばない……。

    色って楽しいですよね。DICカラーガイドってあの短冊みたいなのですよね、会社にあります。あれも楽しい。コロナ・ブックスっていうところから出ている本で『フランスの色』『日本の色』っていうのがあって、これもむっちゃ楽しいです。

    『昇華』! すごいシンクロニシティです。さっき近況ノートにも書いたんですけど、小清水君の『そして、扉は閉まる』のすごいボリュームの感想をとあるサイトでもらったのですけど、キーワードのひとつに『昇華』が挙げられていて。

    あの小説の「1」~「3」は小清水くんの作中私小説で、小清水くんは彼女(みさき)への淡い恋心を吹っ切り、昇華させるためにそれを書いたという解釈をされていて、なるほどなーと(作者なのに……)思ったばかりなのでした。

    実は私もこの指摘そのものもそうなのですけど、この『昇華』っていう言葉にはっとしました。私も創作を始めた頃って、意識していた気がします。そして、最近すっかり意識しなくなっちゃってるな、と。これ、何かのヒントが隠れている気がします。

    もしよかったら、その感想覗いてみてください。すごいボリュームですけど。
  • 『恋は雨上がりのように』
    私も後半は青春だーと思いました。見果てぬ夢と再生って感じ。「九条 ちひろ」って別れた奥さんか?って勘ぐっちゃったのだけど、いいフェイントだった! あれで、くたびれたおっさんにだって青春はあったのだよなあって失礼なことを……

    男性向けで、おっさんとJKが恋愛するのが流行ってるらしいけど(もう過ぎた?)、この年の差モチーフってそれこそ女性向けではありがちだよね。川原泉もこういうカップル多かったし。性愛を感じさせない女子高生とおっさんがほのぼの寄り添っていくってパターン。一方レディコミなんかだと姪にぐいぐい来られて過ちを犯す叔父さんとか(笑)

    店長の場合は常識人ていうのがポイントだったよ~。おばさんの目から見ても許容範囲で。声が平田広明っていうのもね、いいね。実写だと大泉洋がやったのかー。見たいなー。

    そうそう、短冊みたいなの。デザイナーさんなんかが使うものだろうに、持ってました。楽しいよね。大人の塗り絵やお絵かきが定着して、またすごい色数の色鉛筆が売れてるらしいけど、ん十年前にも、色辞典て色鉛筆が流行ったことがあって、私は絵を描くわけでもないのに持ってました。色って楽しいよねー。
    『フランスの色』『日本の色』めっちゃ気になる。見たい見たい。

    感想、覗かせてもらいました。すごいボリューム。確かに一生ものだ。
    実は、『カップルズ』もようやく読み始めたところで(図書館でいつも貸し出し中だったのよー)、まだほんの数ページなのだけど、なるほどこれは小清水くん、と思ってたところなのでした。シンクロ率……(笑)

    「昇華」って、だって書く側の人間のものだものね。「小清水くんは淡い恋心を吹っ切り、昇華させるために」ってあるみたいに。それを忘れてしまうって、要は読者の方ばかりを見てるからじゃないかって私は思います。
    前前回のノートでちょっと触れた公募審査での編集者と選考委員の温度差も、ここがポイントなのかなって。読者の方を向いてる編集者と、作品の内面(それが書かれる過程までも)を見てる作家や評論家とで見てるものが全然違ってそう。
    その齟齬を埋めるべきか、埋めないべきか。
    私は、作品を発信して読まれたならそれはもう読者のものっていう考えだけど、でも、書き上げるまではやっぱりそれは作者のものだって、その意識が薄くなってたなって。ウケなんか気にしたら守りにしかならないって。それ忘れてたなって。

    そんなこんなを考えちゃって、なかなか筆が上がらない自分がいるのでした。家の中がバッタバタっていうのもあるのだけど。もう今は書きたい欲がマックスになるまでインプットに励むのだ。
  • 青春ですよねー。でも、あの店長って確か40代でしたよね。にしては、あまりにも昭和っていうか、現代じゃなくて20年くらい前の時点での40代(分かりにくい表現だなー)っていう感じがして。ただそれは別に違和感というほどのものでもなくて、私もあのキャラクター、いいと思いました。むっちゃ常識人。平田さんの声いいですよねー。おっさんなんだけど、どこかに、ひそかに、少年の部分が残っている声で。大泉洋も見たかったですね。

    歳の差モチーフって、女性向けではよくあるパターンでしたよね。男性向けはまだしぶとくあるみたいですし(今だと漫画で『娘の友達』とか、未読ですけど)、少女漫画でもありますね。

    『カップルズ』図書館でいつも貸し出し中というのが私としては実は感慨深いものがあります。この人の小説、むちゃくちゃ巧いんですけど、これまであまり正当な評価をされてこなかったですし、それほど人気もなかったので。直木賞効果かなー。

    >「昇華」って、だって書く側の人間のものだものね。
    ですね。そして、「昇華」するっていうことは、「昇華」する前の何かがあるっていうことですよね。「昇華」させてあげなければ、どろどろに溶けて腐っちゃったり、自家中毒を起こしちゃったりするようなもの――。
    >思春期のいら立ちとか生きづらさとか、社会への不満とか、もちろん垂れ流すだけじゃ作品にはならない。
    私たちには、そういう何かがあったし、そして今もあるはずですよね。なんかちょっと、私も忘れかけてたものを思い出した気がします。やばい、やばい。そういうのを垂れ流すだけじゃない、「昇華」させる作品、書きたいです。
  • しまった。また忘れるところだった。

    4月6日からEテレで『銀河英雄伝説Die Neue These』やります。ご存じかもしれませんけど。以前民放でやったのって12話までで、13話から24話までは劇場で公開されてました。今回また1話から24話までやります。今のところ制作されているのは24話まで。どこまでかというと、「わが友」までです。先は長い……。
  • あー、わかるわかる。昭和の40代だね。令和の40代はもっとちゃらんぽらんで悪い意味で子どもだもん。全体的に、古き良き時代の人って感じのキャラたちだよね。いい意味で。横浜の背景もすごくよかったです。

    直木賞って時期をハズすからねー。ノリに乗ってるときに貰えないで、功労賞みたいな感じになっちゃったりさ。業界の人もあれは不思議がってるみたい(苦笑)
    糸井重里との対談があって面白かったよ。知ってるかな? これも、すごい身につまされる。
    https://www.1101.com/satoshogo/

    うふふ、録画予約済みだよー。すごい楽しみ。いよいよかあ。私あの事件後の、ハルトとアンネローゼの対面シーンのアンネの表情がすごく好きで。旧作でも道原さんのマンガでも。だから新作でどんな風になってるのか、ドキドキ……
  • 直木賞、ほんとそうですよね。たぶん本人は、「なんで今ごろ? ふざけんなよ」って思っていてもおかしくはないなーと。この人、ずーっと佐世保で書いてて、直木賞の授賞式にも出てこなかったんです。くれるのならもらうけど、権威にへこへこしないスタンスがすごく好き。

    糸井さんとの対談、読んでました。さっき読み返しましたけど、やっぱりすごく面白いです。二人とも仕事の中身は違うけど、どちらも言葉を操ることにかけては超一流の人たちですから、さすがです。お互いの発言に対する理解力が半端ない。佐藤さんのスタンスは、Web小説の書き方とは真逆で、でも私にとってはそれが小説としては当たり前の形でした、ずっと。

    佐藤さんの言う「まずは自分が」っていうのって、奈月さんが書いてた「書き上げるまではやっぱりそれは作者のもの」っていうのに通じるなーって。これまたシンクロしてるなーと思いました。

    うふふ。ですよねー。実は私は劇場に観に行ってるのですけど、当然また見ます。さて、お姉さまの表情、どうでしょうか。どきどき。
  • >Web小説の書き方とは真逆

    ほんとだね。私すっごい反省しちゃいました。カクヨムにいて麻痺しちゃってた。本当に駄目。反省!

    売れる=正義なんかじゃない。お金より賞より大事なものがある。綺麗ごとでも、綺麗ごとを貫くのがフィクションだよね。なんつって。
  • 私も自分なりの綺麗ごと、貫きます!

    ところであのぉ、自主企画『おしゃれな雰囲気の小説募集』に小清水くんの『オムレツ VS Omelette』を参加させちゃいました。奈月さんにはもう読んでもらっているので、どっしよっかなーと思ったのですけど、企画内容に書かれていた雑誌の名前を見て、つい指が勝手に……(『&Premium』むっちゃ好き)。

    この小説自体、特におしゃれな雰囲気だとは思わないんですけど、ほかに思いつかなくて。さらっと新作投入できたらかっこいいんですけど、明日までなんですよね。ううう。
  • やたー。実は、Han Luさんきてくれないかなーと密かに思ってました。私は読んじゃってるけど。
    小清水くんシリーズは全編スタイリッシュでおしゃれだと私は思ってますよ。

    この企画も、前にぶ~けの話とかしたときから、やりたいなあと思ってたものなので。
    恋愛ジャンルのランキングも男性向け作品に乗っ取られちゃっててさ、女性向け寂しいなーと思って。特に、本当の意味で大人の女性が読むに堪える作品に目立って欲しい。
    LINEノベルのランキングを見てると、web小説って潜在的に女性の読者の方が多いと思うのだけどな。この間うっかりラノベのページに行ってしまったら、溺愛系がランキングを占領してて驚いた(^-^; さすがスターツ。
  • よかったー。えへへ。前にぶ~けとかのお話したから、私も、むむむこれは、って思って。

    カクヨムはやっぱり男性向け中心ですもんね。LINEノベルのラノベの総合ランキング見ました。な、なんですかこれは……。ラノベの方って見てなかったのでびっくりです。Web小説、確かに女性の潜在的なニーズ高そうです。でもこれ、どういう層が読んでるんでしょう。20代から30代くらいで……あと共通する何らかの属性が分かったら、面白いことができそう。たぶんとっくに分析してるんでしょうけど、例えばもっと他のビジネスとタイアップしたら、とか思っちゃいます。そんな単純な話でもないでしょうけど。
  • どうも!えろ作家・水ぎわでございます。
    そうですね、恋愛物語はわかりやすいほうがいい、に賛成です!
    ストーリーはひねってないほうが好きですねえ。

    書き手としては、どれほどわかりやすく書こうとしても、
    恋愛中のキャラたちは好き放題にやりやがって、動きやがるので
    けっこう疲れます。
    しかし、書き手がつかれない物語は、読み手にとっても意味がないでしょうから。
    骨身を削って書くのが、書き手の使命ですね~。
  • こんにちは。コメントありがとうございます。

    そうですねえ。そもそも恋愛ものって誰と誰がくっつくのかある程度分かってるだろう上で(その読者の予想をはずし過ぎるのもよくないわけで)、どう読者の意識を引っ張るのかが腕の見せ所であり、私はそのあたりの演出に自信がないので、課題は多いです⤵

    >恋愛中のキャラたちは好き放題にやりやがって

    あー、わかります。うちのキャラもそんな感じです(笑)
    私もノリノリでやりたいようにやらせちゃう方なのですけど。その方が面白くなりますしね。
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