おもち「ハッピーニューイヤー!!」
ヨシノ「い、いぇぇぇい……?」
おもち「新年何だからもっと盛り上がらないと!! 一年の始まりだよ?! 一年に一回しか無いんだよ?!」
ヨシノ「済みません……」
おもち「ま、いいや。あれ? ハチ無言だけどどうしたの?」
ハチ「いやぁ……おせち料理について考えていたんだけどね」
おせち「あんたおせちなんて作んの?!!」
ハチ「一応ね」
ヨシノ「意外です……」
ハチ「其れに何を入れようか考えているのだ」
おもち「あれ? でもおせちって正月前に作るんじゃ……」
ハチ「そんな時間無いからね。大晦日まで働いてるし」
ヨシノ「探偵って、ブラックだ……」
おもち「それってもうおせちである必要ある?」
ハチ「何?」
おもち「ふつーにさ、正月のご馳走で良いんじゃない?」
ハチ「ふっ馬鹿め。別に僕が食べるだけならそんなもん要らないんだよ」
おもち「えっ……じゃあ他に食べさせる相手がいるってこと……?」
ハチ「其れは本編で追々記述されるだろう(設定ノートより)。今は最高機密だな」
ヨシノ(こんな本編ですら無い近況ノートに伏線的なの張っちゃって良いのかな……)
おもち「なるほど……」
ヨシノ(あ、そこは普通に納得するんだ……)
ハチ「何か具材に良いの無いか?」
おもち「米!! おにぎりでしょ!!」
ヨシノ「おせちにはそんな物入ってませんよ……! 基本は田作りとか黒豆、数の子では……?」
ハチ「そんなイレギュラーな物買う金は無い」
ヨシノ「あっ……」
おもち「伊達巻と蛤、海老、米」
ハチ「話聞いてる? 出来れば冷蔵庫の中にあるようなもので頼む」
おもち「買い出し行けよ」
ハチ「深夜に作って朝起きたら『あれ? 何かある!』っていう感じを目指してんだ」
おもち「サンタクロースかよ……」
ヨシノは百科事典を捲っている。
ヨシノ「あ、有りました!」
おもち「おっ、何々?」
ヨシノ「筑前煮が良いらしいですよ! これなら根菜と鶏肉を漠然と煮込むだけらしいですし。あと、人参と大根、お酢を混ぜたのかな……なますっていうのも良いんですって!」
ハチ「それなら出来るかも」
おもち「でもさ、おせちの具材って偶数駄目なんでしょ」
ハチ「貧乏人に優しくないな」
おせち「もういっそ米入れちゃえ!」
ハチ「そうだな」
ヨシノ「結局入れるんですね……」
こうしてハチの作ったおせち料理には米が詰まっているのだが、彼等は知らなかった。
こんにゃくを捻って入れた物は、立派なおせち料理であることを。