あっというまに十二月です。さすがに寒いですね。
そんな今日この頃ですが、つい先日――巷を騒がせている「特殊詐欺」に、私も危うく引っ掛かりそうになりました。「あんなものに引っかかるはずはない」と高をくくっていた、疑り深い私がです。なので、皆様にも注意喚起を兼ねて、ここに記しておこうと思います。
始まりはNTTドコモを騙る自動音声電話でした。
なんでも、「携帯電話の利用料金が支払われていないので、来月から利用停止になります」という文言でした。
まずここで疑うべきでした、というか疑ったんですね。
なぜかというと、私は携帯電話を利用していないし、未所持なもので。
だから、これはおかしい、詐欺に使われているのでは? と思ってそのままとりあえず聞いていましたら、NTTドコモの「本町支店」というところの担当者に繋がりました。
事情を説明すると、「おそらく詐欺に使われているのでしょう。どこかで個人情報が漏れたのかもしれません。こちらでは●月●日に、貴方様の運転免許証で契約記録があります。このままだと利用料金の支払い義務が発生してしまうので、直ちに警察にお繋ぎしますので、そこで被害届を出してください」ということでした。
はい、もう引っかかってます。
まず、私は運転免許証を返納しています。なので、使われたとしたら別人のものに、私の名義が合わせられたと考えてしまいました。そんな馬鹿なことあるはずないのに。
そして民間の企業が警察に繋げられることはできません。こんな初歩的な部分で、騙されてしまったのです。
そして、NTTドコモ本町店――を騙る詐欺グループ――からは、以下の七項目を警察にお伝えください、と言われました。それがこれです。
1.ファイルナンバー(※数字の羅列)
2.携帯電話本体および新規契約日
3.携帯電話番号|(※070-5168-9963で契約されていました)
4.契約者氏名|(※私の氏名です)
5.契約者住所|(※大阪府のどこかと言われました)
6.携帯本体と未払い料金額|(※19万6千3百78円だそうです)
7.契約場所
はっきりってどうでもいい項目です。
言われたことはほぼでたらめでしょう。むしろ、こういう細部を作りこむことで、信憑性を高めたと考えられます。
そしてNTTドコモ本町店から大阪の警察署へ。ここまで、ずーっと相手側からの着信のまま事が進んでいます。一度切って折り返すべきでした……大きな反省点です。
大阪府警察署に連絡すると、「ハシモト」を名乗る警官が担当。ちょっとお調べしますと言われて、あれこれ個人情報を聞かれました。住所や家族構成、思い当たる点などなど……。この時点で、銀行口座や金銭に関する話題はありませんでした。なので余計に信じてしまったのです。
担当刑事に電話が代わって、そうして明かされたのは「カネコマサル」という人物に口座を10万円で売りませんでしたか。その他の金銭を受け取っていませんか。貴方には特殊詐欺の下請けで逮捕状が出ています、という文言でした。まぁ、もうここで気づくべきだったのですが……
で、電話口の向こうでは何やら無線連絡が。
先ほど聞いた7項目をお伝えしたのを、向こうでもやり取りしているようでした。
その後、二時間ほどかけて不正利用の被害届と、調書作成という名目で、あれこれ個人情報を聞かれました。そしてついに、「銀行口座名を知りたいので通帳と、キャッシュカードをご用意ください」と告げられました。愚かにもわたくし、従っていました。
幸運だったのは、なぜか銀行名を伝えた瞬間に電話が向こうから切れてしまったことでした。どういうことなんでしょうね? とりあえず口座番号や暗証番号、カード番号を撮られる心配はなかったんですが、どうにも気持ちの悪い区切りでした。
もっとも、当時は「切れてしまった、どうしよう?」となっていたので、大阪府門真警察にこちらから連絡をしました。
結果わかったのは「ハシモトという警官などいない」「貴方が何を言っているのか分かりません」「そもそもカネコマサルって誰?」という流れで……そう、この時点で「特殊詐欺」であることが分かったのです。
恐ろしいですね……。
疑って電話口の話を聞いていたがゆえに、見事に乗せられてしまったという。まさか自分が、という思いで今も非常にショックを受けています。地元の専門機関――まぁ、所轄警察署の専門窓口に問い合わせたら、「いわゆる催眠」であると言われました。巧みにこちらの心理を突いてくるんだそうです。
そして、いま現在――私の在住地区では同様の手口が多発しているそうで、多い時には一日に三十件超の相談があるとも。これは相談件数なので、実際に発生している詐欺電話はその数倍はあるのでしょう。
ただ、今のところ実害が出たという報告はないそうなので、カード番号などの核心を伝えていなければ、とりあえず落ち着いてくださいと言われました。あと考えられるのは、日中の強盗ですね……。家族構成や住居の構成、日中の勤務先など……伝えてしまった事項はかなり多く、ここを突いて留守中を狙われたアウトかな、と。
以上のようなわけでした。
あまりにもあまりな顛末に、その日は半日呆然としていました。
まさか自分がねぇ、という思いだったからです。
とにかく、気を付けるべきは――
1.民間企業が警察に繋がることなどない。
2.身に覚えのない請求は無視でよい。
3.仮に請求があるなら書面で来ます。
4.一度切って折り返すこと。
この四点に尽きると思います。ですが、向こうは本当に巧みで……そうさせないような流れを作ってくるんですね。詐欺を疑う心を逆手に取られた感じです。皆様も、十分ご注意を。魔の手は本当にすぐそこまで迫ってきているのだなと……このほど痛感しました。
余談ですが、この詐欺電話があった数日後、私の住む地区の近隣で強盗が入りました。まかり間違えば我が家だったかもしれないと思うと、本当に恐ろしい。皆様も十分ご注意なさってください。