素人ながら小説を書き始めて、この6月で丸2年が経過しました。
そして本日、私のIDへのフォロワー数が遂に1000人の大台に。
2年前、初めて自作の小説を投稿開始した時は、まさかこんなに長続き&多くの人に見て貰えるようになるとは思ってませんでしたが、なんだかんだと『継続は力なり』ですね。
それで、フォロワーさんへの感謝の意を込め、ボツ作をサポ限無しで公開します。
現在連載しているラブコメ作品を書く少し前に、どんなラブコメ書こうかな?と考えていた時に思いついた設定で書いてみて、でも結局、先の展開を考えても面白く出来そうにないなとボツにした試し書きみたいな物です。
ですので、もし投稿するのなら修正が必要なレベルの物で、構成適当だし、文章もおかしい所が多いと思います。
良く言えば、作品を書き始める時のアイデアを文章にした原型?
普段こんな感じで作品を作り始めてるんですよ的な物だと思って頂ければ。
なので、つまんないとか誤字脱字が酷いとか続き書け等はご容赦を。
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仮題名『打算ありきの僕の青春』
高校生3年間は、僕たちが将来、より良い人生を歩む為の準備期間である。
ある者は、学業に専念して、良い大学、良い就職先を目指したり、資格を取得して希望の職種へ就く為の準備をし、ある者は、スポーツや芸事に励み、その道でのプロを目指し、そしてある者は、狭いコミュニティで日々駆け引きや根回しに励み、人脈やネットワークの構築と処世術を身に付けたり。
つまりは、この3年間ダタぼーっと無駄に過ごすのは、将来あるはずの可能性を自ら放棄するものであり、僕からして見れば、正気の沙汰とは思えない。
では、今現在の僕はどうだろうか?
公立だが地元では進学校として有名な所謂伝統校と呼ばれる高校に入学し、丁度1カ月が経過した。
スポーツはイマイチで特に秀でた特技なども無いので、勉強は中学時代から真面目に取り組んでいる。
入学直後の学力試験では上位10%には入っていたので、先ず先ずのスタートだろう。
そのお蔭か、クラスでは学級委員を任され、どうやら僕は勤勉な優等生という印象をクラスメイトたちに持たれているようだ。
交友関係に関しては、幸運な事に同じクラスにイケメンや美少女などの人気者が何人も居て、今のところは彼らとは良好な関係を築けている。
特に、クラスだけでなく1年全体でも有名なほどのイケメンハーフで人気のある宍戸ケニーや、私立からのスカウトを全部蹴って本校に入学した陸上部期待の星である片山ハヤトの二人とは昼飯をいつも一緒に食べる程の友好関係を結べているのは、上々だろう。
僕は二人のことを、『ケニーくん』『ハヤトくん』と呼び、二人は僕を『ショーゴ』と呼ぶ。
僕が二人を呼び捨てにしないのは、二人と同等に並ぶことを避けるためだ。
あくまで自分は一歩下がったポジションでいい。
自分は彼らの様な1番では無く、2番手3番手ポジションだと弁えているスタンスだ。
他にも、優等生的なイメージを崩さないことも理由の1つとして挙げられるだろう。
それに必要以上に目立つのは色々とリスクを抱えることになるし、自分以上に目立つ人が傍に居れば色々と盾になって貰えるし。
それと二人とも人気者には珍しく、天狗になったり偉ぶったりすることも無く、二人が僕を友達として気を使ってくれているのを感じられる程度には友好的な関係だと自負している。
「ショーゴ、この間話した3組の子のことだけど」
「ああ、その話は前にも言ったけど、きっとその子の本命はキミだよ。 イケメンで人気者のケニーくんに近づきたくて苦し紛れに作った口実に決まってるじゃないか」
「いや、そんなことないと思うんだけどな・・・」
「実際に本人に確認して、その子は否定したの?」
「”それは口実で本当は俺のこと好きなんだろ?”とか聞けるわけないでしょ!」
「そうかな?ケニーくんならその程度のこと朝飯前だと思うんだけど」
「おま、俺のこと何だと思ってるの?」
「イケメンのハーフ?」
「はぁ・・・」
「ケニーも困ってるみたいだし、一度くらい会ってあげたら?その子、俺も見て来たけど、結構可愛い子だったぞ?」
「ハヤトくんまでそんなこと言って。二人の引き立て役である僕が二人を差し置いてそんなことある訳ないじゃないか」
そもそも、どこの誰かも知らない人と交際するなんてリスクが高すぎる。
しかも、それがイケメンのケニーくんの紹介とか、スタートラインがバグった状態なんだから、事あるごとにケニーくんと比べられて惨めな思いをするに決まってるからね。そんなリスキーな話に飛び込むほど、僕は愚か者では無い。
それに、僕には本命の子が居るし。
僕の女性関係に関しては、まだ彼女と呼べる人は居ないが、”この人”と思う人は居る。
クラスメイトで僕と同じ学級委員の、葉山モエ。
ストレートの黒髪が似合う整った容姿で、クラス内の美少女ランキングで言えば、2番手か3番手だろう。
学力も僕と同レベルで、学校での生活態度は真面目だし口調も穏やかで人当たりも良好。
こんな子を彼女に出来たら、お互い学業でも私生活でも高め合って、有意義な高校生活を送れるだろうと確信している。
「葉山さん、これから1年間、相方としてよろしくね」
「うん。 私、こういうの学級委員とか慣れてないから、色々と脚引っ張っちゃいそうだけど、よろしくね」
「それなら大丈夫。僕もこういうのは初めてだから」
「じゃあ、二人とも慣れない同士、一緒に頑張ろうね」うふふ
葉山さんとのファーストコンタクトはこんな感じだった。
それからの1カ月は、学級委員としてクラスでみんなの前に立つ際には常に僕の横には葉山さんが居て、自分では『こんなにもお似合いのカップル、他には居ないよね』と思いつつも、学級委員の相方というビジネスライクな関係止まりで、まだ親密な関係には進めずにいた。
因みに、クラスには学年で一番可愛いとされている下倉ルナも居るが、彼女はダメだ。
確かに可愛くて明るく愛嬌もあって人気者だけど、髪は茶髪でいつもくるくるにしててメイクも毎日バッチリで、所謂陽キャだ。
ウチのような伝統校には似つかわしくない風貌で、そしてその見た目通りいつも馴れ馴れしい。
まぁ、本校に入学出来たくらいだから学力的には悪くはないのだが、如何せん普段から態度や口調が軽くて賢そうには見えない子なのだ。
こんな子と一緒に居たら、僕までバカっぽく見られてしまう。
「ショーちゃん!ちゃんと聞いてる?」
「ああ、勿論聞いてたよ。 ペットのわんちゃんが脱走した話でしょ?」
「ちっがうし!ルナ、ペット飼って無いし!全然聞いてないじゃん!」
「そうか、ごめん。 で、何の話だったの?」
「だからぁ!また他のクラスの知らない男子から呼び出されてて、行きたくないって話!」
「なるほど。モテ自慢って訳か。そういう話は僕じゃなくて、ケニーくんやハヤトくんに相談してくれよ。彼らならきっと君の気持ちに共感してくれるだろ?」
「えー、ルナはショーちゃんに聞いて欲しいんだけどなぁ」
「はぁ、分かったよ。 呼び出されてるのは放課後?」
「うん!また一緒に行ってくれる?」
「了解。告白されそうだから、立ち会えば良いんだよね?」
「うんうん!」
因みに下山ルナとは中学からの知り合いで、以前はこんな派手な子じゃなくて地味だったし、もっと落ち着いていた。
それが、高校に入って派手になるわ、同じクラスで席が近いからと馴れ馴れしくなった。
『ショーちゃん』と呼ばれる様になったのも、高校に入ってからだ。
多分、受験勉強から解放されて、はっちゃけてしまったのだろうね。
そして放課後。
「すまないが、下倉さんが一人だと怖いっていうから、僕も立ち会わせて貰うね」
「え、なんで・・・」
「戸惑う気持ちも分かるけど、そうでもしないと今日ココへは下倉さんは来なかっただろうし、そこは理解してほしい」
下倉ルナは、呼び出しの張本人である男子生徒と向かい合っている僕の背中に隠れて、全部僕に喋らせる。
「では、どうぞ!存分に告白でも何でもしてくだしゃい!」
あ、大事なところで噛んじゃった。
「あ、あの・・・下倉ルナさん・・・好きです・・・付き合って下さい・・・」
名前も知らない男子生徒はそう言い、頭を下げて右手を差し出している。
事情を知らない人がこの場面だけ見たら、僕が男子生徒から告白されてる様に見えるのだろうか?
いまいち緊張感が無い空気の中でそんなことを考えていると、背後に居る下倉ルナが僕の制服をチョイチョイと引っ張ってきた。
「ん?どうしたの?早く返事してあげなよ」
「(ごめんなさいって断って)」
下倉ルナは内緒話でもするように小声の早口で僕に指示を出すが、普通に相手にも聞こえている。
「聞いての通り、ダメらしい。 ・・・ごめんなさいね」
「ううう・・・」
居た堪れない重い空気に耐えられず早々に解散し教室に戻るが、下倉ルナは「ショーちゃん、一緒に帰ろう!」と途端に元気になりやがった。
多くの男子生徒を虜にしている美少女からフレンドリーにされるのは、普通なら喜ぶべきだろうが、僕には本命が居るからね。 葉山さんに要らぬ誤解を招いてしまいかねない訳で、僕としてはちっとも得にならないので止めて欲しい。
教室には、まだ何人もクラスメイトたちが残ってて、中には葉山さんも居た。
もしかして、残って学級委員の仕事をしてたのだろうか。
もし、知らない内に何か面倒な仕事を押し付けてしまっていた場合、僕への好感度に大きなマイナスとなってしまう。
なので、『コレは不味いぞ』と下倉ルナのお誘いをスルーして葉山さんに話しかけた。
「葉山さん、もしかして学級委員の仕事、何か残ってた?問題発生してない?」
「ううん。お喋りしてて偶々残ってただけだから、問題ないよ」
「そうか。なら良かった。 知らずに何か仕事を押し付けてしまったのかと心配したよ」
「うふふ。滝川くんは真面目だね。 それより、ルナちゃんと滝川くんってホント仲良しなんだね」
ほら!葉山さんが勘違いしちゃってるじゃないか!
「全然そんなことは無いよ。ちょっと頼まれて告白の呼び出しに立ち会って来ただけだから」
「え?そうなの?でもそれはそれで凄くない? だって相手の人にしてみたら、滝川くんのこと彼氏だと思ってるんじゃないの?」
「は!?ナニ言ってるの葉山さん!そういう誤解、凄く迷惑なんですけど!?」
「ショーちゃん、まだぁ?早くかえろーよぉ」
「帰りたければさっさと一人で帰れ!僕はいま葉山さんの誤解を解くのに忙しいんだ!」
「えーっと・・・」
「そだ!モエちゃんも一緒にかえろーよ!」
おぉ?
葉山さんとも一緒となれば、教室とは違う一歩進んだコミュニケーションが出来るのでは!?
これは葉山さんとの距離を詰めるチャンス!
そう思い至った僕は、先ほどまでの態度を一変させ、ニコニコスマイルで優しく語り掛ける。
「確か、電車が途中まで一緒だったね。 葉山さんさえ良ければ、どうかな?」
「うん・・・じゃあ」
葉山さんは俺と視線が合うと照れくさそうに了承してくれた。
「おっけー!帰りマック寄って行こう!」
だが結局は、葉山さんとの貴重な放課後タイムは下倉ルナの独壇場となり、僕が葉山さんに何か話しかけても全部下倉ルナに邪魔されて、葉山さんと交友を深めた手応えが全く無いまま解散となった。
僕は、自分が計算高く、打算で物事を判断している自覚がある。
得てしてそういう人間は、周りから距離を置かれやすいことも知っている。
なので、そういう本性は隠す。
それも計算と言えよう。
誰と仲良くなれば得するか。
誰と一緒に居ると損するか。
この人は僕に利をもたらすか。
この人は僕に害をなすのか。
そして今現在の僕の判断では、葉山モエは僕にとって得をもたらす女性であり、下倉ルナは僕にとって損ばかりする女性だと判断している。
下倉ルナに関しては高校入学してまだひと月だと言うのに、既に多くの実績があるし。
何かにつけて相談話を持ち掛けられ、本来は無関係のはずなのに変な事ばかりに巻き込まれているからね。
その全てが恋愛絡みで、本心では『面倒臭いな!誰か適当なのと付き合いなよ!』と思っているにも関わらず、僕自身の周りからのイメージを守る為に紳士的な対応を続けている。
そのそのも始まりは、入学早々の時期に下倉ルナから同じ中学出身の顔見知りということで相談され、安易に1度協力したら妙に懐かれ、今では完全な友達認定されてしまった。
その影響で、葉山さんには俺と下倉ルナが仲良しだと思われてしまうし、他の男子生徒たちからは恨まれることも何度かあった。
元々は下倉ルナに限らず他のクラスメイトたちにも、打算的な本性を隠して、学級委員らしく責任感があって友人の悩みにも真摯に応える善人の仮面を被っていたので、それが裏目に出たとも言えよう。