• 恋愛
  • ラブコメ

サポーター様へ、細やかなお礼に、ボツを公開します。

ギフトを頂きまして、ありがとうございます。
お返しに何か出来ないかと考えまして、過去に書いたボツの書き物を公開します。

随分前に異世界ファンタジー物を書いてみようと1話だけ試しに書いた物です。 結局そのまま断念しボツにして、公開するつもりは無かった物になるので、お話としてはあまり面白い物ではありませんが、限定公開することで細やかなプレゼントにでもなればと思います。


__________

 


 朝の素振り500本

 ジョーダンの構えから木剣(ナガマサはボクトウと呼んでる)をひたすら無心で振り下ろす。
 手は豆だらけ
 シャツは直ぐに汗で濡れてしまう為、いつも裸で素振りだ。
 あ、下着(ナガマサはフンドシと呼んでる)だけは身に着けてる。 

 ナガマサの弟子になってから早2年。
 未だに素振りしか教えて貰っていない。

 一度剣技を教えて欲しいと訴えたけど、鼻で笑われた。
 剣だっていつまで経っても、ナガマサの手作りの木剣しか使わせて貰えない。

 自分は、もの凄い業物(ナガマサはイチモンジと呼んでる)を持ってるのにさ。

 でも、俺には他に何もないから、今日も素振りする。








 俺とナガマサは、修行を続けながら旅を続けている。

 旅の目的は、人探し。

 サラという少女だ。



 サラと俺は同じ孤児院で育った。

 俺たちは赤子の頃、同じ月に孤児院に預けられ、赤子の頃から常に一緒に育てられた。


 2年前、俺たちが12才になった月に、サラに魔力覚醒が起きた。

 魔力覚醒、すなわち人類の宝となる素質だ。

 その素質を持つ人間は、数千人に一人と言われている。

 詳しいことは俺も知らないが、魔力覚醒した人間はその魔力で、傷を癒したり、何もない所から炎や水を作り出したりと超常的な力を持っているらしい。

 幼少期に魔力覚醒した子供は、王国の保護の元、教会にてその魔力の修行と最高水準の教育を受けることになる。
 そして、いずれは王国の、そして教会の担い手となっていく。
 具体的には、聖女や聖人と呼ばれる人々だ。



 2年前、魔力覚醒したサラは、その3日後には教会に引き取られることになった。

 俺とサラは、突き付けられた現実に気持ちを整理する時間も与えて貰えず、別れることにただ絶望した。

 三日三晩泣き続けたサラは、教会から派遣された馬車に乗って孤児院から去っていった。

 俺は必死にサラの名前を叫び続け、馬車を追いかけようとしたけど、大人たちに押さえつけられ追うことが出来ず、ただ泣くことしか出来なかった。






 しかし、俺は諦めなかった。
 再びサラとの穏やかで幸せな日々を取り戻すため、孤児院を抜け出し、サラを連れ戻すことにした。

 サラが孤児院を去った日から二日後の夜更け、満月の月明りを頼りに調理場の倉庫から干し肉やパンを盗み、それらをバッグに詰め込んで孤児院を飛び出した。


 馬車が去っていった方角へひたすら走った。
 寝る間も惜しんで走り続け、食料も尽き、それでも馬車に追いつくことが出来ず、俺の体は限界を迎えた。


 疲労と空腹で眠り込んでいた俺は、気が付くと街道の脇の草むらに倒れていて、野犬に腕を咥えられていた。

 野犬の牙が腕に喰いこみ痛みで目が覚め、必死に振り払おうと腕を振るけど、野犬のが力が強くて逆に引き摺られていた。

 死の恐怖にしょんべんを漏らし泣き喚いていると、一人の剣士が現れて野犬の首を撥ねた。


 何とか腕を引き抜いて、転がるように後ろに下がると

「ぼーず、大丈夫か? 怪我してんのか?」

『だ、だれ!? お金も食べ物も持ってないぞ!』

「そんなこと聞いてねーよ。 怪我してんなら見せて見ろ」

『ち、近寄るな!』

「はぁ、ぐずぐず言ってねーでとっとと腕見せろ! 腕腐って動かせなくなるぞ!」

『く、腐る!?』

「ほら、手当してやるから見せてみろ」

『・・・・・』



 その剣士は火を起こし、俺の腕の怪我を確認した。

 次に、革袋を取り出して、中の白く濁った液体を腕にバシャバシャかけた。

 激痛に悶える俺に剣士は

「これはお酒だ。 怪我したところが腐らない様にショードクしてんだ」

『い、痛いよ!』

「ちったぁ我慢せい」

 そう言いながら、今度は怪我の上から布を巻いてくれた。

「ひとまず簡単な手当は済んだから、水飲んで横になって寝とけ。 俺は犬の解体するから」

『わかった・・・・ありがと』

「おう、気にすんな。 肉焼けたら起こしてやるからな」



「ぼーず、起きろ。 肉焼けたぞ」

『う、うん・・・』

「ほら、遠慮せずに喰え。 お前ロクにメシ喰ってなかっただろ」

『・・・・・』

 渡された骨肉にかぶりついた。
 まともな食べ物は5日ぶりだった俺は、ひたすら骨肉にしゃぶりついた。

「ぼーず、名前は何て言うんだ? 俺は”ナガマサ”だ」

『俺は”カカ”』

「カカか。カカはこんなところで何してたんだ?」

『人探しの旅だ』

「ほう、人探しか。 俺と一緒だな」

『ナガマサもか?』

「おう」

『ナガマサは旅の冒険者なのか?』

「いーや、俺はモノノフだ」

『モノノフ?』

「そうだ、モノノフだ」



『ナガマサ、旅に俺も連れて行ってくれ。荷物持ちでも何でもやる。もう一度サラに会いたいんだ』

「ほう、お前の探しているのは、女なのか?」

『うん、孤児院でいつも一緒に居た女だ。 魔力覚醒して教会に連れていかれた』

「なるほどな・・・・だが、荷物持ちはいらね」

『う・・・』

「弟子にならしてやる。 ぼーずは弱すぎる。そんなんじゃその女見つける前に野犬のエサになるだけだ。 だから俺が鍛えてやる」

『ほ、本当か!?』

「おう、ブシにニゴンは無い。 俺と一緒に旅しながら修行だな。 どうすんだ?」

『もちろん弟子になる!』

「わかった。なら腕の怪我治ってからだな」



 こうして俺はモノノフのナガマサと出会い、一緒に修行の旅をすることになった。









_____________

ココで終わりです。
続きはありません。

異世界物はとても難しいと思います。
1話だけ書いてみて、自分には無理だと悟りました。




コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する