• に登録
  • 恋愛
  • 現代ドラマ

まだまだ語り足りない――同題異話SR制作裏話(おまけ)――後編


まだまだ語り足りない同題異話SRのお話のコーナーです。
前編では各月のタイトルを振り返るところまでいきましたが、24もタイトルがあるんですものね。書いてて途中で力尽きました。
24のタイトルしか出せなかったと言うこともできます。ライナーノーツにも書きましたが200~300くらいのタイトルが没になってます。
ここで没タイトルを紹介してもいいんですが、もし第3期があった時に使えるかもしれないので控えておきます。

最初の最初は何もストックがない状態だったので、かなり時間をかけてタイトルに悩んでましたね。Excelのファイルでアイデアをまとめていってたんですが、どんどん膨れ上がっていきました。一応1年分のタイトルが出そろった後でも、ギリギリまで粘って再考を重ねることが多かったので、やはり没タイトルは増えました。

ギリギリまで粘って良い結果になったかと言えば半々で(苦笑)、素直にやっとけばよかったじゃないかと思うこともありました。最後の3ヶ月くらいは腹をくくりましたが、それまでは毎月末になると「これ違くない?」ってなって悩んでましたね。

没ネタの話を挟んでみました。では第2期12個のタイトルを振り返って今だから思うことを書いていきたいと思います。


・春風ひとつ、想いを揺らして
これ“らしくない”タイトルで、特段良いとも思ってないんですが、まあ一、二を争う難産でしたね。
第2期のスタートだったんですが、春の象徴であり始まりの象徴、“桜”を第1期で2回も使っちゃってるわけですよ。辞書とにらめっこしたりして、他の春らしくかっこいい言葉を探したんですがうまくいかず、結局は難しい言葉を避けて無難な春風で落ち着かせました。
本当に困ってたので、タイトルは基本的にひとりで考えるのですが、この時は友達に相談しました。

・午前三時の小さな冒険
個人的には好きなタイトルですね。午前三時という時間を指定したわけですが、さあどうしますか?ってみなさんを試すような試みは好きです。主催者目線の好き嫌いですけど。
そういう意味では第1期の「きみに会うための440円」は良かったですね。
第2期ってけっこうきつくて、第1期で用いたフレーズは使えないわけですよ。ついでに言えば3年前に始まった最初の同題異話とも被らないように気をつけたので、続ければ続けるほどタイトル決めが難しくなり、苦しいタイトルも出てきちゃいましたね。

・間違いなく君だったよ
そんなわけで苦しいタイトルのひとつです。苦し紛れの手抜きというか、これ、僕が以前に書いた詩のタイトルそのまんまなんですよね。
第2期のタイトルはなかなか思い通りにいかなくて。第1期という制約があるだけでこんなに違うのか、と。
もし第3期やることになったらどうなるのか、怖いところですね。

・サンダルでダッシュ!
頭空っぽのタイトルがやりたかったので出しました(笑)。
今までと路線が全然違ったので、みなさんの中には戸惑いもあったかもしれませんね。ライナーノーツでも触れましたが、本当は第1期から出したかったタイトルだったので、どうしてもやりたかったんですよ。悔いはありません。
頭空っぽにしてもみなさん参加してくださったのでありがたい限りでした。

・願いをさえずる鳥のうた
これは今から思うに別なタイトルでもよかった気もします。第1期の『愁いを知らぬ鳥のうた』に続く、“鳥のうた”シリーズ第2弾なわけですが、そんな大人気というわけでもなかったですし。
ただ、シリーズということで、前回の“鳥のうた”と絡めた作品も見られましたね。その点、試みとしては面白かったのかもしれません。

・サヨナラ、小さな罪
この時は気に入っていたタイトルだったのですが、ギリギリまで再考する無計画さゆえといいますか、“サヨナラ”のフレーズをここで使ってしまうツケが後に巡ってくるとは考えていませんでした。このタイトルがなければ、第2期3月のタイトルは『さよならの向こう側』になっていたと思います。
まあ『きみの物語になりたい』を悪いタイトルとは思っていませんし、いいんですけれども。
いつも月末になるとタイトル再考してたのは、いつも受け入れてもらえるか不安だったからです。結果としては杞憂でしたね。

・珈琲は月の下で
どれが一番悔いの残るタイトルかと言えばこれです。本当にギリギリまで悩んだ末に出したタイトルだったのですが、それゆえに諸々を想定してみる余裕もなく、わかりやすいタイトルを目指したわりに、「月の下(夜)に飲む珈琲ってどんなやねん」って悩むことになるし、もっとやりようがあったんじゃないかなって思ってます。
次がハードモードですよって予告してたので、クッションになるタイトルがよかったんですけど、やはりSRは書きやすさとは無縁です。もっと間口の広いタイトルを考える才能があればよかったのかもしれませんが、香鳴節が封印されることになっちゃいますし、両立できれば一番よかったんですけどね。
参加作品数の多かった『愁いを知らぬ鳥のうた』が間口が広いとは到底思えないので、結局、どんなタイトルを目指せばいいのかは2年やっても謎のままなんですけど。

・愛と呼べない夜を越えたい
これが最後のハードモードです、と言っていましたが、見事に嘘でしたね。この後に『凍えるほどにあなたをください』が出てくるので。
いやあ、ライナーノーツでいろいろ語りましたが、結局嘘じゃんってこと多くて。本当に信用できないライナーノーツでした(苦笑)。主催してる本人が、まあ良かれと思ってタイトル再考したりするんですが、けっこう行き当たりばったりだったので、そりゃあそうなりますよね。
ハードモードはSRならではの試練みたいに捉えていました。
あとは単純に思いついちゃうんですよね。ハードなやつ。思いついちゃうと、これ使いたいなってなっちゃうんですよね。ほんとすみません。

・雪待ちの人
雪国の人には申し訳ないことをしたなって思ってます。僕は関東に住んでるので雪を待つ気分にもなれますが、地方によっては「雪なんて勘弁してくれ」ってなりますよね。そういう点は心残りですが、SRには珍しいシンプルなタイトルで、そこは納得してます。
どうもタイトルが長くなりがちなんですよね。
余談ですが、タイトルが長くなるとTwitterで宣伝する時に文字数取られて、書きたいことを書き切れなくて困ります。

・凍えるほどにあなたをください
というわけで長いタイトルです。没ネタの中にはもっと長いタイトルもありましたが見送られました。
狙ってなかったんですがハードモードになっちゃって、みなさんを困らせることとなりました。本当にみなさんよく耐えましたよね。よくよく思い出してみれば、出してきたタイトルにケチつけられた記憶ってないんですよ。いや直接言われなかっただけで心の中ではいろいろ思うところはあったかもしれませんが、いずれのタイトルも受け入れてくださって。みなさんの度量に感謝するしかないです。
この時はちょうどカクヨムコンと時期が被ってて、さすがにSRは分の悪すぎる裏番組なので、参加作品数の伸びはいつもより悪くて、企画ページ見るのがちょっと怖かったですね。結果としては30弱くらい集まったので、まあSRとしては及第点でしょうか。

・Dear K
これも若干悔いの残っているタイトルです。何か特別な欠点があるかと言われればそうでもないですし、どこかで「K」を使いたかったってのはあるんですが、それが先走って、みなさんの書くものに寄り添えてなかった気もします。まあ書きやすいタイトルではあったのかもしれません。
とはいえ作品のバリエーションを広げられるものではなく、手紙ネタが多かったのでその点も反省点でした。
ラストのひとつ前にワンクッションという感じでしたが、良かったのかどうかはわかりません。

・きみの物語になりたい
最後はこのタイトルでいこう、と、ずいぶん前から決めていたものではあります(でもやっぱり再考しちゃって、一時『さよならの向こう側』にしようと思ったりもしましたが)。迷いはありました。今でもこれで良かったのかなと不安に思います。もっと最後っぽいタイトルの方が良かったかなって。
けれど、これは嘘偽りのない僕の願いそのままのタイトルです。堂々としていようと思います。
SRはSRにしかなれませんでした。けれどみなさんは(ハードモードにも耐えつつ)そばにいてくださいました。ありがとうございました。


そんなわけで24のタイトルを振り返りましたが、長かったですね……。
24しかタイトルの枠がなかったわけで、それは月イチでやっている以上仕方ないんですが、出したいタイトルはもっとたくさんありました。
逆に、本来の予定なら12のタイトルしか出せなかったところ、第2期を決行したことで倍になって、24もタイトルを出せたと考えることもできますね。
(個人的には『サンダルでダッシュ!』がお蔵入りにならなかったのがポイント高かったです)

話を変えると、妻が隣にいてくれたことはとても助かりましたね。
同題異話の主催、特にタイトルを考える作業って、かなり孤独な戦いなんですよ。タイトルは1日まで秘密にしておきたいわけじゃないですか。だから迂闊に誰かに相談できないんです。SRに参加しないであろう信頼できる友人に一度だけ頼りましたが、基本的にはひとりで延々と悩んでました。
妻がアイデアを出す機会はほぼなかったと記憶していますが、僕が考えたタイトルを見てもらって、「良い」「悪い」という評をもらえるだけでも、かなり救いになりました。最終的にゴーサインを出すのも妻の役目でした。「〇〇でいっていいか?」「いいよ」ってな具合です。
結局は2年間ずっと杞憂に終わりましたが、毎月毎月、出すタイトルには不安ばっかり感じていました。期待感なんて感じてる余裕なかったです。

ずいぶん話が長くなりましたね。結局タイトルも全部振り返っちゃいましたし。
まあ、近況ノートまでわざわざ遊びに来て下さる方の暇潰しにでもなればそれでいいです。
これだけ書くのけっこう大変でしたけど(苦笑)。
※いつものライナーノーツは長くて1900字くらいですが、これ後半だけの現時点で4000字超えてます。

とりあえず体調に不安があるので整えますが、未来の見通しは何ともわかりませんねえ。
同題異話という企画の力はすごいです。そのブランドの力を借りてここまでやってきたというのが事実です。それに張り合えるような新企画を考えるとなると、なかなか難しいものがありますねえ。いやあ、同題異話を2年間もやらせてもらって、すごく恵まれてたなって話でもあります。
もっと細々とした企画を主催するかもしれませんし、SRの第3期を決行するチャンスを待つかもしれません。
ライナーノーツ同様、香鳴の言うことは信用ならないのでどうなるかわかりませんが(苦笑)。

もう何を書いてるか何を書きたいのかよくわからなくなってきたので、このへんで終わりにしますね。
本当に立つ鳥跡を濁すって感じでしたね(苦笑)。

改めて、2年間も主催者を続けていられたことを感謝します。それはいつもみなさんが集ってくださったおかげです。
2年間の不安はどれも杞憂でした。
今さらですけど、“SR”って付けましたけど、僕自身もSRと略して呼んでましたけど、実はあんまりかっこいいと思ってません(暴露)。ついでに、いまだに読み方が決まってません。僕自身は“えすれあ”って勝手に読んでますけど、だいたいは“えすあーる”で、大穴は“すーぱーれあ”です。最後まで読み方決めないって言ってましたけど、それは本当にその通りになりました。“えすあーる”ってちょっと長いといいますか、言いにくくないですか?
最後まであえて立つ鳥跡を濁す精神で書きました。
それではみなさんお元気で。またお会いしましょう。

10件のコメント

  • 香鳴裕人さんご苦労様でした。

    私の参加は最後の2タイトルでしたけど、一見組し易しも、これはどう畳むのかが気になってつい参加した次第です。
    今後もカクヨム史上難関なコンペとして声援を惜しみませんから、次シーズンのSRのご健闘を願ってます。
  • 本当に参加させていただいてありがとうございました。
    とても楽しかったです。
    タイトルにあう小説になっているか、不明なところもありますが、参加することで、勉強になりました。
    下手な作品ばかり書いていますが、これからもよろしくお願いいたします。
  • >判家悠久さん

    ご参加ありがとうございました。タイトルに何か引きつけるものがあったのならば嬉しいです。
    声援ありがとうございます。やっぱり難関なんですね(苦笑)。第3期は当面ないと思いますが、始まったらまたよろしくお願いしますね。
    最後のふたつですかー。もう少し機会が早かったらハードモードに巻き込まれてましたね(笑)。回避できましたね!(笑)
    コメントありがとうございました。
  • >増田朋美さん

    いつもご参加ありがとうございました。
    楽しかったのならそれでいいんです。それが一番の望むことですから。
    ルール上、タイトルに合うか合わないかは著者本人が判断することとしているので、あまり気にしなくていいですよ。
    タイトルを発表するとたいていすぐに参加してくださるので、主催者としてはそれで安心するところがありました。ありがとうございます。
    SRは終わってしまいますが、これからもよろしくお願いします。
    コメントありがとうございました。
  • こう言ったらなんですけど、奥さまが側にいるというのは羨ましいです。
    このタイトルでいいか、なんて会話ができるだけで羨望の念が押さえきれません。

    同題異話はいい訓練になりました。3題話とはまた違った趣があると思います。
    私はメインストーリーからタイトルを作るのがほとんどなので、タイトルから話を作るのは新鮮かつ楽しかったです。他の方の話もいい刺激になりました。

    個人的に第2期のお気に入りは「珈琲は月の下で」です。見た瞬間に大きな月の下で額を寄せ合う2人の映像が浮かんで、ふわっと珈琲の香りがして。

    ボツタイトルが一杯あるとのことで、第3期も期待したいところですが、まずは体調を一番に、気が向いたら不定期でも主催して頂けたらと思います。

  • >新巻へもんさん

    何かと苦労の絶えない我が家ではありますが、ひとりじゃないということは大きいですね。
    一緒に暮らし始めて3年半ほどになります。ちゃんと入籍したのは、ライナーノーツにも書いた覚えがありますが、比較的最近のことです。
    実は僕も妻も離婚歴があります。決して平坦ではない道程の末での再婚でした。当然ですが、もう二度と離婚はしたくないですね(苦笑)。

    SRが糧になったのなら何よりです。ぜひ今後の創作に活かしてください。三題噺はそれはそれで面白いのですが、同題異話には人を惹きつける魔力みたいなものがありますね。
    主催者が優れていたのではなく企画そのものが優れていたんだよなぁと思わされます。もちろんタイトルは本気を出して考えましたけれど。
    他の方の作品に興味が向くのが同題異話のいいところですね。本当に、優れた企画だと思ってます。僕はもともとあった同題異話に乗っかっただけなので、何というか、恵まれてましたね。

    「珈琲は月の下で」がお気に入りとして挙がるとは意外でした。そういうご意見もあるのですね。

    没タイトルは山のようにありますし、新しいタイトルを考えるのも楽しそうですが、諸事情ありましてSRは2期でいったんのおしまいです。その諸事情というのが今は詳しくお話できないのですが……
    まあ、そうそう悪い未来にはならないと思いますよ。
  • 私もそれぞれのお題にコメント書きたい気持ちを押さえて…正直生活の一部になってしまっているので(笑)前と合わせて三年同題異話を続けていると、毎月タイトルを待ちます。お気に入りというか全部思い出があって選べない(笑)
    うーむ、あえて選ぶならサンダルでダッシュ!カタカナとビックリマーク!夏だ!こうCMのようなインパクトがあって好きです。お話書き直すことが多いんですが、一気に駆け抜けた思い出。

    個人的には没タイトルも気になる!うちはタイトルを考えるのが本当に苦手なんです。1日に自主企画ページから同題異話とタイトルを見つけると、毎回すごいなと思うばかりです。

    とにかく楽しかったです。感謝してもしきれない、仕事してても友達と遊んでいても、どこか頭のすみにタイトルが住んでいて。手帳とかにアイデアを書いては消して、こちゃこちゃ考えるのが好きでした。ありがとうございます!!本当に体が一番なのでご自愛を!
  • >新吉さん
    24もありますし、それぞれコメント書いたら収拾つかないですよ(苦笑)。いやまあ書いちゃったんですけど。多くて疲れました(笑)。
    同題異話の歴史は長いですね。第2期やったから続いていったことを思うと、がんばってよかったなと思ってます。3年間は長かったでしょう。そりゃ生活の一部として馴染みますよね。最初はいち参加者だったので、1日にタイトルを確認して「なるほどこうきたか」と呑気にかまえていられましたが、主催する側に回ると、毎月月末が来るとそわそわしてました。
    『サンダルでダッシュ!』は勢いはありましたね。勢いしかなかった気もしますが(笑)、たまにはそういうのもいいかと思って。

    没タイトルは何度も言いますが本当にたくさんありまして、そのまま使えちゃうんじゃない?ってものから、さすがに出せる品質じゃないなというものまで様々です。
    タイトルはSRと関係ない自分の作品だったらもっと手抜きしてたと思います(笑)。SRという企画があったから、必死に考えられたのだと思います。うまいタイトルを考えるコツはいまだにわかりません。それを知ってたらもっと人気企画になってたと思います(笑)。

    楽しかったと言っていただけて嬉しいです。数々のタイトルを大事に扱っていただけたこと、本当に感謝します。
    とりあえず体調整えます。コメントありがとうございました。
  • (* ̄∇ ̄)ノ 参加させていただきました。毎回の企画運営、ありがとうございました。

    『その涙さえ命の色』
    このタイトルでカセユキさんとメッセージのやりとりをしなければ、この企画に参加してなかったですね。振り返るとこのタイトルが一番やりやすかったかも。

    (* ̄∇ ̄)ノ わたしにとってSRとは、SすこしR練習しない? の略のようでした。文芸部を引き出してくださりありがとうございました。
  • >八重垣ケイシさん
    ご参加ありがとうございます。お言葉もありがとうございます。

    『その涙さえ命の色』が一番やりやすいというのは意外でした。いつもの香鳴節が炸裂してみなさんを困らせたのかと思いきや、そういうご意見もあるのですね。そうなってくると、結局どんなタイトルがいいのかますますわかりません(笑)。
    SRについてメッセージのやりとりがあったのですね。企画への縁があったことを嬉しく思います。その後も引き続き参加してくださって感謝です。

    <少し><練習しない?>の略というのはいいですね。難問も多かったので、本当に<少し>だったのかは疑問が残りますが(苦笑)。大なり小なり、SRについてきてくださった方は鍛えられたと思います(それは主催者の功績じゃなく、みなさんの努力です)。良い役目を担えたと思ってます。
    いつもご参加ありがとうございました。
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する