「……ほう、俺の「反撃」を受けて立ちあがってきた奴は久し振りだ……「凶運」で弾丸が逸れた? 「瞬足」で交わした? ……いや……」
「残念ながら、もっとシンプルですぜ」
……自身の撃った銃弾を眉間に「反撃」され倒れた男は、ゆっくりと立ち上がる。
「答えは「不 タヒ 身」で受けたってやつですわー」
血痕や脳漿を辺りに撒き散らしたまま、ジャケットの袖で血みどろの顔を拭う金髪の男。其の眉間に開いた穴は何もなかったかの如く《《塞がれていた》》。
「頭吹き飛ばされたんは久し振りやなー。一旦記憶がとぎれんのは何だけど、其の後妙にスキっとするんだよな」
「……成程」
男に反撃をした人物……俺という一人称と闇が反響する様な低音の声からして男性であろう。時代遅れな黒のトレンチ・コートを纏い、黒のダークスーツと黒革靴、黒い長髪に黒のハンチング帽、1930年頃のレアな黒サングラス……全身を覆う漆黒から覗く肌は血が通ってないが如く青白い。190㎝近い身長と細身の体型ながら醸し出す殺気は下弦の月が如く鋭く……其の「漆黒」は不死身という言葉に左程動揺する様子もなく、
「不死者と出会うのも久し振りだ……面倒だな。いくら俺が反撃をしても何時までも倒れずに向かってくる。相性は最悪だ」
「そう思うんなら諦めて投降してくんないっすかね? 銃弾は充分に支給されてるとはいえ使い過ぎると妹と姐さんにどんな拷問を受けるか堪ったもんじゃねえし……」
そういいつつ男は構えていた銃を一度下ろし、手を着ているジャケットのポケットに突っ込む。取り出したのは……
「どこぞのアクセラレータじゃあるまいし、まさか手榴弾の破片迄跳ね返せは出来んでしょ?」
「アクセラ……? その様な名前は知らんが……確かめてみるが良い」
「其処は「確かみてみろ」だろ……も少しjaponが誇るcoolな文化も研究し……ろっ!」
そういって取り出した球状手榴弾のピンを抜き、投げると同時に拳銃を構え直し……。