https://kakuyomu.jp/works/16817139556526915372/episodes/16817330653631398389「花鳥風齧」弘徽殿の悪役令嬢 歌枕の浅き夢・4を更新しました。
和歌バトルの和歌の訳をどうしようかと思ったのですが、
某よその投稿サイトではルビの文字数が10文字以内に決まっているので、
文語和歌のルビとしてほぼ同じ内容の現代語短歌をつけるという形にしました。
しかしそうすると当然、正確な対訳は無理になってきます。
そこで今後、近況ノートのほうで作中に出てきた和歌の詳細な解説と言い訳をさせていただきたいと思います。
以下、ネタバレになりますので更新内容を未読の方はご注意を。
【文語ver】
うつせみの羅裳しき波かぢも無み
辺波天河を堰き止めよ今
【口語ver】
脱ぎ合った衣服の波に取る舵が
ありうるものか 帰路が壊れろ
【現代語】
抜け殻のように脱ぎ合った薄絹の裳を敷いて(ふたりで寝る)その波に舵も失ったので
打ちよせる波よ(帰り道の)天の川を堰き止めてくれ今
・うつせみの=虚しいとか衣類とかにかかる枕詞
・羅裳=薄物の裳。漢文表現から取ってきた言葉で、和歌らしくはない。
・しき波=「羅裳を敷き、その波」の「敷き」と「重波(しきなみ=次々と打ちよせてくる波)」の掛詞
・かぢ=舵。ひらがなで表記されているのは、内容とは関係ないけど七夕の縁起物の「梶」と掛詞にしておくとなんとなく技術点が上がる気がしたので。
・無み=無いので
・辺波=打ちよせる波
※平安時代には布団がないので、着ている服を被って寝ます。事後、ふたり分の着物がもつれているのを天の川に喩えて詠んだ歌(という設定)です。
「衣かたしきひとりかも寝む」って歌があるけど、恋人がいなくて肌寒いっていうのはこの当時だと比喩ではなくてマジで物理的に寒かったんだろうな。平安時代には転移したくないな。
それはさておき、裳は布団代わりにはしないんじゃないかなとは思います。なので「だから童貞くさいって言われてるんだぜガハハ」くらいで聞き流していただけましたら。
くらうど型かそうげんじつって言いたかっただけだろテメーな謎陰陽術のコマンドとして詠まれる歌です。
歌の内容はこの際あまり重要ではなくて、「うらかへせ」の折句(縦読みみたいなもんです!)になっていればなんでもよかったので、うから始まる単語とからから始まる単語とか以下略を付箋に書き込んでいろいろ組み合わせるという形で作りました。
もうこんなのパズルですよ。和歌を詠むぞって感じじゃなかった。
仕上がりも和歌っぽくはないんで、こんなんがめちゃくちゃ和歌が上手い一族の御子息って設定のキャラが詠む歌かよと思われるかもしれませんが、その辺は作中でモブ公卿の皆様にツッコんでいただきましたので大目に見てくださいませ。
それでは次回更新は3/10(金)予定です。
よろしくお願いします。