その女の子は、まだ言葉を全部持っていなかった。
2才半。
空の色が変わること、風が髪をなでること、抱っこされたときの胸の音が安心だということを、体ぜんぶで知っていた年頃だった。
意識の戻らないまま、彼女は深い眠りに落ちていったそうです。
けれどその眠りは「無」ではない。
病室の天井に映った光。
手を握った大人のぬくもり。
耳元で何度も呼ばれたその名前。
それらは、言葉にならなくても、しっかりと届いていたでしょう。
彼女は、痛みを知らない場所へ先に行っただけなのだと思う。
残された御家族の傷心を思うと、何も言葉が見つかりません。
ですが彼女は、一緒にいた時間が短かったことよりも
"深く誰よりも愛されている"ことを、心から喜んでいるはず。
彼女の人生は短かった。
けれど、意味のなかった瞬間はひとつもない。
今もどこかで
小さな光として
静かに、あたたかく
御家族の心を照らしている。
安らかに。
あなたが残したぬくもりは、これからも消えることはありません。
南のおっちゃんも、そのお裾分けをもらいました。
御礼を言います。
ありがとうね、わかちゃん。