◆エウロペロ空域においては魔術・魔導・魔法・魔道には明確な区分が存在している。
◆魔術は呪文詠唱・魔道具の使用によって任意の術式を展開する代物である。主たる使用者が1~2人、連続的に使用が可能。呪文詠唱が長くても5行以内(もしくは1時間以内)、使用する魔道具が1~2個程度、効果範囲が半径10m四方内の物を差す。
◆魔導は、呪文詠唱・魔道具の使用によって任意の術式を展開するという点では魔術と同じだが、呪文詠唱が5行以上(もしくは1時間を超過する)。術式を行なう際に魔法陣の展開が必要不可欠な物を差す。
主たる使用者が2人以上、連続的に使用出来ない。呪文詠唱が1時間以上~数日に渡り、また使用する魔道具が複数個になる。効果範囲が半径500m四方を超える物や、特定の環境下、魔道具、使用者でなければ使えない物も魔導に分類される。
◆魔法は契約の騎士が用いる術式である。展開する際には呪文詠唱を行なう必要がなく(あっても単語詠唱のみ)、非常に素早く術式を展開する事が可能である。反面、契約の騎士の人格に基づいた術式しか扱えず、温厚な人格の持ち主は攻撃的な内容の術式が使えず、勝ち気な性分の持ち主は防御的な内容の術式が扱えない。
◆魔道は強い力を持った魔族が用いる術式である。特徴として、魔道を使う魔族は、その属性の物が嫌がって逃げるという事があげられる(火の魔道を使う魔族は火に避けられ、水の魔道を使う魔族は水に忌避される)。また魔道は異界から「召喚獣」を呼び出し、激烈な破壊や広大な範囲に影響を及ぼす事を可能にする。その為、魔道を「召喚術」と呼称する国や組織もある。
◆魔術・魔導・魔道の中で、火・水・風・土・光・闇の6大属性に由来する物は精霊王や魔王との契約によって使用出来る物が多い(実際、魔術・魔導・魔道の9割はこれらに属している)。大気中の魔力(ポンテンティアム・マジカム・エクストラー)や体内の魔力(ポンテンティアム・マジカム・インテリオーラ)を、術式、または魔杖を始めとした魔道具類を介して精霊王・魔王に届け、その等価交換として精霊王力・魔王力を与えられ、更にそれを術式や魔道具を活用して任意の魔術・魔導・魔道を発動させる。
◆契約の騎士は契約した竜や聖獣が精霊王や魔王に準ずる存在な為、これらのプロセスを省略出来る。その代わり、上記に記した様に使える術式の範囲が、契約の騎士の性格傾向に大きく依存する為に狭い。
◆魔術・魔導・魔道の習得には、異界である『精霊界』や『魔界』に赴き、そこで自分が習得したい属性の術式を司っている精霊王・魔王と出会い、契約を結ぶ必要がある。
◆精霊王との契約によって得られる魔術・魔導・魔道は、治癒・防御・解呪・聴覚、資格、嗅覚、味覚の強化・デバフ消去がメイン。
◆魔王との契約によって得られる魔術・魔導・魔道は、攻撃・呪い・筋力、持久力、耐久力の強化、デバフ付加がメイン
◆基本的に1人につき、単一属性の魔術・魔導・魔道しか使えない。ただし、精霊王や魔王との間に生まれた存在は、複数属性の魔術・魔導・魔道を扱う事が出来る。またそれらの子供は、上記のクエスト等をこなす事なく魔術・魔導・魔道を先天的に扱う事が出来る。その為、幼い頃から魔術的指導者として働いている人物も存在している。
◆精霊王や魔王との契約を結ぶ為には、精霊王相手には簡単な面接で許可される事が多いが、魔王相手にはクエストをこなさなければならない場合が発生する事がある(無論、簡単な面接で済ませてくれる温厚な魔王が圧倒的多数である)。
場合によっては魔界で危険なクエストを行なったり、強大な魔物と戦わないとならない場合もある。その為、無理難題を吹っ掛ける質の悪い魔王との契約が許された魔術・魔導・魔道の使い手は、非常に尊敬される存在になる。
◆6大属性の枠に嵌まらない術式の1つとしては最も有名なのは、魔晶石生成術式を扱う物が上げられる。これは大気中の魔力を凝縮させるという物であり、何らかの属性に由来する物ではない為である。この魔晶石を生成する魔術・魔導・魔法・魔道の使い手は、各国のエネルギー政策に非常に密接に関わる為に、特別待遇を受けている事が多い。
◆6大属性に嵌まらない術式を習得するには、生まれ持っての高い才能(特に強い霊感、ずば抜けた魔力、野生の勘)が要求され、学習・クエストクリアだけで身に付ける事は不可能に近い。その結果、6大属性に嵌まらない術式を習得している魔術師・〈契約の騎士〉は数が少ない。