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自殺がふかのうになった世界PT.1(ウラ)

この語り手は、人であり人にあらず。

文章上、彼のことを「私」と呼称しよう。
「私」は、昔とある個人的な事件によって人間として、社会的動物として生きることを絶望した人である。
その時点で自殺の難易度が上がっていた状況で「私」は、精神(ゴースト)を脳から電子デバイスに移すことで身体を捨て、自身の一部の記憶を自分の記憶領域から分化させることで、過去と社会との関係を断った。

そして時間の感覚もわすれ、自分が何者かすらも意識せず、膨大で無尽蔵に広がるネットワークを通じて世界を眺める観測者として、長い時間を過ごしていた。

だが、奇しくも自らと近い境遇である自殺志願者の行動に興味を抱き始めた「私」は、その興味を満たす為に現実世界へと再び繋がろうとして、自らの存在について、社会に生きる者の不幸、生きる理由について向き合うこととなる。

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