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水海館(すいかいかん)についてのメモ

 もともとは自分のためだけに書いた日記のようなもの。
 昼夜逆転し引きこもっていた頃は朝が苦痛で、次第に活気づく周囲が疎ましかった。その苦痛を和らげるために理想と愚痴と幻想を書いた。だから文章は衝動的で、話の前後のつながりが希薄になる。
 ラムネが出てきたり、それを一癖ある飲み方にするというのは、長野まゆみ、谷山浩子両先生の影響であったり、文芸誌『夜想』の少年性に感化していたのかもしれない。
 当時することのなかった私は図書館だのプラネタリウムだの巡っていたが、近場に水族館はなかった。貸し切りの水族館で静かなBGMを聞きながら暗闇に座り込む空想で自分を慰めていた。稲生平太郎先生の『アクアリウムの夜』をFMラジオで拝聴していたことを思い出す。
 深海魚の不気味なフォルムは中世ヨーロッパの博物誌で、自然の驚異や悪意、魔術知の要素が入りこんでいる。こいつは最後に呪文を言う役割。
 後半の自傷の言及は鶴見済氏の著作を読んでいたり、『エリーゼのために』の件りや電離層という言葉は90年代以降の電波系ブームに拠っていた。
 総じて、人様に読ませるものか悩む愚作である。多少の思い入れもあるので
、別の投稿サイトにアップしたものを修正した。誤字や文言、ルビを修正・追加した。
 書名の水海館は水族館を連想できるようなニュアンスで考えた。違和感を感じるけれども、何となくイメージできるように。
 本編最終行の「仔細に書き留めている」は気に入っている。

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