• 現代ファンタジー

第32-3話  ショートカット

 灰色の空間までの移動に地下鉄バージョンがありました。
 クライマックス前に和技さんと帯論さんとの仲にワンクッション置きたかったのですが、会話がネタバレ内容しかなく削除。

 なのでネタバレ前まで公開



 たどり着いた先は地下鉄だった。

「ショートカットになってないんだけど」
「何で地下鉄なんだ?」

 和技と元の姿に戻った未縫衣は、3人しかいない車内を見渡し向かい側に座る帯論に苦情と疑問を口にする。

「架空電子世界でも、深層部は現実世界と同じ時間をかけて、移動しなければならないんだよ」
「今は2320年なんだろう? ぱぱぱっとできないのか?」

 未縫衣のもっともな意見に、帯論は首を横に振り、ため息をついた。

「深層部は需要な施設が集まっているから、セキュリティチェックを厳重にするとか何とか、面倒さい奴が面倒さい事を言いやがった」
「そんな所にクラスZ(はんさ)の女帝がいるのか?」
「木を隠すには森と行っておこう。今はな」

 未縫衣と会話を終えてから、帯論は和技に視線を向ける。

「この電車内に乗っている間、ありとあらゆるチェックが行われる。システム中央に入るにふさわしくないと判断された時、車内に特別警備隊がなだれ込んでくる。俺らは偽造コードを埋め込んでいるからパスだけれども」
「矛盾もいいところだよ。
 それって自力で処理班(警察)や特別警備隊をかい潜《くぐ》って深層部分に侵入するなんて無理じゃないか」
「俺は行ったぞ」
「え…」
「あと、やふらの奴もな。あれはどん引くほど汚い手段だったが」
「…そう」
「いじけるなよ。修復士に高い戦闘スキルはいらないから、和技には教えていない。できなくて当たり前だ。
 それに上位互換、スタンダード関係なくオフラインゲームは戦闘能力でも知力でもない。
 真実に耐えられる精神力だ」
「……………」

 何か言いたそうだが、重く口が開けない和技に帯論は話を切り替えた。

「面倒くさい奴のせいで30分はかかる。
その間、和技は未縫衣ちゃんに中央部分の説明しておけ」


 3人しか乗っていないので、帯論、横になる。


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