『黙読』と『音読』は違う。
「え?なに言ってんの?当たり前でしょ?」と首を傾げられるかもしれないけれど、首を傾げつつそこに意識を向けてみると何かが見えてくるかもしれません。
「愛奈作品は、黙読する分には読みやすくて話の内容もすんなり頭に入ってくるけれど、音読には向いてないね。音読すると、言い回しや単語の読みが難しかったり、読点の場所によってはブレスしづらくて、集中して物語の世界に入り込めない」
声優さんや役者さんが出演する『リーディングシアター(朗読)』の脚本を書き、稽古見学した時に、演出家や演者に言われました。
目からウロコがバリバリ落ちました。
音読しながら助詞、読点、一文の長さ、比喩含めた表現の使い方を微調整していくと、あら不思議(笑)、本当に作品が洗練されます。
『黙読』では突っかからなかったのに『音読』で突っかかるということは、『黙読』の時は【字面を追っている】だけで、【その言葉や表現の持つ意味を(自分の心や感性へと)落とし込めてない】のではないかな?と思うようになりました。
言葉や表現をしっかりと落とし込み、味わうことができれば、作品の世界観がより鮮明になり、感情移入ができ、楽しめるような気がします。
余談ですが、一流の声優さんほど、『言葉』の勉強をされています。
この場でお名前を挙げることはできませんが、大多数の方がご存じのTVアニメに出演されている声優さんたち(全員ではない)は、拙い私の脚本デビュー作にでさえ、真摯に向き合ってくださいました。
【堅固】、読めます?
私は何の気なしにイメージでその言葉がしっくりくるから
>彼女がカードを並べている年季の入ったテーブルがひとつに、ぐるりと見渡せる壁一面は堅固な本棚で、実用性があるのかないのかわからない大きな暖炉とそれに見合ったソファといくつかの燭台が立っているだけ。
……という地の文を書いたのですが、その声優さんは言いました。
>「個体」「固定」など、ほとんどの「個」を使う言葉は「こ」と読むと思うのですが、「堅固」は本当は「ご」ですよね?だけど、たぶん、ほとんどの人は「けん【こ】」の方が(上記理由から)しっくりくると思うので、【こ】で読んだ方がいいですか?それとも、正しく【ご】の方がいいですか?(後略)
いやぁもう、びっくりでした<m(__)m>
事細かにいろんなことを調べてきた上での発言に、頭が下がりました。
私は「けん【ご】」と読むのが当たり前だと思っていたので、その指摘にも驚いた無知な作家でした。
繰り返しになりますが、第一線で活躍している声優さんほど、言葉の勉強を欠かしていません(全員ではないけれど。クソ(←)もたくさん見て来てるけどね)。
いつか自分の作品の朗読してもらいたい、と思っているのであれば、話し言葉と書き言葉は違うことも含め、今以上に『言葉』を大事にしてみてはいかがでしょうか?
自戒を込めて。