• 現代ファンタジー

ポチ太郎と見る、特撮特異点[第二回 怪獣ブームの火付け役]

 どうも、ご無沙汰しております。ポチ太郎です。最近『大怪獣のあとしまつ』という映画が色んな意味で有名になりましたね。そんなわけで、今回は怪獣に関するお話をしていこうと思います。

 怪獣。そう言われたとき、貴方はどのキャラクターを思い浮かべますか?元祖のゴジラ。主役級のゴモラ。ゴメスかベムラーを思い浮かべたそこの貴方は、通ですね。いずれにせよ、様々なアイデンティティを持った怪獣達は、いつの時代も我々を夢中にしてくれました。

 日本には嘗て『怪獣ブーム』というビックウェーブに呑まれた時期がありました。読んで字の如く、怪獣人気が至る所で炸裂していたんですね。わかりやすく言えば、最近の鬼滅人気みたいな感じです。あれを想像していただけると、わかりやすいかもしれないです。実際、皆さんに怪獣という生物が広く知られているのは、その名残かもしれません。

 今も尚、影響を残す怪獣人気。その原点、いや、イグニッションキーになった作品こそが、『ウルトラQ』と僕は考えます。

 ウルトラQは、円谷プロダクション(当時の円谷特技プロ)が制作していたSFドラマです。普通の人間達が、怪獣や宇宙人の起こす騒動に巻き込まれてゆくお話です。

 この作品の凄いところ。それは、毎週テレビで怪獣が見れた点にあります。当時、大迫力の怪獣は、ゴジラに代表される、映画というメディアでしか見れませんでした。ですが、ゴジラ真っ青の映画クオリティの映像。かつ、毎回毎回個性の強い怪獣達が現れる。それを見事にやってのけたのが、ウルトラQでした。特撮によって味付けされた怪獣は、容易に子供のみならず大人まで魅了していき、たちまち上述したビックウェーブを巻き起こしたのでありました。とことんお金と情熱を注いだ30分には、ストーリーの作り込みもさることながら、怪獣へのリスペクトが大いに感じられます。怪獣一体一体に見せ場を作り、大きな印象を視聴者に残して行くのです。

 敵キャラの魅力を描くというのは、案外難しいことだったりします。なんせ、主人公及び味方サイドの物語を重点的に描くあまり、敵キャラがあまり活躍できないという状況が起こってしまうんですよね。これは今の僕の課題でもあります。また、最終的に敵より味方の方にパワーバランスが傾いてしまうというのもあって、敵があまり印象に残らないなんてこともあるのです。

 ですが、怪獣を物語の主軸に置くことで、怪獣の出番を細かく描写し、怪獣のほうが圧倒的に人間達より強いという状況を作り出すことで、怪獣への畏怖を植え付ける。そうして、さっき言ったシチュエーションを回避しているんですね。これはまさに、当時のスタッフ達の手腕によるものでしょう。脱帽です。

 そんな感じで、一大ブームを巻き起こしたウルトラQは、後の『ウルトラマン』へと繋がっていくのでした。最近の怪獣映画を見て、怪獣に興味を持った方、または、なんか幻滅してしまった方。一度で良いので、是非ウルトラQをご覧になってください。これから30分間、テレビの前で肉体から離れた貴方の魂は、怪奇的でありながらも、どこか美しい。そんなアンバランスゾーンを彷徨うことになるのですから。

 

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する