発表までの経緯の話

前回に引き続き、言っちゃっていいよーと許可をもらってる話。

2年前の春に、依頼を受けました。
「アニメやゲームを含む壮大なプロジェクトが持ち上がるので、外伝となるこのくだりをストーリーにしてほしい」
2002年に閉鎖された東京、突入したエージェントがかつての思い人の姿を見る……とまあそんな感じのアイデアの断片を、小説の形に組みあげてくれという話でした。

「あの。似たような話、枯野瑛の名前でつい先日(すかもか10~11巻)出したばかりなんですけど、今やっても演出とか被りますよ」
「大丈夫大丈夫」
「あとこの宇宙人パートナーの設定、いつかどこかで似てるものを扱ったことがあるような記憶が」
「大丈夫大丈夫」
よくわからないけど大丈夫らしいので、きっと大丈夫だったのでしょう。


とまあ。
みなさまもちろんお気づきとは思いますが、この時に書いたものが、現在連載中の『輪転式ステレオプティコン』の前身となります。


前身というのは、もちろん、この依頼を受けた時に書いた原稿そのものではないからです。
いろいろあって依頼の話がなかったことになり、手元に残ったのは三冊分のプロットと一冊ぶんの原稿だけ。
このまま塩漬けにするのももったいない。どうせ一銭にもならないなら、権利関係だけクリアにして、いっそネットに一挙全文公開でもしてしまうかな……などと考えていたところに、カクヨムネクストのお話を頂き、このような形で発表することとなったわけでした。

そしてその際、背景世界などは完全に刷新しています。作中に登場するギャラクシーな歴史、背景、文化、謎、その他もろもろは新規のものです。
もともと外伝として形作られた話なので、「未公開の本編を背景にして単品で世に出るサイドストーリー」であるという形になりますね。
……うん……なんかこう、既視感がすごいというか、またそれ系の話かよというか、なんというか。
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そんな感じの『輪転式ステレオプティコン』。
大宇宙の壮大な謎とかをほっぽって、いい歳こいたおじさんが初恋の思い出に振り回されるお話として、ぜひ引き続きお楽しみください。



連載中に言うことでもないですが、ご縁があれば、この『輪転式ステレオプティコン』の外側の物語についても、いつの日かどこかで語りたいものです。

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