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【カノガミ裏設定】あるカミの記憶4

 準と出会って初めての夏となった。

 準の所属する情報部の部室はいつも賑やかだった。

「ソトッちとアミちゃんは海とか行かないの?」

  部長の茉莉《まつり》がメガネを光らせる。

「アミちゃん……」

「だって彼ノがみ様だからアミちゃんでしょ? それともみーちゃん?」

「す、好きに呼ぶが良い……」

「じゃ、やっぱりアミちゃんだよね〜」

「何照れてんだよ彼ノがみ」

「う、うるさいの。あだ名など付けられたことがないから……つい」

「海か〜俺は彼ノがみさんの水着姿見たいな〜」

「お兄様! そんな破廉恥なことをおっしゃらないで下さい! そ、そんなに水着が見たいなら私が……」

「は? なんで秋菜が水着になるんだよ?」

「い、いえ……喜ぶと思って……」

「んん? なんで?」

 芦屋兄妹がいつものようなやり取りをする。夏樹が秋菜の気持ちに気付く時はあるのだろうか? 見てみたいような……怖いような……。

「ん? どうしたのだ犬山。深刻そうな顔をして」

 もう1人の部員、犬山はボサボサ頭を掻きながら話し始めた。

「実は……最近変な先輩に付き纏われているんだ」

「変な先輩? どこかの部活動なのか?」

「料理部の先輩だ。1度、依頼を解決してからやたら話しかけて来るようになった」

「犬山も大変だねぇ。それってどんな人なんだよ」

 夏樹が同情するような顔をする。

「なんというか……やたら自信に満ち溢れた女子だ」

「女子!? う、羨ましい〜俺も女子に付き纏われたいぜ……」

「なっつん泣きすぎだよ〜」

 茉莉が笑う。そして、何かを思いついたのか小さく声を上げた。

「そうだ! 夏休みに合宿しようよ♪ なっつんの別荘とか無いの? 海の近くでさ」

「あるけど使わせてくれるかなぁ」

「秋菜ちゃんも一緒にどう?」

 小宮が小さく耳打ちすると、秋菜は顔を赤くした。

「み、みなさん! 別荘は私がなんとか致します! みんなで合宿致しましょう!」

「秋菜ちゃんに何吹き込んだんだよ小宮」

「別に〜。ところでソトッちはさ、見たくない?」

「何を?」

「アミちゃんの水着姿」

「ななななな、何を言ってんだよ!?」

「お、分かりやす〜い♪ アミちゃん。良かったね♪」

「ななななな、何を言っておるのだ!?」

「アミちゃんも分かりやすかったか……」

 茉莉が苦笑いする。

 準が私の水着を見たいだと?

 準と目が合う。準は顔を真っ赤にして目を逸らした。


 ……。


 水着、調べておこう。


◇◇◇

これで4つ目。私が見ていたのと同じような出来事。

彼女も、近い経験をしていたんだね。

幸せだったのかな……。


ん?


あ、観測者さん。


初めまして。もしくはどこかで会ってる?


ここに来たのは偶然? それとも、私を手伝ってくれてるの?


私は次を探しに行くよ。


またね。


https://kakuyomu.jp/works/16817330650693947965

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