• 現代ドラマ
  • 恋愛

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第1話〜第15話(完結済)

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第1話
https://nana-music.com/sounds/04207e9e/
私の名前はハルカ、東京都内の高校に通う普通の女子高生である。
夏休みが明け新学期を迎えた私は、何時もと変わらず、また憂鬱な日々が始まった。

今年の夏に私は両親の田舎である広島に、ひとり帰省して居たのだが、度重なる異常気象で夏を満喫する事は出来なかったのであった。

私は憂鬱な気分を引きずりながら、また東京へと戻り、この殺伐とした都会で、何時もと変わらない日常に戻っていったのだ。

私の通う学校は、都心の渋谷駅から程近い場所にあった。私の両親は共働きで仕事が忙しく、私は両親が自分の事より仕事の方が大切だと思っていたのだ。

そんな私の今年の楽しみは、ハロウィンパーティーであった。私の通う学校では文化祭も十月に有るのだが、私は文化祭を楽しめた事がない。

それはクラスメートや学校の先生に原因があった。皆んな自己中なひと達が多く、話が纏まらない事が多いからだ。

だから私は今年、ハロウィンパーティーを友達とどう過ごすか、今からとても楽しみにして居たのであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第2話
https://nana-music.com/sounds/042d6c33/
私は新学期が始まり、中学時代の親友で有るアユミに、今年のハロウィンをどうするか聴いてみる事にしたのだ。

そしてこんな話を私はアユミに持ち掛けた。
「アユミ、今年のハロウィンどうする…?」

するとアユミから、こんな言葉が返って来たのだ。
「実はわたし、学校の文化祭の実行委員をやってて忙しくて…」

こんな電話口での知らせを受けた私は、ちょっと残念そうな声でアユミにこう言った。
「そうだよね」「アユミの高校も来月、文化祭だから忙しいよね」

そして夏休み明けのお互いの近況などを語り合い、電話を切ったのだった。この時、私は自分がとても惨めで悲しく、また居た堪れない感情を覚えたのだ。

しかしそのやり場のない感情をぶつける筈の親とも、私は殆ど口を利きて居なかった。また私には、ひとつ下の弟が居たのだが、両親は自分より勉強の出来る弟の事を何時も可愛がって居ると思って居たのだ。

そんな私の唯一の救いは愛犬のベスであった。私は家族の誰よりベスの事を可愛がっていたので、ベスも私に一番懐いていたのだ。

そしてこのベスが、私のハロウィンを救うキッカケとなるのであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第3話
https://nana-music.com/sounds/042edb33/
中学時代の親友で有るアユミと、ハロウィンを楽しもうと考えていた私で有ったが、アユミから良い返事を私は貰えなかった。そこで私はひとり、ハロウィンをどう過ごすか悩んでいた。

そんな時、学校の最寄り駅で有る渋谷駅傍で、盛大なハロウィンパーティーが有る事を知ったのだ。私は、そのハロウィンパーティーに行ってみたいと思った。

しかし、ひとりで行く勇気もなく、学校の友達を誘ってみる事にしたのだ。そしてクラスの数少ない友達で有るサトミに、こんな話を持ち掛けたのだった。
「渋谷駅の傍で、ハロウィンパーティーあるみたいだけど、一緒にどうかなぁ…?」

こんな言葉をサトミに投げ掛けると、サトミから返って来た言葉はこんな言葉であった。
「わたし、今年のハロウィン」「マサトに誘われてて…」

この言葉を聴いた私はもうこれ以上、サトミを誘う事は諦めたのだ。それは、私とマサトの関係に有った。私は過去にマサトに惹かれ告白した事がある。

しかし、その時のマサトからの返事はと言うと、こんな言葉であった。
「僕には他に、好きなひとが居る」「ハルカとは付き合えない」

こうハッキリ断られ、振られた過去が有ったからであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第4話
https://nana-music.com/sounds/0439b69c/
私はクラスメイトのサトミに、渋谷駅傍で行われるハロウィンパーティーの話を持ち掛けた。しかしサトミから断られてしまったのだ。

そして、その理由が私が以前、告白した事の有るマサトに関係して居たのだ。私はその当時、マサトと同じクラスで、マサトは一年生ながらサッカー部のスタメンで学年の中でも目立つ存在だった。

だから女子の中では、マサトは憧れの存在だったのだ。私自身も当時マサトに惹かれて居たので、密かに告白した。

ところがマサトからの返事はと言うと、素っ気ない回答だった。
「僕には他に、好きなひとが居る」「ハルカとは付き合えない」

このマサトからの返事が、私のプライドを傷つけた。そして私はマサトにこう言ったのだ。
「他に好きなひとって誰か、教えてよ」

こう私はマサトに問い詰めると、マサトは私に向かってこう言い放った。
「僕とハルカじゃ、釣り合わない」「君が僕に、相応しい女性になったら付き合ってあげてもいいかな」

この言葉を聞いた私は、その場から泣きながら立ち去ったのであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第5話
https://nana-music.com/sounds/043a8f56/
私は一年生の頃、マサトに告白して断られた苦い経験から、マサトに対し毛嫌いする様になっていた。その為、私はクラスメイトのサトミに、渋谷駅傍で行われるハロウィンパーティーの誘いを諦めたのだ。

そして季節は十月上旬に入り、私の高校では文化祭が行われる事となった。二年生で有る私達も、お化け屋敷、食べ物屋、そして劇など、クラスが纏まってこの大イベントに臨むべき筈なのだが、私のクラスは相変わらず意見が纏まらない。

すると担任の若林がこんな事を言った。
「意見が纏まらないから、くじ引きで決める」「クラス代表の田中、くじ引きするからくじを用意してくれ」

この言葉を聴いた田中は、担任の若林に向かってこう言ったのだ。
「先生、クラスで文化祭を何にするか、くじで決めるんですか…?」

その言葉を聴いた担任の若林は、ニヤッと嫌らしい顔をしてこう答えた。
「俺の今年の運だめしだ」「俺は今年、初詣でおみくじ引けなかったから、今からお前らの為に引いといてやるよ!」

この言葉を聴いたクラス全員が、空気読めない担任にドン引きした。そして選りによって劇と言う、とてもハードルの高いくじを引き、更にクラスをドン引きにさせたのであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第6話
https://nana-music.com/sounds/04479343/
私のクラスは十月上旬に行われる文化祭で、劇をする事になったのだ。それは私のクラスが文化祭で何をするかなかなか決まらず、担任である若林のくじ引きで選りによって劇に決まってしまったからだ。

すると担任の若林はクラス代表の田中にこう言ったのだ。
「田中、オレは運持ってるだろ」「お前たちの為に、大吉引いてやったよ!」

この言葉を聴いた私は、心の中でこう思った。
「こんな所で、変な運使わないでよ」「アンタの運は、自分の為に使いなさい」

そう私は思ったが、クラス代表の田中は皆んなにこう言ったのだ。
「若林先生が文化祭で、俺らの劇をする姿を観たいらしい」「そうですよねぇ、若林先生!」

クラス代表の田中がそう言うと、担任の若林は満足そうな笑みをニカッと浮かべ白い歯を見せた。

その担任の姿を観た私は、クラス代表の田中や担任の若林に対し、こんな風に思ったのだ。
「田中、お前は先生のご機嫌とりの点取り屋か」「わたしはこんなクラス担任の若林のもとで、なんて災難な高校生活か…」

私がそう思って居る間にも、クラスでは劇を何にするか話し合いが始まったのであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第7話
https://nana-music.com/sounds/0448fb84/
私のクラスは文化祭で劇をする事に決まったのだが、劇を何にするかについても、なかなか意見が纏まらなかった。

すると再び担任の若林が、こんな事を言い出したのだ。
「お前ら…」「劇を何にするかも決められないのか…?」「また俺が決めてやっても、いいんだぞ…」

この言葉を聴いた私は、担任の若林に劇を何にするかまで決められてしまうと思い、クラス代表の田中にこう言った。
「田中…」「あなたクラス代表なんだから、ちゃんと仕切ってよ!」

こう私が田中に言うと、田中は私に向かってこう切り出した。
「そうだなぁ」「ハルカ、お前が劇の主役になれよ」「お前には、ハイジが合ってるかなぁ…」

この言葉を聴いた担任の若林もハルカに向かってこう言った。
「ちょうど、お前の背格好と髪型から」「お前は主役を射止めた」「お前、『アルプスの少女ハイジ』のハイジ役にぴったりだ!」

突然の田中と担任の若林からの無茶振りな提案と、また主役抜擢に他のクラスメイトからは拍手が沸き起こったのだ。

そしてその拍手の意味する事とは、クラスで行う劇を『アルプスの少女ハイジ』とする事に賛同すると言う意味で有り、私が主役のハイジ役をすると言う事に同意すると言う意味が込められて居たのであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第8話
https://nana-music.com/sounds/0452c082/
クラス代表の田中や担任の若林からクラスで行う文化祭の劇を、『アルプスの少女ハイジ』と提案された私は、選りによって主役のハイジ役に抜擢されたのだ。

そしてその事に対しクラス皆んなからも賛同を受け、主役をせざるを得ない状況と私はなったのだった。そこで私は田中に向かってこう言った。
「私を勝手に指名して」「田中、あんたペーター役演りなさいよ!」

私がこう言うと、田中は私に向かってこう言い返した。
「わかったよハイジ、僕は心優しい山羊飼いの少年さ」「ハイジの頼みならしょうがない」

この言葉を聴いた私はムカっとしながらもこう答えた。
「ペーター、でもあんた確か…」「勉強が嫌いだから、家庭教師が必要よねぇ…」

そうハルカも負けじと切り返したのだ。その様子を見ていた担任の若林が、こんな事を言い出した。
「そうか、お前等には先生が必要なんだな」「教えてあげよう、おじいさん」「俺は『アルプスの少女ハイジ』のアルムおんじをやってやるよ!」

またしても空気読めない担任の若林に私は嫌気が差したのだ。そしてこの後、担任の若林はこう言った。
「ハイジにはクララ役も必要だなぁ」「サトミ、お前ハルカと仲良かった筈だ」「色白の肌と髪型から、クララ役にはちょうどいい」

担任の若林からとばっちりを受けたサトミは、私の方を観て睨んで居たのであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第9話
https://nana-music.com/sounds/0452f226/
私のクラスは文化祭で行う『アルプスの少女ハイジ』の劇を放課後、夜遅くまで練習した。この頃、学校近くの渋谷駅周辺ではハロウィンに向け、色々なイベントの企画が予定されて居たのだ。

私も本当は文化祭よりハロウィンを友達と一緒に過ごす為に、ハロウィンパーティーを友達と企画する予定で有ったのだが、文化祭の劇の練習に追われていた。

そしてとうとう文化祭の当日の日がやって来たのだ。私はハイジ役の恰好をして自分の出番を舞台の袖で待った。

他のクラスメイトも緊張した面持ちで自分達が演じる『アルプスの少女ハイジ』の劇の順番を待って居たのだ。順番が近くなるに連れ、私の心の中に緊張と不安がよぎった。

そしてクラス代表の田中が、こんな事を言ったのだ。
「俺たちの劇は、主役が一番重要だ!」

私も勿論、その事は理解していた。しかし心の中ではこう思ったのだ。
「田中、お前はクラス代表なんだから」「少しは、わたしの立場を酌むべきじゃない」

しかし追い討ちを掛ける様に、その場に居合わせた担任の若林がこんな事を言った。
「大丈夫だ」「おじいさんは、お前を見守ってるから大丈夫だ!」

全く頼りにならない担任からの投げ掛けに、私はもう誰も当てにならないと思った。そして自分ひとりで何とか乗り切ってやろうと言う思いが湧き、逆に吹っ切れたのであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第10話
https://nana-music.com/sounds/04538fab/
文化祭の当日、私のクラスは『アルプスの少女ハイジ』の劇をステージの袖で待っていた。そして私のクラスの順番が近づいて来たのだ。

私は高まる緊張と面持ちで、舞台中央に立ち『アルプスの少女ハイジ』の主人公役で有るハイジ役の衣装で身を纏い呼吸を整えた。

舞台の緞帳が上がり、スポットライトが私を一斉に照らした。それと同時に会場に集まった観客から一斉に拍手が沸き起こったのだ。

心の中で私はこう呟いた。
「わたしはハイジ、ハイジは強い子だから大丈夫!」

そう自分に言い聞かせ演技へと集中したのだ。その時の私は、クラス代表の田中や担任の若林の事を当てに出来ないと思っていた。

その為、主役で有る自分ひとりでなんとか乗り切ってやろうと、そう思って居たのだ。そして『アルプスの少女ハイジ』の劇は始まった。

早速、ペーター役の田中が私の所に近づき、こう言ったのだ。
「ハイジ、新鮮な山羊の乳を届けに来たよ」

こう田中が言うと、私は田中に向かってこう答えた。
「わかったわ」「おじいさんに知らせに行って来る」

そう言うとアルムおんじ役の担任の若林を呼びに行ったのだ。そこへ担任の若林が登場し、田中にこう言った。
「山の雲行きがあやしい」「早く麓の村に戻るがいい」

そう言うと担任の若林は田中から山羊の乳を向け取り、私に向かってこう言ったのだ。
「ハイジ、覚えておくがいい」「ここは下の村と違い自然の中で生かされて居る」「自然こそが、ここの掟だ!」

台詞では有るのだが、担任の若林の言った言葉はとても意味深い内容にも感じられたのであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第11話
https://nana-music.com/sounds/0453a535/
文化祭の当日、私のクラスは『アルプスの少女ハイジ』の劇を演じていた。そして劇も中盤から後半へと差し掛かったのだ。

クララ役のサトミがハイジとハイジのおじいさんの家に訪れた。そこで私とサトミは、こんな会話を交わした。
「皆んなが、立てって、立てって」「わたしは立てないの…」

こうクララ役のサトミが言うと、ハイジ役の私はこう言ったのだ。
「クララのバカっ!」「何よ意気地なし、ひとりで立てないのを足のせいにして」「そんなんじゃ、一生立てないわ…」

こんなアニメの名シーンを私とサトミが演じると、会場の観客も『アルプスの少女ハイジ』のアニメを思い起こし固唾を呑んで見守った。

そして私は最後まで、主役で有るハイジ役を演りきったのだった。私が思っていた以上にクラス代表の田中や担任の若林も、一生懸命に演じてくれた。

自分が今まで抱いて居たわだかまりから解放され、とても晴れやかな気分で最後の舞台挨拶をしたのだ。

勿論、主役で有る私には会場から一番盛大な拍手と喝采が沸き起こり、私はこんな風に思った。
「自分を支えてくれる仲間が居たから」「そして会場に足を運んでくださった観客の皆さんが居たから…」

私のこの気持ちは紛れもなく本心で、自分は今までハイジではなくクララだったんだと、この時に思ったのだ。

そして私のクラスは文化祭の劇の部門で、惜しくも準優勝に終わったのだった。会場に足を運んだ多くのお客さんが、満足そうな顔をして会場を後にしたのであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第12話
https://nana-music.com/sounds/04550916/
文化祭を終えた私は、また何時もの学校生活へと戻った。今まで私が抱いていたクラス代表の田中や担任の若林に対し、私の中の心境に変化が起きたのだ。

それは文化祭で、『アルプスの少女ハイジ』の主役で有るハイジ役を演じて、今まで自分が如何に自分の中に有る嫌な部分を避け、生きて来たと言う事に気付かされたからだ。

そして私は文化祭の翌日からハロウィンに向け、ハロウィンパーティーをクラスメイト皆んなで行おうと思いこんな提案をした。
「クラス代表の田中…」「10月31日にクラスの皆んなで、ハロウィンパーティーをやろうよ!」

私が田中にそう言うと、田中は黒板の前に立ちクラスの皆んなにこう言ったのだ。
「ハイジがさぁ」「ハロウィンパーティーをやろうって言ってるけど、皆んなどうする…?」

こう田中がクラスの皆んなに尋ねた。するとサトミが椅子から立ち上がりこう言った。
「クララは、ちゃんと立ったわ」

この様子を見て居た他のクラスメイトもサトミ続き、自分の椅子から立ち上がり口々にこう言ったのだ。
「クララが立ったんだから」「俺らも、わたし達も…」

そう言いクラス全員が自分の椅子から立ち上がり、クラス代表の田中や私に笑顔を見せた。

私にはクラス全員の想いが伝わり、私の中に有ったクラスメイトへのわだかまりが解け、私は涙を浮かべた。

こうしてクラス全員で、ハロウィンパーティーをする事となったのであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第13話
https://nana-music.com/sounds/04551ed7/
私のクラスはハロウィンに向け、クラス皆んなでハロウィンパーティーをする事となった。

そこで私はハロウィンパーティーを何処で行うか、皆んなに相談したのだ。クラス代表の田中やサトミも、ハロウィンの会場を探すのを手伝ってくれた。

しかし私の学校の最寄り駅で有る渋谷駅周辺は既に予約済みで、会場を抑える事が出来なかったのだ。

そうしてる間にも、ハロウィンの10月31日が近づいて来た。私は自分からクラスメイトにハロウィンパーティーの話を持ち掛けたので、何とか会場を抑えようと必死になっていた。

私が家に帰宅すると、何時もの様に愛犬で有るベスの散歩へと出掛けた。しばらく歩いていると、こんな言葉を掛けられたのだ。
「もしかして、渋谷高校のハイジかな…?」

話し掛けて来たのは、小型犬を散歩させて居るお爺さんで有った。私はそのお爺さんにこう言った。
「あっ…」「もしかして、文化祭の劇を観に来たんですか…?」

そう言うと、お爺さんは嬉しそうに私にこう答えたのだ。
「いやぁ」「なかなかの名演技だったよ、ハイジ…」

私はお爺さんが私のクラスの劇、『アルプスの少女ハイジ』を観に来たと言う事がわかった。そしてダメ元でこう言ったのだ。
「ハロウィンパーティーの会場を探してるんです」「でも、会場が見つからなくて…」

私がそう言うと、お爺さんはしばらく考える様子を私に見せたのであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第14話
https://nana-music.com/sounds/04561afa/
夕方、学校から帰宅した私が愛犬のベスを散歩させて居ると、私はお爺さんに声を掛けられたのだ。

私はそのお爺さんが私の高校の文化祭に訪れ、私のクラスの劇、『アルプスの少女ハイジ』を観たと言う事を知らされた。

其処でそのお爺さんにダメ元で、ハロウィンパーティーの会場を探して居る件を伝えたのだ。するとお爺さんは少し考えた後、私に向かってこう言った。
「実はな…」「先日、我が家のヨーゼフが旅立ったんだよ」

この言葉を聴いた私は、お爺さんにこう尋ねてみた。
「もしかして、セントバーナード犬を飼われてたんですか…?」

こう私がお爺さんに尋ねると、お爺さんは私にこう答えた。
「そうじゃ」「ヨーゼフと言う名前のセントバーナード犬じゃ…」

そして更にお爺さんがこう話を続けた。
「わたしはドックラン用の別荘を所有して居る」「良ければ一緒に、そこでハロウィンパーティーをしても良いぞ!」

私は最初、お爺さんに悪い事を聴いてしまったと思った。しかしお爺さんからハロウィンパーティーの申し出を受け、お願いする事にしたのであった。

つづく…

【朗読劇】ハロウィンパーティー 第15話
https://nana-music.com/sounds/045622e6/
私は犬の散歩で知り合ったお爺さんに、ハロウィンパーティーの会場の話を持ち掛けた。するとそのお爺さんから私は、お爺さんの所有する別荘でハロウィンパーティーをする提案を受けたのだ。

次の日、私は学校でクラスの皆んなに、お爺さんの所有する別荘の話をした。すると皆んなが私の提案に賛同したのだ。

10月31日と言う日がもう間近に迫り、私のクラスメイトはどんな格好でハロウィンパーティーに臨むか、皆んなソワソワし始めた。

そんな時、クラスメイトのサトミからこんな事を言われたのだ。
「前にも話したかも知れないけど」「マサトとハロウィンの約束をしてて」

そこまで話を聴いた私は、サトミに裏切られたと思った。だが私はサトミに、こう言ったのだ。
「そうだよね、サトミ」「前からマサトと約束してたもんね」

今の私は、もう前の私とは違った。自分に前向きに受け止める事が出来たのだ。するとサトミが私にこう切り出した。
「実は…」「マサト達も、ウチらと一緒にハロウィンパーティーをしたいから、ハルカに聴いてくれって…」

私はどう答えたら良いか一瞬迷った。でもクララ役のサトミが、クラスで一番最初にハロウィンパーティーに賛同してくれたのだ。

そして私はもう、ハイジの様に一生懸命にクラス皆んなの為に頑張っている。自分に言い訳して逃げて居たクララからハイジへと、自分は変われた。

そこまで言えば私の返事は、もう皆さんもお分かりだろう。

終わり

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する