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「緑玉の天寵」完結によせて

 昔から妄想の世界に耽りがちな子供でしたが、それを曲がりなりにも有形のものにし始めたのは中学生の頃でした。
 あの頃の自分がノートに綴っていた物語がどんなもので、どんな結末を迎えたか、あるいは迎えられなかったのか、今となっては定かではありません。現物は手元にあるけれど、自分の黒い歴史と向き合いたくないがためにきっちりと封印してあります(汗)。
 二度の受験をだらだらと乗り越えて大学生の身分とパソコンという文明の利器を手に入れた頃、人生における三作目(くらい)の作品として生み出したのが、本作の原型となった物語でした。行き当たりばったりに好きなものを詰め込むうちに、作品世界はやたらに広がり、続編や過去編やスピンオフが派生に派生を重ね、十年が経過しようという今に至るもなお一向に止まろうとしません。
 広がり続ける世界の大本である本作の執筆は困難を極めました。
 巨大すぎる世界観と深すぎる登場人物たちへの理解や愛を、かかわりのない他者に見せるものへと落とし込むことの難しさたるや……。

 物語はファンタジーでありながら、現実世界の侵食も激しいものです。
 連載開始からひと月ほど経った頃に作者は小さなクリニックに就職したのですが、働きながら執筆するというのは思うより大変なことでした。他の皆さまはどのように時間や気力を確保しているのやら……!
 そしてこのコロナ禍でございます。私の職場は専門科的にも規模的にもおよそコロナとは無関係で、最前線で働く医療従事者の方々と比べるのも恥ずかしい程度の苦労しかしておりませんが、ゲジゲジのように繊細で体力のない私はそれなりにくたびれてしまいまして、連載のペースや熱量に大いに影響したかと思います。わが身の不甲斐ないことよ……(涙) 医療従事者エッセイ(愚痴)でも書こうか、いや、やっぱりやめておこうか(保身)などと考えて日々揺らいでおります。

 長々と言い訳や不満を書き連ねてしまいましたが、私にとって特別過ぎた本作は、一応ここで幕を閉じます。寂しいような、安心したような、そんな気分です。
 本作の続きとして、北方の国カンビアルを舞台とした作品の執筆を始めつつありますが、今回の反省を活かして、完成してから公開することにいたしますので、当分先になりそうです。

 最後になりましたが、ここまでお付き合い下さった方々、本当にありがとうございました。何とか書き切ることができたのは皆さまのお陰でございます。

 また次の作品でお会いできたら幸いです。

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