三ノ月

　人間誰しも、言葉を取り繕い、体裁を整え、周囲の視線を気にしながら生きるものだ。そうして形成された『自己』とは果たして、その者自身の素と呼べるのだろうか。――なんて米座アカネは言…

アイバ・ケイトは、遺言を口にし屋上から飛び降り――死んだはずだった。 しかし眼前には満点の星空と、中性的な謎の人物が立っていて。 「――異世界で、もう一度人生をやり直せるとした…

21XX年、異次元からの侵略者との戦争に、人類は敗れた。侵略者によって支配された地球……しかし戦争が終結した今、侵略者による支配、言語の統一といった不自由はあれど、平穏には違いな…

祭りで街が賑わっている。誠二郎はなんとなしに喫茶店で時間を潰す。その気紛れが起こした、読書が好きな女性との出会い。 ※１─Ｒ１８要素ゼロ ※２─江戸川乱歩著『盲獣』の名前をお借り…

　本来交わるはずのなかった人間と妖怪。二種がぶつかり起きた戦争は読んで字のごとく、人妖戦争として語り継がれる。時は過ぎ、戦争より十数年。未だ禍根は残るものの、二種の共存が確立した…

幼い頃の夢、約束。そして全てが終わった後に。 （基本的にただのラブコメ。これから書こうとしている物語の前日譚のようなものですが、短編として独立していますので単品でも） （作中…

タイムが伸び悩んでいた陸上部員、長距離走者の阿笠カスミ。 特筆することのない陸上部員、男子マネージャーの藤堂ヒロト。 高校二年生の夏、気温湿度ともに最高潮。 「さあ、走ろう」 …

高校一年生の春。焦っていた僕は、たまたま目についた――否、必然目につく容姿をした女の子に告白した。結果はあえなく撃沈。ああ、なぜこうも上手くいかないのだろう。僕はただ、みんなと同…

佐田くんは、ロマンチストだそうです。 佐田くんは、ロマンチックな恋に憧れているそうです。 佐田くんは、ロマンチックな告白をしたいそうです。 佐田くんは、佐田くんは、佐田くんは、 …

　名前と記憶を失った人間。彼らに与えられたのは、名前代わりの機械的な番号、そして罪の記憶。自らが犯した罪、それを償う機会を得るべく、彼らは牢獄にて最期の余生を過ごす。咎人は四十九…