あじさい様よりお勧めされた『生きる意味』(上田紀行著、2005年)を読んだ。
色々と言いたいことはあったのだが、まあ「変わってないな……」というのが正直な感想だろうか。
20年も前の本ではあるが、バズり、コスパ(タイパ)、親ガチャ、弱者男性……といった存在は当時から十分予想できたということだろう。
まあひょっとしたら、1990年代の時点で、またはそれ以前のバブルの時点で察していた方もいたのかもしれないが……
動画サイトが生まれ、GAFAが世界の実権を握り、カクヨムが生まれ、そして生成AIがブレイクした。
恵まれた人は増えたし、その契機も増えた。
動向はすべて記録されるようになった。
「かけがえのなさ」自体が数値による判定に変わった。
「数値から抜け出そう」「無個性化から抜け出そう」という誰かの提言が高い数値を叩き出し、秒速で模倣されてミームとなり、たちまち無個性化した。
つくづく砂漠だなと思った。
恵みの雨は、すぐさま圧倒的な渇きによって飲み込まれてしまう。
しかも殺風景な……見晴らしの良いものではなく、見た目はけばけばしいことこの上ない砂漠だ。
目はちらつき真っ直ぐにすら歩けない。耳も鼻も口も皮膚も、全てが同様に封じられている。パッケージングされている。
今後はレコメンドされた人生を生きていくのかもしれない。
終盤は内的な成長に関する話が出ていた。
救いではあるが、果たしてどこまで現実なのか……