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「ダフネ」推敲一周

「心水体器:ダフネ」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888530157

 2019年3月10日午前に書いています。
 投稿開始が2月15日。ひと月くらいかかると思っていましたけど、でも2月は28日までだからね、まだ23日目なのだ。残るは結末、対決シーンのみ。
 ただ、分量重視で進んできたのもあり、推敲も一巡では不足です。現状では話の筋が完全に噛み合っているわけではない。完結入りする前に一通り直しておこうと思います。
 自分で意識している問題点は以下の通り。

〇動物性と植物性の対比
 特定の臓器が代替不可能な機能を持つ動物は集中的組織の肉体を持ち、同じ機能を持った部分の集合体である植物は分散的組織の肉体を持つ、というのは劇中でも言及しています。
 それぞれ個体が集まると、動物は序列や階層を持った群れになり、植物は並列的なネットワークになる。前者の存在様式はアイリーン、後者は碧に託して対決させたら面白い。
 推敲を始める前は何となくそう思っていたのですが、動物も必ずしもリーダーがいる集団を形成するわけでもないようだと思い始めて、なんだか綺麗な対比ができないことに気づいてきたのです。アイリーンと碧がそれぞれの様式をそんなにストレートに志向しているわけでもない。
 その結果なんだか判然としない物語の構造になっています。そういう複雑な、必ずしも論理的解決を導かない、答えにならない結論の方がもやもやして深みがあるという見方ができないわけでもないのですが……、うーん、もう少し綺麗に対置できないものか…。
 だいたい用語が対応してないのだ。群れとネットワーク? 群れと集合? 群れって英語でいろいろな言い方をするので上手く訳せないですね。このあたりをうまくキーワードとして印象付けられたらそれだけでもう少し綺麗なる気がするのですが。


〇唐突かつ浮いているゴシック議論
〈ホテルニューグランド〉
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888530157/episodes/1177354054888654081
 横浜のホテルに泊まってタリスの聖堂に潜った時の碧とタリスの議論ですね。
 艦と植物を結びつけるための中間、媒介として建築を持ち出しています。艦は住居、すなわち建築としての側面を持つ。ゴシック建築は森の再現である。これでつながります。でもゴシックについての議論はほかの部分とつながっていない。これはちょっと浮いている感じがするはず。建築様式の話は「ダフネ」のテーマには絡まないので、もう少し別のつなげ方ができればゴシックは削ってもよさげですね。むしろシリーズ次作で建築様式の話をじっくりやりたい。


〇テーマから乖離する子供
〈富の消失、あるいは衰え〉
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888530157/episodes/1177354054888699843
〈シャチのこと、桂川のこと〉
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888530157/episodes/1177354054888714394
 子供の話題は酒が入った時の碧と矢守の話、桂川を交えた時の3人の話に出てきます。シリーズとしては親子関係は語るべきテーマなのですが、「ダフネ」に関してはその側面があまりクローズアップされない。せっかく碧と矢守に長い時間があるのでお互いの生い立ちを掘り下げる場面があってもいいかもしれない。桜井の娘と碧が同い年とか、動物の群れにおける親子とか、そういう要素を絡めればまだ有効に作用する余地はありそう。(まだ長くするつもりなのか……)


〇白亜の戦争目的不在
 白色アメリカ連合(白亜)政府、および後援企業が通商を最重要視し、経済制裁を敵視している。その代替として武力を行使して交渉を有利に持ち込む、というポリシーはわかるのですが、それが全体として白亜の「国益」につながっているのか、というのが結構怪しいのではないかという気がします。碧とハーモンをもう一度喋らせるか、鴨川で矢守の見解を聞かせてもらって説明しようかなと思っています。
 白亜に政府は必要なのか、企業連合体ではいけないのか、というのも話したい。


――以下3月10日夜加筆――

〇矢守のタイトルコール
〈富の消失、あるいは衰え〉
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888530157/episodes/1177354054888699843
 そうそう、これは気に入ってるとこなのですが、本編中でダフネという言葉を発するのは矢守くんだけです。「流氷姫」でもほとんど流氷姫のイメージを与えるために登場したような彼でしたが、今回も題に効くセリフを言ってくれる感じになりました。
 シリーズにおいてそういう役割を彼に任せてみるのも面白いかもしれません。


 また思いついたり直したりしたら書き足します。

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