気まぐれではあるが、早起きをした。
三文の得を欲しがった訳でも、健康の為でも何でもない。
私は、黎明が嫌いなのです。空を白く霞ませようと、黒を霞ませていく、黎明が。
綺麗なものは嫌いですし、苦手です。
面白いとは思いますが、美しいと捉えられる程の純朴な感性を私は持っていないのですから。
きっと、私にそう言わしめる黎明とは、人間で言えば相当の美人、時間的に月下かどうかは微妙ですが、美しい人なのでしょう。
綺麗な女の人は大好きです、一目見ればもう一度見てしまいそうになるし、もし付き合えたら、結婚できたら、なんて事も考えます。
ですが黎明と同じく、いや、黎明と同じなのですから、等しく大嫌いです。
激しい愛憎の念を抱えながら、美しいものを避け続け。いつだって日陰の中でゆっくりと休んでいた。
でも、太陽はあっちこっちと向きを変えて、私に無理矢理陽光を与えてくる。
だから夜へと逃げて、もう光を視る事の無いようにと隠れたつもりだったと言うのに。
黎明は、こんな私を迎えに来た。
大嫌いです、黎明の事が。
だからこそ、大好きです。