もうすぐ週末です。
https://kakuyomu.jp/works/16817330655928363507/episodes/16817330655928510644 ↑今回から、『神捨て場』の第一話への直接リンクを掲載することにしました。まだ読まれてない方は、是非ともご一読くださいませ。見込みがありそうだと感じられましたら、フォローや星を頂戴できれば幸いです。なお星は一個でも大歓迎致します。
さて。
『神捨て場』は、むろん恐怖小説であります。主人公の渕山は、半ばむりやり凶悪犯とのバーチャル空間での一騎討ちを強いられます。
その凶悪犯達の心理状態(の、演出や解釈)について、私が影響を受けた作家の中にコリン・ウィルソンがあります。
彼は、凶悪犯を凶悪犯たらしめる要素として二つの特徴を挙げました。一つは『支配する五パーセント』、もう一つは『魔術的思考』です。
『支配する五パーセント』とは、組織や集団においてリーダーシップをとったりカリスマを発揮できたりする人々の大雑把な割合です。つまり、人が百人いれば五人はそうした才覚の持ち主がいるということです。
『魔術的思考』とは、いわばドストエフスキーの『罪と罰』にでてくるラスコーリニコフのようなもので、自分の犯行を自分に都合のいい理屈で正当化するものです。
凶悪犯は必ずしも頭の悪い人間が起こすとは限りません。むしろ、頭のいい人間が犯罪に走った方が恐ろしい被害をだす可能性が高くなります。
つまり、『支配する五パーセント』に入っているにもかかわらず、思うような生活が送れない人間……当人の責任か第三者の責任かはまた別ですが……が『魔術的思考』に取りつかれたときこそ凶悪犯罪が起きるきっかけになるのだそうです。
鈴木も佐藤も瀬川も曽木も田中も、適切な助言や忠告、あるいは支援があればむしろ社会の第一線で活躍し得たことでしょう。
そんな可能性を思索しながら本作を読むのもまた一興かと。