さてさて、最近ではタピオカミルクティーなるものが流行りだと、テレビの画面で誰某が宣い、何なのかと問われる。
なので、はて、どんなものだったかと、薄く朧気になった記憶を探る。
そう、確か飲み物。ミルクティーというからには、飲み物以外何物でもない。しかし、タピオカとか一体何ぞや。
確か、タピなにやらと、そういった名の芸術家が、セルビアだかに居た気がする。しかし、となると残るオカが何なのか。
オカ、陸、丘、岡、男鹿。確か、麻雀のルールにそんな単語があった気もする。だが、麻雀はルールが分からない。
だから気のせいだろう。それに最後はオカではなくオガだ。
なので、タピオカとはタピのオカとなり、正式にはタピ=オカと表記するのではないだろうか。
……何か間違った気がするが、未知の解明に間違いは付き物であり、つまりは正解となる。
では、タピ=オカとは、一体何ぞや。
〝=〟が間に入るものは、数学における数式、人物や物体を指し示す名称だ。
タピ=オカミルクティーの、ミルクティーは飲み物。つまり食物、ならばタピ=オカは?
もし仮に、人物であるならば、注意しなくてはならない点がある。
それはタピ=オカ氏が、タピ家のオカ氏なのか、オカ家のタピ氏なのかだ。
他人の名を間違えるというのは、極めて無礼であり失礼極まりない行為であり、時と場合によっては、その場で打ち首になっても文句は言えない。
だがしかし、前述でミルクティーは飲み物であると、絶対の事実がある以上、タピ=オカは人物ではない。
というより、タピ=オカが人物であった場合、ミルクティーにタピ=オカ氏が浸かっている、またはタピ=オカ氏を原料にしたミルクティーという事になる。
カニバリズムここに極まれり。まさか、人肉を用いた品が公然と販売され、しかも世を席巻する流行となるとは……。
しかし、となるとタピ=オカ氏が問題となる。
ミルクティーという飲み物の頭に来ているからには、ミルクティーより寧ろこちらが主役なのだろう。
だがだ。タピ=オカ氏は人物、そう同じ人物は二人居ない。つまり、この過剰とも言える需要を満たす為には、氏がドッペルぶちかますか、クローニングされるかしかないのだ。
だが、氏がドッペルぶちかましても、それはドッペルゲンガーであり、氏とは言い難い。
クローニングの場合も同じだ。同一の遺伝情報の他人。これでは、タピ=オカミルクティーの需要は満たせない。
……落ち着こう。タピオカミルクティーとは、タピオカを投入したミルクティーであり、各種トッピングで凶悪なカロリーを有する事になる飲料だ。
タピオカとは、あの透明なカップの底に溜まっている、フロッグのエッグ風味な物体だ。断じて、タピ=オカ氏等というふざけた名前の人間などではない。
誰だ人肉とか言い出した奴は。頭おかしいだろ。
しかし、だ。問われている問いは、もう一つ。
何故、これ程までに人気なのか。
この答えは簡単だ。
タピオカが脳に寄生しているからだ。
ミルクティーと共に胃に入ったタピオカは、体温と胃酸に反応し、デンプンに似た成分の卵殻を突き破り孵化。
蜘蛛の糸より細い体を胃壁に突き刺し、縫う様に人体を巡り、やがて脊椎へ至る。
そして、脊椎を伝い脳に寄生する。この時点で、宿主はタピオカミルクティーを摂取せずにはいられなくなり、無意識にタピオカミルクティーを常飲する様になる。
するとどうなるか。
体内はタピオカの住み処となり、寄生したタピオカは繁殖を始める。
宿主は肥満体型になり、体内にはタピオカの卵がびっしりと産み付けられ、宿主は卵が分泌する快楽物質と、脳に寄生したマザータピオカの脳改造により、己が気付かぬままその命を終える。
そして、秘密裏に回収にきた業者により、死体からタピオカ卵が収穫され、また販売される。
おお、ブッダよ、寝ているのですか?!
このままでは、地球はタピオカの星となるでしょう。
という話を、友人の娘にガチ演技交えて話したら、タピオカ見る度に泣き叫ぶ様になったっていう話。