• 現代ファンタジー

言わなければ伝わらないこと

言わなければ伝わらないことはある。それは冗談であれ、なんであろうともだ。

Kさんはいった。
「言い過ぎたんじゃないかって後悔してるんだ」

でも、それは必要なことだ。変えるには変わってもらうには、そのきっかけは決して生易しいものであっていいはずがない。強く、響くように叩く。それは、いいものになれと、強くなれと鉄を打つ鍛冶師のようだ。

自分を槌を打ち続け、他人の鉄の打ち方が悪いと、鉄を打つように叱る。適切に過分にならないように…そして、背中を魅せる。俺の槌の振り方をみろと。

他人ができることなんて、そんなものだ。僕には僕の鉄がある。槌は一つしかもてない。他人の槌なんて手に合わないし、その振りかぶりも、降り下ろし方も、ヒントは得られても同じにはならない。結局、彼の美しい槌の振り方は、彼しか知らない。誰にも、彼にしかわからない。だから、槌を振れという。

鍛冶師の僕が彼に言う。槌をもて、そして余念なく振れ。余念なくとは、面倒だが付ききりで、目で見て、正しく音を聞くことだ。そして、アドバイスが欲しいなら、その見えている景色を正しく、正確に伝えろ。それは、患者が医者に症状を伝えるのと同じだ。そして、薬じゃ君の振りは良くはならない。体に覚えこませろ。手伝いはしてやる。自ら救われる気のない人間に救いなど決してやってはこない。逃げるな、迷いは逃避だ。最善のやりたくない選択から逃げたいから迷うんだ。逃げるな戦え。

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