ラノベの設定を書くにあたって、一番何が重要ですかと聞かれることがあります。
皆さんは何が一番文字数が多いでしょうか。世界観でしょうか。小物でしょうか。主軸と成るギアやギミック、あるいはアイテムでしょうか。それとも核となるルールでしょうか。
個人的にいろんな先生(ラノベ、小説、漫画問わず)に聞いて回ってみたのですが……物語が上手だなって人は、ある項目がずば抜けて詳細に書かれています。
それはズバリ、キャラクター設定です。
比率でいうと
キャラクター設定:95%
世界観:1%
アイテムほか小物:1%
根幹ギミック:1%
その他:2%
このくらいの比重です。私もWEB小説に関してはこのくらいです。キャラクター設定以外は見直して整合性がズレていないかどうかぐらいのメモ書き。商業となると世界観が1.5%くらいになるかな~くらいです。
え、嘘やんと思いますよね。でも事実。というか極端に言えばキャラクター設定が99%その他1%が正しいかもしれません。
まず答えを最初に言っておきます「キャラクターそのものが世界観を作っているから」です。
例をあげましょう
・主人公
人間族の男。16歳。ドラクエ的なRPG風の装備。武器は剣
ここで判明するのは人間族の男ということは他種族がいるということ。RPG風の装備をしているということはJRPGあるいはナーロッパ的な世界であること、剣を装備しているということは彼が戦士あるいはそのような職業を彷彿とさせるということです。
この一行で、世界観がだいたいおぼろげに浮かんでくるのは理解できるかと思います。さすがにこれでサイバーパンクでマッポ―めいた世界観が出てきたらちょっと独特の世界観をお持ちでいらっしゃるので例外とさせて頂きます。
(サイバーパンクの世界でもVRでこの世界に埋没している主人公、みたいなのまで連想できたらプロに片足突っ込んでいると思います)
ここで少し詳細に書いてみます。
・主人公
霊峰の麓の村に住む16歳の少年。狩人の祖父と一緒に暮らしている。祖父には剣を反対されて弓を渡されるも、影でこっそり剣の練習をしている。低レベル帯のモンスターを狩り続けているせいか、意外にもレベルが高い。
さっきの設定に肉付けしてみるとどうでしょうか。主人公は田舎育ちで、その周囲は程々のモンスターが出現するという二次的な設定が読者の頭に浮かんでくるはずです。
さらに狩人の祖父が剣を拒むということに何か物語の伏線が張られているようにも見えます。そしてわざわざ『霊峰の麓』と書かれているあたり、この山には何かが隠されているようにも感じます。
ここに「実は村の周辺のモンスターは高レベルだった」と一行つけるだけで、なろう系によくある無自覚系最強主人公となりますし、剣の長さを書くだけでどういう生い立ちのキャラクターなのかが出てきます。例えば
■ショートソードを所持→刀身60センチ程度→保護者が駄目だと言っている
→隠されていたものを持っている?→父の形見?→ショートソードということは騎士ではなく歩兵あるいは傭兵?→父には罪がある?
■バスタードソード以上→刀身1メートル以上→馬上での戦いにも適している→(中略)→父の形見?→父は騎士以上の地位?→隠された子供?
と、こんな感じでドンドンと連鎖的に設定が出てきてキャラクターも世界観も出てくるのです。途中が同じでも生い立ちがまるで違いますよね。
というように、キャラクターは何かしらの人生を送っているはずなので、剣一つの違いでもその道筋に世界観が出てくるのです。
例えば口にする食べ物だけでもどういう気候でどういう文化圏でどういう家族構成なのかまで掘り下げることになります。
つまり設定は寄せ集めてこれは世界観、これはキャラクター設定と分けて積み上げるのではなく、キャラクター設定という一本の大樹に枝葉のようにして伸びるように、リンクしてどんどんと広がっていくのです。
そのリンクを伸ばしきった時。つまり連鎖が止まるくらいにキャラクター設定を広げきった時。多分そこにはもう完全な世界が広がってるはずです。主人公の言動にも筋が通ったものが出来上がります。
そう言ったなら上に書いた比率が納得いただけるかと思います。あえて世界観やギミックと分けたのはキャラクターの五感から外れたものや知り得ない歴史、あるいは根幹となる秘密となると思えば良いかと思います。
では、これを理解していないと何が起こるのか?
・冗長で無駄で読み飛ばしてもいいプロローグ
・設定だけで一章が終わる
という、ライトノベル層あるいはライトな読者に対して一番最悪なものを提示することになります。
そんなわけで。
Q.ラノベ(あるいはそれに準じた客層のエンタメ)の設定で一番時間をかけるものは何ですか?
A.キャラクター設定です
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