私には恩師が何人かいるのですが、そのうち一人は高校の現国教諭でした。
おじいちゃん先生です。その彼が言うには「自分は哲学か命題かがある作品しか読みたくはない」と。
今思えばあれは極端な事を言うのが面白いって類のジョークだったんでしょうが、当時の私は思春期真っ盛りですから尊敬する人物の言葉は全て真に受けていました。
以来、私の創作には哲学が命題かのどちらかが必ず付随することとなりました。
そして『楽園の王に告ぐ』は、その縛りを捨てた初めての作品です。
どうもこんばんは。sajhoと申す者でございます。
さて、この作品を立案した当時は、どうすれば作家として生きられるかをシリアスに考え過ぎて飽きていました。
自分の価値観を押し売りするような作品は今のニーズじゃない。でもこれで売れたい。……でも、まぁ一旦はジャンクフードみたいな作品でも書いてみようか? なんてきっかけで生まれたのが本シリーズです。
で、書いてみると筆が乗りまくる。特に術式の詠唱部分なんかはオリジナリティとエモさが両立する素敵なポエムが仕上がったという自負があります。
一概にカッコいいというわけじゃない主人公と、かっこよくて可愛いヒロイン。リベットを始めとした一筋縄ではない登場人物と、それらを彩る世界観設定や地の文。
筆が乗るという概念の極地が「キャラが勝手に動く」という部分だと私は考えているのですが、本シリーズにおいては勝手に動かないほうが稀でした。
私は執筆の際に高確率で飲酒をしているので自分が書いたものを基本的には覚えていないのですが、だからこそ誰よりも私が、この作品の更新を心待ちにしていたように思います。
そんな本シリーズを畳む決意をした理由については、本心から言えば「この作品は自分のポートフォリオにはならない」と確信したことでした。
ご存じの通り地の文がコッテリしてますでしょう? これじゃメディアミックスは見込めません。でも、作家になりたいくせに「半分は趣味だ」と頑固にやりたいことを突き詰めてしまう自分がいました。
それに気付いた瞬間が、この作品の終わりのカウントダウンだったように思います。それでもここまで書き続けてきたのは、まずは応援してくださった皆さんの存在でした。
見てくれている人が一人でもいるなら、責任を持ってせめて終わらせなくては。
……と、そんなふうに志半ばで終わりを迎える可能性は、実のところ作品立案当初から案じていました。
ですので物語全体に最初から幾つかの節目を設定し、最悪でもそこで気持ちよく終われるようにとストーリーを構築していたりします。ゴールドエッグもまさにその節目の一つです。構成の参考にしたのは『斉木楠雄のΨ難』でした。
といっても、当時の自分はサンデー派でしたので、あの作品は弟が買ってきたのをたまに読むくらいのものでした。それで、弟が「終わったっぽいよー」なんて言うモノですから読んでみた。すると、最終回の一人称が主人公じゃなかったわけです。
なんて爽やかオシャレな終わり際なんだと戦慄しました。そして、私の作品の帰結も、こうであってもいいのだろうと思った。ゆえに、非常に早い時点でオルハはこの作品に組み込まれていました。
第三者視点でハルを取り巻く登場人物の価値観を描き、それを自らに取り込んだポっと出キャラが勝手に何かを成し遂げる。つまり、キャラクターたちの明日は、描かれないところで無事に明日も続いていく。
この世界で最も美しいブン投げエンドの一つだと私は考えています。少しでも共感して頂ければこれ以上に幸いなことはございません。
さて、ここからは私の近況について。
まずお伝えしておきますが、私が宝くじ当ててもう働かなくても良いなとなったらこのシリーズは再開する可能性があります。あとは書籍化の打診とかがあれば私は晴れて小説家ですから日常の全てを詰め込んで最後まで書き上げます。
まだ皆さんにご紹介したい超カッコいい必殺技とかVSテンプレ転生者との戦闘シーンとか追加のタイトル回収とかいろいろありますので。偉い人とお金持ってる人これ見てたらほんとよろしくお願いしますとともに、その際には読者の皆様方におかれましても、是非半眼としながらでもお付き合いいただければ幸いです。
それから、現在私は同名義『sajhoの楼閣.』として、フリーゲーム夢現及びYouTubeでも活動しております。
YouTubeでは声を出しての活動もしておりますが、先に言っておきますけど男です。イケボですが残念なことにひどい時のハルくらい品性の欠片もありません。夢現では私のテイストが遺憾なく発揮されたゲームが現時点で2本公開されています。
また、Xでも同名義で活動していますので、この作品についての質問や感想ご鞭撻等ございましたら、DMなどで聞いていただければ極力解答させていただきます。
冒頭に「お疲れ様です面白かったです」みたいな気遣いがあると倍丁寧にご回答します。
また、今後の活字創作について。
現在、私のメイン活動はYouTubeにおけるフリーゲームの実況でして、それに伴い「私の原作でフリーゲームを作ってくれる有志」を募集しております。
それにあたった今後のカクヨムでの創作活動として、上記の一環にこちらで原案小説を上げる予定でおります。
次回作の名前は『ラジオの時間だ、諸君』
素行不良ながら声とトークの質が圧倒的に良い男子高校生が、敵みたいな仲間とラジオを作る青春熱血エモーショナルコメディです。
私のコメディ文法がお好きな方なら楽しんで戴けると思っております。更新開始は完全に未定ですが、告知はこれまで上げてきた活動拠点にて行うことになりますので、よければご確認の程を。
また、もし私の次回作を見かけた際には、この辺のゲーム化したいなんて事情とかは気にせずただ一つの作品として楽しんで頂ければそれが一番嬉しいです。いいね等もひとつよしなに。
といったところで、今回は閉じさせていただこうと思います。
途中に長い休止を挟んだ結果相当長らくのお付き合いとなりました全ての読者様に置かれましては、どなたも多少の環境の変化があってなおこの作品を忘れずにいてくれて、楽しんでくれたことに感謝の念が尽きないとともに、貴方の心を引き続けるほどに面白かった楽園の王に告ぐという物語を我ながら誇りに思います。改めて、ご愛読ありがとうございました!
またどこかでお会いできましたら、その時にはまたよろしくお願いしますね。
――sajhoの楼閣.