博士の愛した数式の中に見つけた一文。
「どこにも無駄がなく、研ぎ澄まされ、痺れるような緊張感に満たされていた。」
これ、すごくスケート向きじゃないですか?
「研ぎ澄ます」という言葉は、スケートのコーチとして有名な佐藤信夫さんがたまに用いる言葉なんですが、私が「僕とあいつと氷ときせき」の第一部を書いていた時に一度も浮かばなかった言葉で、再び耳にした時に、ああこの言葉か!と、思い浮かばなかったことを後悔というかとても反省しました。
こういう言葉が浮かぶようになるといいですよね。
コンパルソリーの練習をしていたという文章のあとにつけるだけでも素敵じゃないですか?
誰かが コンパルソリーの練習をしていた。
どこにも無駄がなく、研ぎ澄まされ、
痺れるような緊張感に満たされていた。
これだけでぴったりきますからね。すごくいいシーンが浮かびます。
小川洋子さんを読むたびに、スケートをした時にどういう感覚がするのか、どういう感動があるのかをまず思い浮かべないとという気持ちにさせられます。それが浮かぶと話が少々面白くなくても、それを私が文字として書き写す意味が生まれる気がします。
ということで、今日も小川洋子さんありがとう。