つい先日、友人Bちゃん(彼女も同じく小説を書く者である。ただし、二次創作限定だが)が40万字の小説を書いていると告白した。
よ、40万だと!? なんだその文字数は。単行本4冊分だぞ!? お主のその推しCPへ賭ける情熱と愛情は尋常ではないな! 怠惰な私と違って、そなたはバイトにサークルにクソムズいことで有名なAIなんたら科目を沢山履修しているのに……。お主、やるな。同じ創作者としてなんか悔しいぞ。と上から目線の謎の尊敬の念を抱いたのだが、私はふと疑問を覚えた。
40万字って、どれくらいなんだろう。
そもそも、10万字自体が長いようで短いのだ。
私は前のアカウントでは10万字の小説を一応完結させた。正確には11万字近いのだが、空行とエピローグを抜けばそんなものだ。
その話は一言で言えばラブストーリーだった。社会から迫害されている魔族の少女と、ひねくれものの青年が、ザ・ファンタジーな世界で架空のお仕事を通して結ばれる話だった。少女と青年が愛し合うことで多少魔族は生きやすくなったのかもしれないが、社会が劇的に変化することは無かった。あの世界で人間と魔族が対等でいられるようになるのは、長い時間がかかるだろう。
私がエタらせている(自称)SF群像劇のヴァイマリアード・ハイラガードも10万字を超えているが、こちらは先ほどのラブストーリーよりもっと進展がない。奇妙な2人の男に拾われた少女が自分の居場所を見つけようとするのだが、社会変革どころか仲間割れ一歩手前で終了している。(じゃあ続き書けよ、という話なのだが、推しを痛めつけるのが嫌で筆が止まっているのだ。でもそのうち書くね。もうちょっと私が大人になったら)
つまるところ、10万字で完結を目指す場合に名前と役割を上げられるキャラクターがとても少ないのが問題なのだ。主人公、ヒロイン、主人公の仲間が1人か2人、敵役が1人と言うのが鉄板編成だろう。(場合によってはトリックスター的なポジションを1人入れるが。)だから仲間同士で結ばれたり、仲間割れするのが手っ取り早くなる、と思う。
しかし、そんなたった5人のキャラクターで伏線が幾重にも張られた重厚な物語は書けるのか? 主人公は強大な悪を倒して世界を救えるか? 後世に語り継げる英雄譚に仕上がるのか? そもそも、10万字も書いたらキャラクターたちに飽きてしまわないか?
思えば私はザ・王道ファンタジー英雄譚を書いたことがなかった。故に正確なことはわからない。書き手として未熟なのも認めよう。しかし、この10万字という長いようで短い文字数内で、意外にもコミュニティが狭い世界で、心躍る壮大な物語を紡ぐことは、私にはきっと出来ない、と断言できる。
故に10万字以上書いたことがある、自創作に愛着を持つ猛者たちに問う。
あなたの物語は10万字に達した時点で、どこまで世界が動きましたか? 世界は救えましたか?
と。