今回は、私が愛して止まない映画の話を。
「グリーンマイル」という映画があります。原作はホラー界の巨匠スティーブン・キング、主演はいぶし銀の名優トム・ハンクス。3時間超の超大作です。
スティーブン・キングと言えば「IT」、「キャリー」、「刑務所のリタ・ヘイワース」(「ショーシャンクの空に」というタイトルで映画化)、「霧」(「ミスト」というタイトルで映画化)、「ミザリー」、「シャイニング」、「スタンド・バイ・ミー」、「ゴールデンボーイ」など様々な名作を世に送り出している偉大な漢。
モーガン・フリーマンの渋い演技が光る「ショーシャンクの空に」も良いですが、私はやはり「グリーンマイル」が一番好きですね。初めて観たのは中学1年の時。大晦日にテレビを付け、BSチャンネルに切り替えたら偶々始まるところだったので、何となく見ることに。
どんな映画なのか簡単に言うと、双子の少女を殺害した罪に問われ、投獄されることになったジョンという黒人の死刑囚と、死刑囚棟の看守主任ポールの織り成すヒューマンドラマとなります。
凶悪殺人犯とは思えないほどジョンは純粋無垢で、まるで子供のよう。そして何より、彼には人ならざる不思議な力が備わっていました。彼と交流を深めていくにつれ、ポールや彼の同僚たちは"彼は本当に人を殺したのだろうか"と疑念を抱くようになります。
クライマックスはもう、涙が止まりませんでした。余りにも切なく、やるせない気持ちになりました。ちょうどその頃、担任から陰湿な苛めを受けており、精神的にも不安定だったので、ジョンの発する台詞一つ一つが心に刺さりました。
"俺はもう終わりにしたいんだ。もう疲れた。雨の中を一羽だけで飛ぶツバメのように生きるのに疲れたんだ。一緒にいてくれる仲間もいない。どこから来てどこへ行くのかも、その理由も、教えてくれる者はいない。なによりも、互いに醜いことをし合う人間にも疲れた。毎日、世界中で起こっている苦しみを感じたり聞いたりするのにも疲れた。もう耐えられない。つねに、頭にガラスの破片が刺さっているようだ。分かってもらえるか?"
クライマックスの直前、全ての真相が明らかになった時、ジョンはポールに対しこのように言います。心優しく純粋無垢であったが故に……
今でも時折「グリーンマイル」を観るのですが、観る度に深く考えさせられます。今のこの世を見て、果たしてジョンは何を思うのだろうか。