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作者はどんな人なのか

※最新上部にくるように再掲載しています。

 本を読もうと自発的に思ったことは無かった。

 幼少から高校卒業まで、養護施設と家庭を折半生活しながら過ごしてきたわけだが、施設に入っていたということは家庭内事情が芳しくなかったのは言うまでもない。

 毒親、つまるところ虐待を受けてきた。
 虐待と名の付くものは一通り経験しただろう。
 自殺未遂、学級全員からのイジメ、警察沙汰は日常茶飯事と、まあ色々あったがイジメに関しては何ともなかった。
 何故なら元々の性格が正義感の強い少年だったため「おめぇら束にならないと何もできねえのか!1人づつかかってこい!」と啖呵を切った以来、小学生の櫻井は無敵に近い存在になっていたからだ。ちなみに身長は最前列である。

 養護施設もなかなか快適に過ごしていた。
 とにかく若い女の先生のおっぱいを揉み、女子高生のスカートの中を堂々と覗き、性知識は初体験の早さからも想像に容易かった。

 そんなヤンチャな反面、家庭内では奴隷のように扱われ、完全に人格を分けていた。

 外でおバカキャラを演じる一方、家庭内での1日が生死を分けるくらいの激動の日々を過ごしてきたため、正直、同い年のガキとは話がまるで合わなかった。

 てな感じで、こういう苦労話をしていると、なんだか辛気臭い人間だと思われてしまうので、なるべくしないようにしている。
 ちなみに自慢になるが、リアルではコミュニケーション能力激高と評価されている。
 相手の性格を瞬時に見抜き、その人に合わせた話題を提供してケラケラ笑いあえる関係性を構築するのがかなり得意だからかもしれない。


 中学生になったある日、たまたま前の席の男子(後のドイツ留学する大阪大学生)が、
「櫻井、お前ホントはバカじゃないな?」と見抜いてきたのである。
 彼こそ、ハリー・ポッターの分厚い本を私に渡してきた最初の人間、後の親友であった。
 
 そこからメキメキと頭角を現し、渡された本は隈無く読破していった。
 夏休みは柄にもなく本屋に立ち寄り、宮部みゆきやら太宰治やら、片っ端から立ち読みした(買え)
 高校の滑り止めさえ落ちるレベルだった櫻井は、高校で学級委員、生徒会長と、果ては首席で卒業した。底辺高校での成り上がりである。

 学業の傍ら、マックでバイトもした。
 学費を自分で払わないといけなかったからである。
 ちなみに大学にも十分いける学力であると言われていたが、そんなことよりも早く家を出たかったため、早々に就職した。

 今年38歳となる私は、つい先日、大企業の正社員に内定したばかりだ。
 同期の中途採用10名を押し退け、試用期間を半分で終了させたただ一人の人間だった。

 それまで異なる業種に30以上は就いてきた。
 正社員は勿論、通常バイト、派遣社員、リゾバと有りとあらゆる業種を経験した。中には、裏の仕事も含まれる。子役経験もあれば、YouTuberで約2000万稼いだこともある。

 そんな櫻井はバツ2で、さらに現在は再婚して子供が一人いる。

 おそらくただの小説を書くより、私の人生をノンフィクションで書いた方が面白みは増すことだろう。

「櫻井くん、苦労してなさそうwww」とよく言われる。見た目が今でも大学生と間違われるからであろうが、私はそもそも「実年齢=精神年齢」とは思っていない。

 おそらくここまでの前置きを読んで、小説を読んでいる人ならピンとくることと思う。
 私の人生を相当に細かく散りばめて、この小説は創作されている。
 リアリティがあるのは、実体験に基づくからである。
 

 この作品を作り上げると決めたのは、自伝的な気持ち悪い書籍ではなく、学生くらいの年代がライトノベルのように読みやすく、それでいて「色んな考えの人がいるんだな」と共感したり学んだりできるものを自分の人生の中で作り上げたいと思ったからだ。
 
 人間歳を重ねる毎に、必ずといっていいほど自分の若い頃にそっくりな性格の年下が現れる。
 そんな時、自分が当時悩んでいたことや進むべき道に迷った姿を重ねて、後輩をなんとかしてあげたいと思うものだろう。
 それとこの作品は似ている。

 人との出会いも本との出会いも、偶然と必然が織り成す神秘だ。
 だから、これを読んでくれているということは、あなたとの出会いも可能性の1つということになるのではないだろうか。

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