まずはっきりとさせておきたいのは、RAY さんの文章は本当に流れるように読めるということです。また文体が読みやすい体裁というだけでなく、内容理解も全く苦でなく、控えめに言っても文章を執筆されることには相当長けていらっしゃると思います。もちろん世の中には様々なタイプの書き方や文の硬さや内容の難易度によって組み上げられた作品がありますし、読者層を同じにした対象実験をしたとしてさえどんな文章が受け入れられやすいかに一義的な正解なんてほぼほぼ間違いなくありません。ですが RAY さんの文章はそんな中にありながら、人々に受け入れられやすく、かつ独特であるというひとつの居場所をしっかりと確保している気がします。そうでなければ、これほど多くの人が RAY さんの作品に惹かれたりはしないでしょう。私はそう思います。(作品によっては文章が硬いかもしれないと前置きをお入れになることがありますが、個人的には RAY さんの文章から硬さを感じたことはありません。もちろん人によって違うとは思いますが、とりわけ「死神に選ばれた女」は硬くはなかったかと。会話文主体だったからかもしれません。) 以上より、私がお話しするのは主に内容面についての意見となります。