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読まなくて大丈夫です

 自作の事をTwitterでは語らないと宣言しておきながら思わず語ってしまったので、こちらにコピーしておきます。これはログで本来人様に読ませるものではなく、人様が面白いと感じる内容ではないと思うので、お読みいただかなくて大丈夫です。もうカクヨムを一年以上更新しておらず、何か書いておこうかと思っていたこともあり、ここに書いておきます。尚、宮崎駿の作品に言及している部分がありますが、異論反論のある方とここで議論する気はございません。





 (ナウシカは聖母であるという宮崎駿の女性像批判の話題に反応して始まった)拙作ランプの主人公マナはナウシカに、マナのサポートをするヒビカはクシャナに似ているが、マナは聖母になろうとするがなりきれない、ヒビカは強くなろうとするがなりきれない。二人とも、より人間臭く描いている。
 マナは女になりたいのになりきれなかった女、ヒビカは女を脱却したいのに脱却しきれなかった女、と言えるかも。
 確か、マナに妊娠出産能力があるかどうかを「設定して物語中に明かす」事を考えた記憶がある。結局しなかったが。今思うと、マナとヒビカを通して創作の中の「女性」を乗り越えようとしたのかも。でもランプを語る動機はそこじゃなかったし、物語の中に上手く入れられないしで没にしたんだと思う。

 マナは、聖母になりたい女の子。恐らく自らの価値をあまりにも見いだせず、価値を見出すのではなく価値なきものも肯定して受け入れるという思考回路になった。自分がしてほしいことを他人にするという心理。
 これはまさに、価値なき私だがそれでもどうしても生きていたいというマナの自己愛。聖母になりたいのは他人を救うためじゃない。そんなことを本気で心から願えるほどマナは世間や人生を知らない。
 だから彼女は(無自覚でも)聖母になりたいと思いながらも、一方でかなり身勝手な理由で旅をしているという矛盾をずっと抱え続けるし、旅の理由をひた隠しにする。そして、そんな人間が聖母になれるはずもない。マナはそれを理屈で理解してはいないが感覚的に感じ取っている。
 ナウシカみたいにユパ様の胸で「私、自分が怖い!」なんて泣いたりしない。汚い部分なんて人に見られたくないし知られたくない。知られても大丈夫だという安心感がない。そんなお嬢様じゃない。だから隠して誤魔化し、逃げて嘘をつく。聖母になりたいくせに、自分の欲しいものも欲しい。結果、彼女はどちらも手に入れられなかった。(ランプはハッピーエンドだが)
 聖母にもなれず、欲しいものも手にできず、復讐のために世界を救いに行って、世界は救われたが自分のおかげでもなく、望んだ復讐は果たせず。
 マナの望みはことごとく敵わず、しかしそれでもマナは最後には幸せになった。
幸せになれたのは、彼女が生きる場所と生き方を会得したことによって聖母となる動機が消失したから。
 聖母に関してマナとナウシカで決定的に違うのは、マナには聖母になる(なろうとする)動機がはっきりと存在していること。ナウシカは、主人公属性として盛り付けられたにすぎない。


 ヒビカは問題を抱える兄への愛情と、自信への周囲からの称賛、性別による不条理な扱いの経験が混ざり合ってあの人格が出来上がった。女性らしい服装が好きなのは、感覚的な好みもあるが、女であることを実感することは彼女にとって肯定感を高めてくれるし、充足感も与えてくれる。それには理由がある。
 ヒビカは男どもに女を認めさせたいと願っているが、そもそも彼女自身が女は体も頭も弱い存在であるという前提を持っている。だから、ヒビカの達成感や充足感は常に「女なのに」強い、賢いというものばかり。ヒビカは自らの持つ差別的なまなざしを物語の途中まで、理屈でも感覚でも理解できなかった。
 女を認めさせるために女であることを脱却しようとしていたが、そのやり方では結局最後まで「被差別属性である女」から脱却することはできなかった。そもそも女を認めさせたいのに女から脱却してしまっては本末転倒だ。
 ヒビカは矛盾に気付かないまま突き進み、完全に挫折。師匠はヒビカが目先の損得や打算を重視し過ぎるせいで本末転倒していることを見抜き、精神的に立ち直らせた。
 ヒビカは美化していた自分の行動原理(行動様式?)が利己的であったことや、矛盾に気付けない自分の愚かさを受け入れざるを得なくなった。
 結果として、自分を虐げていた「本人達が思っている程強くも賢くもない」男達と同じ、強くも賢くもない女となり、ヒビカの目指していたものとは違う形で対等となった。


 マナの望みもヒビカの望みも叶わなかったが二人の飢えは満たされた。
本人の望みは叶えず、しかし飢えは満たすというのは、私が捜索でいつもやる個人的な黄金パターン。



 勢いに任せて書くときちんと整理できないまま話が脱線してしまう。補足したり消したりしたい欲にかられるが、これは記録なので一旦残しておくことにする。

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