個人的に、小説作品が「日本語を使ったもの」である限り、やはり縦書きの文章こそが最も美しいと考えております。
しかしながら、様々なご意見を頂戴し、ネット上で必然的に"横書き"の文章スタイルを取らなければならない以上、少なくともカクヨムなどで公開する場合に於いては、それに合わせた書き方をするべきなのかも知れないと考えました。
即ち、改行(余白)を増やすこと。
かつて、小説業界に於いて「やたらと改行を増やす書き方」は「原稿枚数をかさ増しして原稿料(ギャラ)を増やす」という貧乏作家の苦肉の策でした。
それがいつしか「読みやすさを重視している」と読者に受け止められ、やがて「余白がないと読みにくい」と考える方々も現れました。
実際、頂いたコメントの中には、
「むしろ改行を多くして画面に余白を増やさないと、そもそも読者に読んでさえもらえない」
という現実――或いは現状を教えて下さるものもありました。
そもそも小説――と言うか日本語の文章に於ける「改行(段落)」の意味は「一つのまとまり」です。
映画で喩えるなら「同じカット割り」をイメージすれば良いでしょう。
つまり、
「やたらと改行の多い小説は、頻繁にカメラが切り替わって落ち着かない映像のようなものだ」
……と思っている僕は古いのかも知れません。
また、縦書きでは読める文章でも横書きなった途端に読みづらく感じる人もいるように、その逆もあります。
それは、根本的に
「縦書きと横書きでは文字を追う目の動き――即ち脳の処理方法が違う」
という理由があるからです。
だとすれば、恐らく「横書き」に慣れている方が多いであろう場に於いては、「郷に入っては郷に従え」の精神を持つことも大切なのかも知れません。
そこで、実験として、既に発表しております
「イラストレーター斉藤幸延『叔父の肖像画』誕生物語」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884196152に関して、改行を増やして、「読みやすさ」を重視する形で修正したバージョンを改めて投稿させて頂きました。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884285444内容自体は全く変わりありませんが、この試みがどのような結果をもたらすのか、とても興味深く眺めながら、今後の参考にさせて頂きたいと思います。
淺羽一