『CRUMBLING SKY』
https://kakuyomu.jp/works/16818622175236685267瀬川メイン回。
以下の三つの主軸が交錯しています。
饗庭家問題の進展と尾鳥の無力感。
瀬川忍の正体と分岐能力の真相。
道徳的悪の問い『共感できる悪』と『どうしようもない悪』。
表札の『饗庭』を見つめるくだりは、血縁という避けがたい呪いのメタファー。悪夢ではたやすくちぎれてしまった命綱とは違い、頑丈で煩わしい鎖です。
瀬川は人生の分岐点からやり直せる能力を持っていますが、いわゆるタイムリープとは違います。同じ時間軸のまま、彼女はこれまでの自分を脱ぎ捨てるようにドッペルゲンガーを生み出し、罪を被せることで逃げ延びています。
好きなだけやり直せるというのは羨ましい能力ですが、犯罪歴から警察の捜査はどんどん厳しくなり、瀬川自身の首は締まっているのが実情です(本人はそんな顔しませんが)。捕まらないとはいえ、口座は間違いなく監視されているのでお金は降ろせないし、いつかは限界が来る。その焦りから尾鳥に執着する……。破滅の道まっしぐらですね。