伊草いずく様より質問を賜っておりました、ありがとうございます^ ^
代表作、つまり「竜世界クロニクル」への質問ということで、まずは作品リンクを貼っておきますね。
「竜世界クロニクル - 約束の竜と世界を救う五つの鍵 -」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894409037 質問はこちら。
【一体どうして、これだけの規模のお話を形にしようと動き出せた/動き続けられたのか?】
質問文詳細。
【自分の大きな空想を、ただ思い描くだけでは満足せず、形にしたいと欲望したのは何故か? そして、その欲望が「技能習得めんどくさいのでやりたくない」「生活疲れたのでやりたくない」などの別の欲望に相殺されずに、五十万字・八十八万字書き切って完結させるところまで駆動し続けられたのは、どんな素質や要因、偶然、経緯があってのことだと思うか?】
答えが、伊草さんへの答えにならない可能性を考えつつも、私にとってはこういうことです。
【願いと絆でつながれた約束の物語だから】
物語を終わり(完結)へ導くというのは、私がその「物語世界」と交わした約束です。そこに、読んでくれている方や一緒に物語を作ってきた創作仲間(妹だったり友人だったり)へ届けたいという想いを乗せて、私は書いていくわけです。
なので、書き始めた時には完結前提の気持ちでいます。それでも思うようにいかず、放置している作品もあるわけですが。
私にとって小説を書くというのは誰かとつながる方法(交流の手段)でもあるので、読者の方とのやり取りでモチベが左右されることも多いです。コメントのやり取りが楽しくて書いてるところもありますね。
特に竜クロは妹から託された物語でしたので、終わらせてやるぜという意気込みで書いていました。といっても義務感でもなく、あの話を書いている間はすごく楽しくてほとんど筆が止まることもありませんでした。
本編は50字に届かないくらい、期間はだいたい一年四ヶ月。今月12日で連載開始から三周年です。そのうち紙の本にしようと思って、じわじわと準備を進めているところ。
質問詳細の、素質、要因、偶然、経緯について。
素質は、自分ではよくわかりませんが、今関わっている創作世界は幼少時から妹と一緒に作り上げてきたものなので、私にとっては魂の半分が住んでいる感覚です。旅先の体験を書き出す感覚で書いていたりします。
要因というか切っ掛けは、竜クロの場合には「一枚のルーズリーフと膨大なキャラシートを収めたファイルを妹から託されたので」。
それと、こちらも限定ノートからの抜粋ですが、物語の組み立てはこういう感じでした。
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はじめに。私は小説を「書く」分野に関しては全くの素人で、ノウハウについて教えるハウツー本系も全く読んだことがありません。読書は好きですが、一般文芸というものもほとんど読まず、児童用の海外文学や動物文学などの児童文学、ドキュメンタリーやルポみたいな本を読んできたほうが多いくらいです。
文章の書き方については論文の手法をそこそこかじっておりまして、小説作りをする際にも『序論→本論→結論』の構成で流れを考える癖があります。しかしこの構成、TRPGのシナリオを作るのと非常に相性がいいのです……(笑)
TRPG(テーブルトークRPG)は、参加者が一人一キャラを作って進行役のGM(ゲームマスター)と会話しながら進める〝なりきり〟ゲームでして、GMが用意したシナリオをプレイヤーは「知らない」という大前提が必要です。GMはプレイヤー本人だけでなく、それぞれの持ちキャラの性格や癖を把握して、いかにしてシナリオ(大体が厄介事)に巻き込むか、どう進めて楽しませるか(苦労させるか)、を考えねばなりません。
私はGMするのが好きで、シナリオを作る時には大体こんな流れで作っておりました。
①導入(問題提起・いわゆる序論)……事件を起こして巻き込むか、NPC(ノンプレーキャラ)に依頼させるか。
シナリオの筋を参加者に提示するターンです。
ここでごねられたりスルーされるとゲームが始まらないので、いかに断れない・避けられない状況を作り出すか、がポイント。
竜クロは、依頼と巻き込みの抱き合わせです。実は序盤の「樹海シーンからデュークに出逢うまで」(二から五まで)は、妹が書いた流れを変えずにリライトしております。(若干流れを整理してはいる)
序と、六「ルシアとの出会い」以降はほぼ、私のオリジナルになってますね。
②本編(任務遂行・いわゆる本論)……参加人数によってフェーズ(要点)を作り、段階的に達成することでラスバト・ラスボスへの道が開けるようにする。ラスバト攻略に必須な戦力を整えさせるため、道中に軽い報酬(アイテム・助っ人)も用意。
一番楽しいターンですね。
ここの部分は結末から逆算して必要なものをピックアップし、フェーズごとに分割して配置します。
のでつまり、最後に作り込む部分です。
③結末(成功か失敗か、部分成功か・いわゆる結論)……導入に対応して理想的な結末をある程度決めておき、どの程度理想に近く達成できたか、で報酬を決定。
ラストは、本編内容より先に決めておきます。
竜クロの場合、第一章は「失敗」、第二章は「部分成功」、第三章は「成功」となってます。第一章ラストを書いていたとき、「今流行りのパターンならここで死亡バッドエンド、巻き戻しか死に戻りからのリスタートになるんだろうな」と考えてました(笑)
私は積み上げていきたい派なので、死亡からのループや巻き戻しは書けそうにないです。
ちなみに、作品全体の結末は序と対応し「ファイア復活」、各章の結は各章序と対応しております。つまり、少なくとも序を書いた時点では各章の目的(達成目標)が頭にあったということですね!
と、ここまで書くと「羽鳥さん詳細にプロット作ってるんじゃん!」って思われそうですが、コレ全部脳内管理です。書き出しても台詞一行とか箇条書き三つくらいで。
竜クロは最初はプロット作るつもりで、せめてルールブックとワールドガイドくらいは作ろうと思ってたんですが、プロット完成待ってたら一生書けないんじゃないかと思うくらいやる気が起きず。結局、脳内のまま書き出して完結に至ります。
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と、長くなりましたのでここまでで。
そもそも「創作世界と約束って何なのさ」と新たな疑問を呼びそうな気はしますが、中二病の時期に姉妹で仲良く量産した沢山のバッドエンドを、今の私が頑張って救済している感じです(笑)
黒歴史を葬り去りたい方は多いかなと思いますが、私は昔の闇を掘り返しては浄化するのが結構楽しいほうかも。
最後に、伊草さんへの質問をお返しして〆ます。
【伊草さんにとって創作世界とは、どんな存在ですか?】
ミスキーデザイン鯖でアンケートしてみたところ、一番多かったのが「眺めて楽しむ箱庭のようなもの」、二番目が「魂の半分が住んでいる」、他にも「自己表現」「生きる意味そのもの」という回答が多めでした。
私にとっては「魂の半分が住んでいる」ところで「交流の手段」でもある創作世界、伊草さんにとっての在り方など聞かせていただけましたら。
お忙しいと思いますので、ゆっくりどうぞ!