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企画参加作品紹介(2)「‪板野かも 短編企画エントリー作品集」

「‪板野かも 短編企画エントリー作品集」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885652753

既に読んでる作品ですが、改めて読んでみて、その書き分けにちょっと感動。
一つずつ紹介します。
どれも2500字程度ですので、技法を学ぶのにもすごく良いです。

・アキバ系ヒューマノイド アイドライザーMK-8
スタンダードな叙述トリックだと思います。
これ、錯覚を意図して地の文を組み立ててると思うんですよね。それでいて、わかった後に読んでも違和感になるような語彙は使われてない。
二人がこれから進んで行く夢追いの道にも、想像が広がります。

・人間の証明
インターネットあるあるネタを仕込みながら、ラストであれ? って思わせる。
やっぱり、地の文でチョイスしている語彙がすごく計算的というか、選び抜かれています。
ストーリーのドラマ性は低めですが、それもまた◯◯らしくて……。

・とあるヒューマノイドの看護日誌
上手いなー、と心底思った短編です。
日誌(日記)を並べるシンプルな構造なんですが、時系列を逆に辿ることで、自然でありながら計算的に情報提示をコントロールしている。こういう発想もあるのか、という衝撃があって、私が叙述トリックに興味を持った切っ掛けでもあります。
日誌なので主観的に、淡々と綴られているのですが……次作(ロボット職人)と合わせて読むと、なお胸を打つ内容になっています。

・ロボット職人の朝は早い
独白で綴られる短編で、往年のロボットアニメや漫画が好きな方にとっては特に、グッとくる内容だと思います。
ロボット(あるいはヒューマノイド)って何だろう、って考えさせられますね。
その流れでもって、終盤のオチが光る構成も素晴らしいです。

・平政30年(は)第108号 殺人未遂,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
面白い手法だと思った作品。
判決文でドラマを描く、という手法なのですが、関係者が記号化されているゆえの錯覚を巧みに取り入れてるように思います。
ミステリや現代ドラマの過去や背景提示に使うと、凄く効果的なんじゃないかなぁ……と思ったので、私もこの手法覚えたい。
トリック部分も絶妙で、判決文ならではの開示の仕方がなされています。

短編集には作品解説も付いていますので、合わせて読むと技法の勉強にもなります。お勧めです(^^

改めて楽しませていただきました。
企画への参加、ありがとうございました!

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