コメントでもご指摘頂いたので改めて再考。
日本の物価や貨幣価値に置き換える場合、日本円なら幾らで買えるのか置き換えて考える事になります。
例えば日本でリンゴ1個が100円、異世界でリンゴ1個が1銅貨なら、1銅貨=100円の図式が成り立ちます。
ですが、日本では1万円の物が、同じ様に異世界で100銅貨になるとは限りません。何を基準にして貨幣価値を算出するかで大きく異なってきます。
日本の日雇いの日当が1万円と仮定するなら、異世界の日当も1万円相当で置き換えるべきです。ですが、作中の日雇いの労働単価は2~3千円程度と表現をしています。
最たる理由は、作者の思い込み故です。
昔から作中の貨幣価値について表現をしている作品は数多く有りましたが、
異世界物では大半は労働単価や生活費は低く設定をされていました。
これは、円が強かった時代、日本が外国に行けば物価が安かった事、外国の労働単価が安価だった事が背景にあると考えます。
中世時代相当の異世界、後進国の物価はある種同列に認識をされていて、異世界の労働単価や貨幣価値は日本と比べても低いと認識をしていた様に思います。
その為、日本の日雇いの労働単価=外国の労働単価と言う図式が成り立って居ません。
一方で、実際に異世界の日雇い労働者の労働単価は安いのだと思います。
最低限その日暮らしの生活が出来れば良い人達ですので、宿は大部屋で素泊まり。
精々が宿泊費で1000円程度。そこに朝晩2食の食費。プラス安い酒が飲めれば万々歳です。
現代に置き換えると、ネカフェに一晩泊って、朝と晩は500円以下の半額弁当。
後は缶ビールがあれば良い程度のぎりぎりの生活。
まぁ今どきですと、それでも2~3千円で過ごせるかと言えば疑問ですので、そう言う意味では現代の貨幣価値にはあっていないと考えます。
なので、実際の貨幣価値はコメントでもご指摘を頂いた様に現代日本に置き換えると作中の表現の10倍とまではいかなくても2~3倍になる気がします。
因みに日本は最低賃金が保証されていますが、保証がされておらず最底辺の日雇い労働者の賃金単価が低い国も未だに多くあります。この点についても異世界は同様ですので、単純に労働単価を日本の水準に置き換えて貨幣価値を規定するのは難しいと考えています。その辺りも考慮して、異世界の労働単価は低く換算をしています。
余談ですが、江戸時代の貨幣価値の話を引用
侍の俸禄は石高で数えられ、一石は成人が1年間に凡そ消費するコメの量150㎏。米俵で2.5俵になります。
実際には米で支払われるのではなく、現金支給ですので一石当たり1両。一両が現代で幾ら位の価値があるかは幅がありますが凡そ10~30万円程度。
金1両=銀60匁(もんめ)=銭(銅)4000文
江戸時代の蕎麦が1杯16文、現代でかけ蕎麦1杯を520円とすると1文32.5円で1両13万程度。参考とする比較対象が変われば貨幣価値も変わるので、
>あくまで参考となる例として、日本銀行金融研究所貨幣博物館の資料では「当時と今の米の値段を比較すると、1両=約4万円、大工の手間賃では1両=30~40万円、お蕎麦(そば)の代金では1両=12~13万円」という試算を紹介しています。
https://manabow.com/zatsugaku/column15/ から引用
まぁ一両の価値はサイトによっても様々ですが、概ね1両の貨幣価値は10万~30万の間となります。
江戸時代の侍ですが、最底辺ですと俸禄が100石高。年収で1000万~3000万になります。
この年収から下働きを雇ったり、戦に備えて武具を調えたりする必要が有ります。
200石高の旗本ともなれば、年収が2000万~6000万。一見高給取りに思えますが
>200石級の旗本であれば軍役規定により侍1人、草履取り1人、槍持1人、馬の口取1人、小荷駄1人の計5人の使用人と主人用の馬1頭を用意し、事があればそれを引き連れて戦場に参じなければならない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%97%E6%9C%AC から引用
とある様に、最低でも5人の使用人を召し抱えて馬1頭の世話をする必要が有ります。
使用人の給与に住まい、身の回りの世話に戦働きの為の武具迄用立てる必要が有るのですから、とてもでは無いですが幕府から支払われる200両の給金だけでは足りません。時代劇で暴れん坊将軍様が、貧乏旗本の三男坊と言っていた様に、貧乏な旗本が多く、内職に精を出したり大切な先祖伝来の刀を質に入れる等、非常に慎ましい生活を送っていた様です。
江戸幕府の直参であるエリート階級の旗本(侍社会では最底辺ですが)でもそうなので、異世界で必要経費としてのパーティー資金を除いた個人年収が3000万は、やはりかなりの高給取りだと言えるのでは無いでしょうか。