交易を終えてアクア王国に帰ると街道でナナヤとばったり会った。
ナナヤはエルフのまとめ役で感覚で生きているような奴だ。
オリーブ色の髪のロングヘアは光が反射して銀色に輝く。
オリーブ色の瞳も光の反射で微妙に色が変わり不思議な魅力がある。
顔は童顔で体は出来上がっており異様に人懐っこい。
オリーブ色のワンピースで下半身は逆三角の布で前と後ろだけ隠れており、セクシーな腰布のように見える。
ずい!
「ユウタさん、今から帰るんですか?」
そして距離が近い。
少し下を見ると身長差で胸の谷間が見える。
体が反応してしまうんだけど、何かしたら噂を立てられそうで危険を感じる。
「今から王都に物を届けに行くんだ」
「いいですね! 走って行きましょう! ゴーゴー!」
ナナヤが前を走ると腰布が舞い上がりパンツがちらちらと見える。
ゴクリ!
ナナヤに手を出したが最後「ええ! ユウタさんがそんな事をするなんて! みんなに相談します!」とか言いそうだ。
ナナヤは結構おしゃべりだからな。
俺は王都に物資を運んで処理を済ませると外でナナヤが待っていた。
「次はどこに行くんです?」
「次はリンク帝国だ」
「おお! いいですね! 一緒に行って良いですか?」
「い、いやいや、遊びに行くんじゃないからな」
「邪魔はしませんよ?」
「うーん、女性を連れていくと、気を使う」
「アリーチェさんやサーラさん、セリアさんなら一緒に行けますよね?」
「まあ」
「私を信用してませんね?」
「そこまででは、でも、アクシデントが起きれば騒ぎそうには見える」
「大丈夫です。口は軽いですがそういう事は言いません」
「そう、か」
「え? その反応は何ですか?」
「いや、てっきり、大丈夫です、私口が堅いんでとか言いそうだった」
「口が軽いと言うよりは信用できますよね!」
「そか、確かにな」
【ナナヤ視点】
ユウタさんは私に心を許していないしいつもどこか遠慮している。
原因は色々思い当たる。
ユウタさんがエルフの里に来た時に、オーク狩りを押し付けて自分だけは隠れた。
それだけでも信用は無い。
そして、私のようなタイプは恋愛感情があると勘違いされてトラブルを起こしやすい。
でも、私はあの時、エルフの里で、
あのセリアさんがマッサージを受けている声を聞いて、
それからユウタさんのマッサージが頭から離れない。
ユウタさんを受け入れる心構えは出来ている。
でもユウタさんは私を受け入れていない。
ストレートに何で私を抱かないのかを聞いても冗談だと思われた。
もっと真顔で、2人だけになってから、言わないと駄目だと思う。
そして急に抱いて欲しいと言っても信用されない。
賭けの内容はマッサージとか、ソフトな感じにすれば断られにくい、はず。
ユウタさんから誘って貰える関係になりたい。
「ナナヤ、これから1人でリンク王国に向かうんだ」
「ユウタさん」
私は笑顔を消した。
へらへら笑っていても冗談だと思われて終わりだ。
「私と、ギャンブルをしませんか?」
「お金を使いすぎたか? 計画性を持たないと駄目だぞ? もっと」
「こらこらー、違いますよー」
「お金じゃないのか」
「無いです」
「じゃあ何だろ?」
「まずは、人がいない所まで、王都を出ましょう」
「……分かった」
2人で王都を離れて街道からも離れた。
ユウタさんの馬車に乗って話を始めた。
「ここなら誰もいないから、悩みがあれば言っても大丈夫だ」
「マッサージをお願いします」
「え?」
「私が負けたら1時間マッサージをお願いします」
「……」
「ダイスで勝負しましょう」
「俺が負けたら」
「何も無いです。私が負ければマッサージを1時間お願いします」
「……ゴクリ、あ、熱くなってきた。リンク帝国に着いてからでもいいか? いったん自分を落ち着かせたい」
「……分かりました」
前よりは、受け止めて貰えている気がする。
2人で街道に走り、街道に出てからは馬車に乗った。
私はユウタさんの隣に座った。
「よく分からないんだけど、ナナヤみたいな人って、好意がありそうに見えて距離を詰めれば『私そんなつもりじゃないですう! 怖いですう!』とかなりそうで怖いんだよな」
「やっぱり、その時によって言う事が変わったり、笑ってごまかしたりしますけど、 マッサージをして欲しいのは本当ですよ」
「して欲しいなら遠慮せずにするぞ」
「お願いします」
「マッサージに関してはブレないよな」
「ブレてますよ? 私が抱いて欲しいと言っても抱かないじゃないですか、私を疑ってますもんね? なのでレベルを下げました」
私はユウタさんに寄りかかった。
「ユウタさん、私は適当なところもありますけど、触られたい相手と触られたくない相手は選びます」
「うん、今日はゆっくり馬車で進むから、休んで大丈夫だぞ」
「分かりました。馬車に揺られると、落ち着きますね」
緊張がほぐれてきた。
「ユウタさん、ここでマッサージを出来ますよ」
「リンク帝国に着いたらな」
ユウタさんは、とてもいい匂いがする。
「触れられたいのは、ユウタさん、だけ、すー、すー」
◇
目が覚めると、私はユウタさんの膝で寝ていた。
「おはよう、ございます」
「おはよう、と言っても夜だ。リンク帝国傘下の国を抜けて、もうすぐリンク帝国の帝都に着くから、そこが大陸の中で一番発展している」
窓から外を見ると、夜なのに帝都の防壁の更に上から光が漏れていた。
今日はいい宿屋に泊まろう。
相部屋にする。
「いい宿屋に泊まりたいです」
「分かった。そこそこいい所に泊まろう」
帝都に入ると歓楽街でもないのに街灯が光り、大きな宿屋に案内された。
「ようこそ……相部屋でいいですか?」
「いえ、別々で」
「相部屋です!」
「どっちにします?」
「別々の部屋で」
「相部屋です!」
「一旦話し合います」
「はい、ごゆっくり話し合いをしてください」
私はユウタさんに手を引かれてロビーの隅に移動した。
「ユウタさん、ギャンブルがあります。相部屋にしましょう」
「マッサージ無しになれば」
「相部屋にしましょう」
「……分かった」
「ベッドが4つある部屋が空いています。ここなら、どう転んでも大丈夫ですよ?」
「分かりました。そこでお願いします」
「料金は、このようになっています」
金貨10枚!
「分かりました。お願いします」
2人でお部屋に入るとテーブルには果物が置いてあった。
シャワー室もあり、中を覗くとバスローブが8つかけられていた。
「このローブはどう使えばいいんですか?」
「シャワーを浴びた後体を拭いたり、それだけ着て寝たりする。どう使ってもいいものだ」
私はシャワーを浴びて果物を食べた。
「レストランで食事が出来るから、着替えて食べに行こう」
「バスローブのまま」
「いや、部屋を出る時は着替えていこう」
「分かりました」
「何を食べたい?」
「お任せで」
「肉と魚、どっちがいい?」
「魚ですね」
「白身魚と青魚だとどっち?」
「白身魚が好きです」
「パスタとパン、ライスだとどれが好き?」
「う~ん、パンか、ライス、の気分です」
「適当に決めていいか?」
「はい」
ユウタさんが店員を呼んだ。
「白身魚のムニエル、セットでライスをつけて欲しい、それを2つお願いします」
「スープはベーコンと野菜のスープ、海鮮スープ、野菜スープを選べますがどれにしますか?」
少し緊張する。
選ぶだけで疲れてしまいそう。
「海鮮スープを2つ」
「デザートはティラミス、フルーツタルト、プリンアラモードから選べます」
フルーツタルト以外意味が分からない。
「ティラミスとプリンアラモードで」
「付け合わせは野菜のソテー、ミックスサラダ、野菜のワインビネガー漬けの中から選べます」
「野菜のソテーとミックスサラダでお願いします」
「最期にお飲み物はアルコールとノンアルコールがあります」
「ノンアルコールでお願いします」
「ぶどうジュース、ホットミルク、ココア、コーヒーから選べます」
「ココアとぶどうジュースをお願いします」
「お飲み物は食後と食前選べます」
「食前でお願いします」
「かしこまりました」
「……な、何ですか? 呪文ですか!」
「少し、緊張するよな。でも、大丈夫だ」
ユウタさんは緊張していない、でも、ユウタさんの言葉で緊張がほぐれた。
私だけなら迷って選べなかっただろう。
「帝都はおしゃれなんだよ。どこのお店も料理のメニューが多くてここだと皿が1人7枚とか8枚運ばれてくるぞ」
「詳しいんですね」
「王に頼まれて、信頼できる店を厳選するために出来るだけ1回はお店を利用するようにしたんだ」
「もしかして、他の国の案内パンフレットはユウタさんの情報で作られているんですか?」
「そうだ。パンフレットを良く知ってるな」
「読むのが好きなんですよ。でも来てみると勝手が違います」
店員さんが飲物を持って来た。
「ココアのお客様」
「僕です」
ココアとぶどうジュースが運ばれてきた。
「ごゆっくり」
「ナナヤ、ココアとぶどうジュース、どっちを飲みたい?」
「ん~、飲んでみない事には」
「どっちも飲んでみたらいいだろ」
「……私が選べるようにしてくれたんですか?」
「うん、こういうのは名前だけを聞いても分からないだろ?」
「ありがとうございます」
私はぶどうジュースを飲み、ココアも飲んだ。
「どっちも美味しいですね!」
「そっか、どっちもナナヤが飲んでくれ」
「え、でも」
「俺は、水があるから。あー、水がうまい」
それからは、ユウタさんが店員さんと全部やり取りをして、私が両方味見をして好きな方を選んでいった。
ユウタさんと一緒にいると落ち着く。
寄りかかりたくなってしまう。
「たくさん食べました」
「美味しそうで何よりだ。俺はシャワーを浴びてくる」
少し眠くなってきた。でも、マッサージが終わっていない。
私はそわそわと動き回り、夜景を見たり、フルーツを1つだけ口に入れたり、ベッドを撫でたりして時間を潰した。
ユウタさんが出て来ると驚いた顔をした。
「まだ眠っていなかったのか」
「ユウタさん、ギャンブルがまだですよ」
「もう夜が遅いぞ」
「丁度いい時間です、でも、汗をかいたので冷たいシャワーを浴びますね」
「……ああ」
たくさん食べて、ドキドキして、熱が冷めない。
私は念入りにシャワーを浴びた。
バスローブを着てシャワー室を出る。
「お待たせしました。ギャンブルは……私に1時間マッサージをしてください。もし私が、抱いて欲しいと思えばユウタさんの勝ちです。私を抱いてください」
私はバスローブを床に落とした。
このくらいしないと分かって貰えない。
真顔で、はっきり言わないと駄目なんだ。
「条件が、甘くなっている」
「いいです」
「その状態で、俺が我慢できなくなって襲ってしまったら」
「いいですよ。その時は私の勝ちですね」
「はあ、はあ、俺が負けたら、無理矢理シテしまう」
「そうなっても何も無いです。我慢できなくなったら、シテいいです」
「マッサージを始めてしまったら、我慢できるかどうか分からない」
「いいですよ。来てください」
私はベッドに、横になった。
「マジックハンド! マジックハンドが再使用できるようになれば1時間だけど、夢中になって気づかないかもしれない」
「分かりました。時間が過ぎても、大丈夫です。始めてください」
「はあ、はあ、ああ、行くぞ」
ユウタさんはうつ伏せになる私に跨りマッサージをする。
マジックハンドも私の手足全部をマッサージする。
「体が冷たいな。いつも体温が高そうなのに」
「冷たいシャワーを浴びすぎました」
「温めないとマッサージの効果が薄れる」
「全身、くまなく、お願いします」
ユウタさんの甘い魔力が全身に流れ込んでくる。
一瞬で体が温かくなる、けど、耐えられる。
「温かくなってきた」
「そうです、ふ!」
体がまだ温かくなる。
さっきまで寒かったのに、熱くなってきた。
「ちょっと早いけど、仰向けにするな」
ゴロン!
私の、恥ずかしい部分が、女の部分が無防備になった。
「ふっく!」
「刺激が強かったか?」
「大丈夫、あ、ふう!」
「ごめんな、手加減できそうにない」
さわさわさわさわ!
ぞわぞわぞわぞわ!
仰向けになってすべてが変わった。
今までの私は弱い部分を攻められていなかった。
体が冷えていた。
でも今は体が熱い。
気持ちいいのが全身に広がって強くなっていく。
「あん!! ああ! ふ、おおん! はひ! んんんん!」
「ナナヤ、可愛い声だな」
「んおおおおおおおおおおおん!」
「ナナヤ、弓のように体を反らせて、気持ちいいか?」
「はい、い、ぐおおおおおおおおん!」
「ナナヤ、足を広げて」
「漏れ、漏れちゃいま、んああああああああああああ!」
「ナナヤ、痙攣してて可愛い」
「前からずっと、んあああああああああああああああん!」
「ナナヤ、言いたいことがあれば言って良いぞ」
「ずっと痙攣、んおおおおおおおおおおん!」
私はずっとマッサージを受けて、おかしくなりっぱなしだ。
◇
チュンチュンチュンチュンチュン!
「はあ、はあ、はあ、はあ」
「ナナヤ、ごめん、朝までマッサージしてしまった。俺の負けだな」
私は震える体で、ユウタさんにお尻を突き出した。
「いいです」
「え?」
「はあ、はあ、シテも、いいです」
「してもいい、か……やめておこう」
「はあ、はあ、え? なんで、です、か?」
「俺が追い詰めて無理に言わせる感じになっている。今日は休もう。商人の仕事をして来るからゆっくり休んで欲しい」
ユウタさんがシャワーを浴びて出て行った。
シテもいいです、じゃ駄目だ。
『どうか私を女にしてください。絶対にシテ下さい』
そこまで言わないと駄目。
私は、ユウタさんに信頼されていないから。
マジックハンドが水差しでコップに水を汲んで私に飲ませてくれた。
ベッドに横になると、熱が冷めて、眠りに落ちていった。