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タイトルが思いつきませんでした。

 三奈木真沙緒さまの作品『ふぞろいメモパッド』

 https://kakuyomu.jp/works/16817139557578645295

 とっても楽しいのでオススメのエッセイです。
 皆さんも是非覗いてみて下さいです。

 こちらの作品の中の話を読んでいて思わず浮かんだので気付いたら勝手に書いてました。作者さまには何も言えていません(震える

 久しぶりの、むーたん、キミと僕のミラクルスターの話です。
 作者さま、カクヨムさんから怒られたら消します。

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カランカラン。

「いらっしゃいませ! ようこそ『モフーズ』へ!」
「いらっしゃいませ! わぁ、今日も来てくれたの~?」

 今日も今日とて小動物カフェ『モフーズ』は盛況だ。
 七星界での大冒険から帰って来た当初は、もしかしたら何か起こってしまうんじゃないかって不安もあった。
 でもむーたん達にも変化は無いし、とりあえずは大丈夫だろうと営業を再開していた。
 
 というわけで、今日も皆さんに癒しをお届けするべく開店なのです!

「この子がどうしてもまた『モフーズ』のお菓子が食べたいって聞かなくって」
「こちらの席へどうぞ~。えっ、何なに、キミもブッキーが作るお菓子が好きなの? 僕もだよ~エヘヘ」

 むーたんに案内されているのは近所に住んでいる三奈木さん。そういえばこないだ学校帰りのお子さんが『モフーズ』にお母さんを探しに来たことがあったな。

――そっか、気に入って今度は一緒に来てくれたんだ。これはカヤブキさんに報告しなきゃ。

「オヤツだけじゃないよ! ここってば動物も触れるし、かわいーんだもん!」

 お母さんの隣に座ったお子さんは、ほっぺをぷくっとさせて力説だ。
 うんうん、そうだそうだ。動物、とっても可愛いよね!

「ん~、今日はお母さん珈琲にしようかなぁ」
「えっ! お母さん、コーヒーの飲み過ぎでお腹イタくなっちゃうからダメだよ!」

 なんて微笑ましい光景なんだろう。
 思わずホッコリとしてしまった俺は、メニューを覗き込みながら会話に交じってしまった。

「じゃあ、牛乳をたっぷり入れたカフェオレは如何ですか? 実は俺も出先のドリップを飲んで腹痛になった事があって」
「まぁ! 店長さんも?」

 美味しく飲めたのにな、あれにはびっくりした。飲んで数分後には外に聞こえるくらい「ぎゅるる~」ってお腹の中が渦巻いちゃったもんなぁ。

「『モフーズ』の特製カフェオレ、美味しいですよ」
「じゃあ、私はそれを頂こうかしら!」
「えっと~、みっちゃん。この子はオレンジジュースと森の動物クッキーだって! クッキーね~、さっき出来上がったばっかりなんだよ? すっごいオイシイの!」

 えっと、焼き上がりは金網の上で休ませていた筈で……むーたん?

「カヤブキの奴がたいそう嘆いてたぞ」
「シュウくん!」

 いつの間にかテーブルの横にいたのは、白いブラウスにカフェエプロンを付けたシュウくんだ。

 流石だよ、シュウくん。オーダーが通る前に、もう注文の品を持ってくるなんて。

「ご注文の品です。どうぞごゆっくり」

 キラリン。

 しかも完璧な営業スマイルまで! チラっと見えた黒い尻尾がピシパシとむーたんを叩いていたように見えたのは、きっと俺の気のせいだね!

「も~、シュウくんイタイってば~。みっちゃん聞いてー? シュウくんったらね」
「お前が悪いんだろーが」
「このクッキー、やっぱり美味しいね!」
「ええ、本当にね」

 良かった。むーたんとシュウくんのやりとりも、三奈木さん親子は気にしていないみたいだった。

「ねぇ、お兄さん。あれってカレンダーだよね?」
「うん、そうだよ。あっ、動物の写真? 可愛いよね」
「今日『せいじんのひ』なんだよ」

成人の日?

「えっ? ああ、そういえばそうだね。何か気になるの?」

 するとどうだろう。お子さんは眉を寄せ、今にも泣きそうな顔をしているじゃないか。

「宇宙人が攻めてきて、あばれまわっちゃうんだよ! もふーずも、めちゃくちゃになって壊されちゃう!」

ぅん?

 俺は眼鏡をカチャリ。一瞬思考停止した後、三奈木さんを見る。
 
「な、なるほど?」

 三奈木お母さんは鋭いジェスチャーを繰り広げていた。
 これはいわゆる言葉の聞き間違いというか、漢字の変換を誤ってしまっているって事かな。そしてそれを信じて、この子は本当に純粋に『成人の日』=『星人の日』=宇宙人が来る日と思って怖がっているんだ。

「えっとね、それは――」
「みっちゃん! モフーズがめちゃくちゃになるってホント?」

 むーたんは涙で目を潤ませ俺に迫り――

「ウチュウジン? なんだそれは。どこのどいつだ」

 シュウくんはまだ見ぬ相手にギラリと金色の瞳を光らせ――

「私の焼いたクッキーを称賛する声が聞こえたと思ったが、まさか感動に打ち震え、あまつさえ涙しているとは! まったく私も罪な男だよ」
「ちょっと黙っててもらっていいですか、カヤブキさん」

 いつの間にか厨房から瞬間移動していたコックは相変わらずだった。

 そんなこんなで。流れから三奈木さんのお子さんの言葉の誤解を解く事になった俺達。
 その日はキャストとして働いていたホロくんも加わって一芝居打つことにしたのだった。

 小さな子に真面目に言葉について諭すのも、ということで。
 ホロくんの案により、攻めて来た宇宙人は退治されたから、もう今後は心配しなくて大丈夫なんだよというシナリオを描いたのだ!

「というか、どうして俺が宇宙人なの」
「ミツヒコ殿、とてもよくお似合いです!」

 全身黒タイツなんて一体どこから仕入れたのホロくん。

「ええい、営業時間の兼ね合いもある。もうやるしかない!」

 それに道端でこの姿は、いつ職質に遭うか判らないからね!

 俺は覚悟を決めて『モフーズ』の店内に飛び込んだ。
 大袈裟に悪役を演じ、三奈木さん親子に飛び掛かったりする。

「ぎゃあああ! うわーん!」

 よし! 作戦成功。泣かせてしまって心は痛いが、これも誤解を解く為だ。
 というかむしろ今すぐにでも全身黒タイツの俺の誤解を解きたい。

 リアリティを出す為に他のお客様には何も言っていないんだけど、こ、これ本当に大丈夫?

パパーン!

 そろそろ俺が居たたまれなくなった頃だった。
 この音はカヤブキさんの楽器であるサックスの音。続いてシュウくんのギター音。
 どこからとなく沸いた白いスモークの中から現れたのは、いつものアイドル衣装に身を包んだ三人の姿だった。

「悪い子のウチュージン! みっちゃんの大事な『モフーズ』もお客さんも、めちゃくちゃになんてさせない! 僕らがきっと守ってみせる!」

ホロリ。
むーたん、なんて立派になったんだろう。
ちゃんと台詞、嚙まないで言えたね!

『キャアアアア!』

 なんて涙を拭っていたら、店内にいたお客様から黄色い声が上がった。
 内輪にペンライト。それ、うちには取り扱いありませんけど。
 
 その後、俺=『宇宙人』は見事にむーたん達『正義の味方』に倒され、世の中(町内)に平和が訪れたのだった。ちなみに俺の退場はホロくんの便利な魔法により、事なきを得た。

 急遽行われた僕ミラ昼コンサート。
 それはその後、『モフーズ』キャストによる超レアなイベント日とされ、語り継がれる事となるのである。



『キミと僕のミラクルスター 番外編』 完!


 

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