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映画『東京日和』(1997年)

 今週初めに、ニュースで中山美穂さんの訃報に触れました。
 中山美穂さん、愛称「ミポリン」は、'80~90年代、私の20~30歳代はじめにかけて、圧倒的な人気をほこった女優・アイドル歌手でした。

 わたくし事の話ですが、私の趣味の創作文は、シナリオであれ小説であれ、単にストーリーを語るだけではなくて、作品舞台の地名や周囲の風景を明細に描く事で、読者の臨場感や没入感、あるいは、作品世界への既視感を引き出す事を目指しています。
 そうして、それは、昔からではなくて、30代後半から意図して書いている方向性であります。
 そして、その大きなきっかけとなったのが、1997年公開の映画『東京日和』だと自認しています。

 映画『東京日和』は、写真家・荒木経惟氏と陽子夫人をモデルに、竹中直人氏が、監督兼主演した作品です。
 と言っても、特に「これ」と言ったドラマがある訳でなく、竹中氏演じる主人公とその妻の日常が淡々と語られるという映画なのですが、主人公の妻を、ミポリンが演じています。
 主人公が写真家という事、作品自体が、荒木経惟氏のフォトエッセイ『東京日和』をベースにしている事から、舞台となる東京の街の風景が、スチール写真の様に美しく描き出されます。
 その美しい東京の風景の中で、主人公の妻であるミポリンが、歩き、振り向き、笑い、とまどい、美しく描き出されていて、
「この亭主、奥さんのストーカーか!?」
ってなくらい、映像だけで、主人公の妻への想いの深さが伝わって来るのです。
 そもそも、竹中直人氏が、ミポリンの大ファンだったそうで、はっきり言って職権乱用の映画、ある意味ミポリンの私家プロモーションビデオといった趣きです。

 でも、大スクリーンに映し出されるそのすべてが、美しい。
 東京に住み、東京で通勤する私に、東京の魅力を圧倒的な美しさで訴えて来た映画なのでした。

 映画が映像だけで登場人物の想いを表すならば、文章はその逆が出来るはずです。
 以来、私が文章で目指すのは、そういう作品になりました。
 物語世界の中の地名、位置などを明確に挙げて、その風景の詳細を描き出す、そうする事で、読む人には、その場を目で見ている様な既視感、臨場感を、その土地を知らない人にもそこへ行ってみたいと思ってもらえる様な没入感を抱いてもらいたい、そんな文章を目指しています。

 中山美穂さんのご冥福をお祈りいたします。

2件のコメント

  • この近況は、創作活動への情熱とそのインスピレーションの源について深く考察されていて、とても興味深いですね。特に懐かしい映画『東京日和』が作者に与えた影響と、それがどのように文章表現に活かされているかが明確に伝わってきます。今後とも、ますます素晴らしい作品が生まれていくことを期待しています。

    また、この映画で主演を務めた今は亡き「ミポリン」中山美穂さんに対する追悼の言葉も温かく、尊敬の念が感じられます。日曜日の朝、素晴らしいエッセイのような近況を共有していただきありがとうございました。
  • 神崎 小太郎 様

     いつも、私の拙文に過分すぎるほど過分なコメントをお寄せいただき、ありがとうございます。
     いつもいつも反省するのですが、レポートは、

    冒頭に、テーマ、主題、結論
    次いで、事情の詳細や、論理展開
    最後に再び、主題、結論

    の3部構成であるべきですよね!
     毎回毎回、誰かに指摘をされて反省します。
     冒頭で文のテーマや結論を挙げる事を、いつもスッポ抜かしてしまうのです(汗)
     少し修正しました。
     コメント、ありがとうございました。m(_ _)m
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